あらかじめ知っていた
僕の予知はね。一言で言うのなら、"観測の先取り"なんだ。僕が未来において見るもの、知るものを先んじて知ることができる、それだけのことなんだよ。だからこそ、僕の知りえない事を知ることは出来ないし、知ったものを変える事は…ちゃんと観測しないことはできない。矛盾してしまうからね。
そう、僕の予知は何かの役に立つようなものではないんだ。大体、いつのことだとか、何についてだとか、指定して知れるわけでもないからね。ただ、ちらりと、未来の己の目に映るものがあらかじめ見えるだけ。それも、その時点では存在しないものが見える事もあるから、まあ、運命論者になるしかないよね。
見えたからって何かできるわけでもないし、そもそも見えた時点でその事象が何を意味するのか分からない事も多いし。特に得したことはないんだよね。損も多分してないけど。いや、しいて言えば、物語のオチが見えてしまったこととか、あるんだけどね。ただまあ、大抵の物語のオチは予測を付けようと真剣に考えればある程度のパターンは見えるものだし、割とネタバレを気にしない方ではあるんだけどね、僕。
答えだけ先に知れても、ダメなんだよね。過程、計算式も大切だし、そもそも問いがわからなければ何のこっちゃだし。うん、本当、役に立たないんだよ、これ。
大体、何も選べないのに未来だけ確定しちゃう時点でもうダメだよね。観測の先取りって特性の時点で未来の確定は付随してくるから、使いものになるようにするとしたら、見たいものを見れるようにするしかないんだけど、そもそも僕、予知を制御できてないしね。
或いは、未来の確定しない予測なら…いや、それこそ何時のどんな事象についてなのかはっきりわからなきゃ何の意味もないな。
…は?賭けごと?宝くじ?…いやいや、僕は予知を制御できないって言っただろう。賭けごとも、そこまで直近は見えないしね。無理。まあ、単純に勘は悪くない方だと思うから、ワンチャンあるかな、と思惑もないけど、欲は勘と運を鈍らせるからね、僕の場合。そういうことには手を出さないことにしてるんだ。そもそも、宝くじでも…仮に当選番号が見えたとして、そんな細かい情報覚えてらんないしね。
うん?うん。僕の予知はね、夢の形で見る事が多いんだよ。夜とかうたた寝の居眠りとか、白昼夢とか。一種のトランス状態なのかもね、あれも。でもって、わりとすぐ忘れちゃって実際本当に観測した時に予知してたのを思い出す、ってのもいつものパターン。意味ないでしょ。
そう。言ったでしょ、予知なんて役に立たないって。
あはは。僕は占い師じゃないよ。予知能力者。同じにしちゃいけない。そもそも他人の未来なんて知ったこっちゃないしね。
占いってのは学問としてあるのもあるけど、兆しから神意と未来を問うものだからね。予知というより予測だし、全然別物だよ。稀に他者の未来まで観測できる能力者とかも紛れてるのかもしれないけど…やっぱりそれって占いじゃないし。
そうだね、或いは、そこまでに観測したものを元に、無意識が占いの形をとってアウトプットしている場合もあるのかも。占いが抽象的なのはね、介錯をするためだからね。占いでわかることっていうのはね、本当はその人は既に判っている事なんだよ。それをはっきり認識しているかはともかくね。夢占なんかもそうだけど、タロットとかもね、直接的に出た結果、暗示そのものよりも、それをどう解釈するかが肝要なんだ。結局のところ、こじつけという奴だね。当たりだと思わせたら勝ち。
天気?そんなものは未来を観測しなくてもわかる人にはわかるよ。大気中の温度、風の流れ、雲の動き…まあ、そういうものを総合的に観測して判断できれば何割かは当たる。的中率はまあ、データベースの充実具合によるんじゃない。土地というか、地形とかで同じ気性でも微妙にデータが変わってくだろうけどね。偶にいるでしょ、天気当てられる人。あれは能力というか技能なんだよね。自覚があるかはともかく。経験則ってやつ?天気とかは、過去から未来が予測できる一つの例だよね。