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妄想が世界最強の第一歩?  作者: 上和 逢
第一章 神竜の婚約者
10/22

神竜の婚約者と二度目の《妄想創造》

 目の前から五万の大群が押し寄せてくる。よく見るとほとんどがリザードマンと呼ばれる人型のトカゲのモンスターたちとその派生種で、他には地竜と呼ばれるティラノサウルスみたいなやつやワイバーンと呼ばれる翼竜の中でも最弱のやつがいるようだった。ドラゴン系のモンスターのオンパレードだ。


 俺は【万華の結晶(カレイドクリスタル)】を使おうと思ったが、中断する。

 この結晶はあらゆる武器へと変化できるが、実は回数制限がある。その数は百回なのでまだまだ回数があるが、本来の使い方は任意の武器に変化させて、それを見本として武器を作るために使うものなのだ。実際、この武器が全て透明なのは内部構造がちゃんと見えるようにという計らいである。

 そんな理由から、この武器はもう使わないほうがいいと判断したのだ。


 ――ではどうするか、


 俺はユイに渡された純白の、よく見れば精巧な装飾が施された長剣を握りしめる。


「これは神竜の婚約者の試練って話だしな」


 この剣はユイに繋がっていると言っていたので、神竜である彼女に恥じない行為をしなければならない。

 それに、自分にはまだ【神龍の血】の効果も継続している。あと半日くらいは効果が続くはずだ。


「なら、偶然ではあれ神龍と神竜の力を持つ俺が負けるわけにはいかないよな」


 そう思って俺は走り出した。


==========


「……きりがないな」


 戦闘開始から何分たったのだろうか、かれこれ三千は倒している気がする。


 もっと殲滅するのに適した攻撃法があればいいのだが、あまり大規模な魔法を使うとハクやアジトの入り口付近にいる人たちにも影響が出るかもしれないので厳しい。

 それ以前の問題として、そもそも詠唱する暇がないので魔法を使えない。そういえばユイは転移するときにものすごく短く詠唱することで転移魔法を発動してたよな……あれはどうやってやっているのだろう。


 そんな風に余計なことを考えていると、


『お困りの様なの!』


 と、言葉が聞こえてきた。


「ああ、割と困ってるから要件を早くいってくれないかな」


 俺は脳内に流れた声にこたえる。というか、そもそもお前は何なんだ?

『むー、なんか扱いが雑なの! 私はカズトの一部なのに』


 ? それはいったいどういうこと――いや、そのことは今はどうでもいい。割と困ってるから助けてくれないか?


『……分かったの。カズトは聞いてなかったかもしれないけど、さっき妄想ポイントがたまったから《妄想創造》を使うことができるの』


 ふむ、それで? 俺、そんなに殲滅に適した武器を妄想してたっけ?


『確かに武器は強力なものが多いの。でも実は欠点があるの』


 欠点? それはなんだ? と俺は敵を斬り裂きながら尋ねる。


『それは、妄想創造で作った武器は、その日のうちに創造に使ったポイントと同じだけのポイントを毎日消費し続けなければならないの。それをしないと武器が消滅してしまうの』


 え? そうなの?


『そうなの! しかも妄想ポイントはめったなことでは増えないから事実上武器は一日しか持たないと考えてくれていいの!』


 え? じゃあ、俺、明日とか全裸じゃん! 俺の総部全部《妄想創造》のやつなんだけど!?


『それは初回特典で今回だけの消費になってるの。でなければ【神龍の血】なんてアイテム使えないの』


 なるほど、それなら安心だ。

 ……でもそうか、妄想創造も万能じゃないということか。


『それは違うの!』


 ? ああ、いや確かに俺が妄想した武器はどれも強力だからな、ちゃんと用法用量守れば万能ではあるだろうな。


『そういうことではないの! カズトが妄想しているのは武器やアイテムだけではなかったはずなの!』


 確かに、武器だけじゃなく勝手に魔法とかも妄想で作ったりしてたけど――ってまさか!


『そうなの! 妄想創造の真骨頂の一つは、スキルや魔法などを創造できることにあるの!』


 そうなのか! それはすごいな。俺は確か消滅の魔法とか、黒炎の魔法とか、他にもいろいろと妄想したのを覚えている。俺の妄想の中ではどれも強力なものだ。早速始めたいのだが、出来れば広範囲で殲滅できる系の魔物で。


『分かったの! じゃあ、リストを出すの!』


 俺の脳内に情報が流れてくる。


・《雷魔法》   30000000pt

・《重力魔法》  70000000pt

・《消滅魔法》 110000000pt

・《炎魔法》  130000000pt

        ・

        ・

        ・


 ナニコレ? 消滅魔法以降全部使えないんだけど!?


『当たり前なの! 武器と違って、こっちは一度覚えたらずっと使い続けることができるとても便利なものがそんなに簡単に手に入ると思わない事なの!』


 確かにその通りであった。

 俺は《炎魔法》が何故《消滅魔法》よりも消費ポイントが多いのか疑問だったが、早速現段階で使える二つの魔法《雷魔法》と《重力魔法》選択した。《重力魔法》ってそれなりに強力だと思うんだが……

 まあ、今は強力なものを扱えることを喜ぶべきか。


「《妄想創造》――《雷魔法》、《重力魔法》」


 魔法を生み出す魔法の言葉を紡いだ。

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