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蒼国物語 番外編  作者: 松谷 真良
出会いⅡ
13/19

セイロウ(4)

1週間が過ぎる。

父上がセイロウに一体何をしたのかはわからないけれど、アイツはすっかり父上に怯えていて。父上が近寄るだけで顔を真っ青にする。ちょっとだけ、愉快だ。

セイロウはフィリアとすっかり打ち解けたようで、今日は僕の大事なフィリアと一緒に王宮内を散歩している。監視魔法をかけておいて正解だったよ。何をしているのか筒抜けだ。

今は、裏庭近くを歩いている。政務室のここからは少し遠いかな。


「リラン兄上!」


ドアの方から声がかけられた。

誰だろう…ってライか。


「…お仕事中ですか?」


僕が水晶を覗き込んでいるのを見ると、ライは少し残念そうな顔をした。


「ん?どうかしたのかな、ライ」


フィリアよりは大人びているけれど、それでもまだまだ子供。ぷっくらとしたほっぺは、フィリア程とはいかなくてもつついたら柔らかそうだよ。しないけど。フィリアじゃないし。

でも、珍しいな。ライは滅多に僕と関わろうとしないのに。なんだろう?


「兄上に魔法を教えてもらおうと思ったんです」


うん?


「何故だい?ライは、雷魔法が得意じゃないか」

「もっと強くなって!兄上みたいに…」


僕みたいになんだろうね?そこからが聞きたいのだけど…恥ずかしいのかゴニョゴニョと小さくなってしまって聞き取れなかった。


「別に構わないよ。今日は父上がやってくれるという約束だからね」

「父上が?仕事を?」


7歳児までこの認識っ…。

父上態度改めた方がいいかもしれないですよ!?



『セイロウは悪くないもん!!バカにするなバカ―――!!』


…おや?いったい何があったのかな。可愛いフィリアが水晶を通しても響くような声で叫ぶなんて。


「兄上今のは」

「ライは気にしなくていいんだよ?」

「え、でも今のはフィ」

「ライ?気にしなくていいって言ったよね?」

「でも、フィ」

「ライ」


ようやくライは黙った。これだから子供は…(あなたも子供です)。

察してくれたっていいじゃないか。僕の趣味はフィリア観察なんだから(立派なストーカー)。


「僕はフィーの所へ行くけれど、ライはついてくるかい?」

「行きます!」


元気があっていいね。

歩きながらになるし、早送りで良いかな。

貴族…父上が貴族制度は廃したから、元貴族かな…に絡まれたフィリアをセイロウがかばって、セイロウがバカにされたからフィリアが叫んだ、と。

事情は分かった。録画機能つけておいて正解だったよ。

ワザとらしく足音を響かせて、現場に近づく。


「兄上、悪役?」

「心外だよライ」

「そですか」


さて、どう進展しているのかなーと。


「バカって言う方がバカなのですよ、第3王女様?」

「じゃあ、アホっ!!」


…フィリア、なんてかわいいんだろう。

6歳児に何因縁つけてるんだか。貴族制度をまんまと廃止されたのはお前らが能足らずだったからだろうに。子供にいちゃもんつけるな恥ずかしい。

…っと、僕もまだ子供でいいのかな。


「フィー…ちょっと惜しい」


そうそう。ちょっとだけ、ね。


「違うの?」


キョトンとフィリアは首を傾げる。なんてかわいい!!


「あほって言う方があほですよ」

「おまえはちょっと黙れ!?バカ丸出しにするな!?」

「本当だよ、公爵…おっと、元公爵殿?バカが見えてみっともないですよ」


ニッコリと笑ってみれば、公爵に怯えられた。なんでかな。けっこう上手に笑顔を作れたと思うんだけど。


「兄上、眼が笑ってない。怖い」

「ライ、思ってもそういうことは言うんじゃないよ?」


ショックなんだからね、顔には出ないかもしれないけどさ。


「兄様!!リラ兄様にライに様!どしてここに?」

「うん、ちょっと気になったからね。絡まれてたねフィー」

「でもね、セイロウがかばってくれたの!!」

「うんうん、しってるよ」


後で絞めとかないと。


「なんで?」

「愛だよ、アイ」




「ストーカー…?いや、妹相手にストーカーって…どうなんだ?」


うん?フフフ


「セイロウ、何か言ったかな?聞こえなかったからもう少し大きな声でもう一回言ってごらん」

「何も言ってません!!」


ビシっと敬礼をしてセイロウは気を付けの体勢をとる。


「兄上は水晶でフィリ」

「ライ?」


最後まで言わせずに途中で遮れば。サァアと青ざめた顔でライは柱の影に隠れる。何が怖いんだろう?(お前だ)


「兄様がどうかしたの?」

「どうもしていなから、フィーは気にしなくていいんだよ」

「ふぅん」


つまらなそうにフィリアは足を蹴る。行儀が悪いんだから。可愛いから許すけど。


「それで、こうしゃ…いえ元公爵殿。こっそりと逃げだそうだなんて…仮にも貴族として恥ずかしくありませんか?ああ、貴族制度は廃止されてしまいましたからね。恥ずかしくもなんともありませんか」


背中を見せてはいずりながらコソコソと逃げようとしていたこうしゃ、元公爵…もうこの際バカでいいや。バカを満面の笑顔で捕まえた。

最近、色々とかくして綺麗に笑うのが上手になったと思うんだ。父上のおかげで。


「ヒュッ、あっ」


顔を真っ青にしてバカは息を吸い込む。

何かな、何が怖いのかな。


「そこら辺で止めておけリラン」


後ろから父上に肩を叩かれた。

やめろって、だってバカが!僕のフィリアにっ


「ですが!」


反論しようと口を開けば、それにかぶせる形で父上に低い声で告げられた。


「それは俺の獲物だ。横取りをするなバカ息子」

「っ」


父上に獲物認定されるなんて…何したんだろうこの人。


「なぁ、我が古き良き友人殿。固執するほど貴族の位は良きものかな?」

「そうに決まっているだろう!!庶民の血を引く者はこれだから」

「そうかそうか。私は庶民の母を持つので詳しくは知らないが、友人殿。そんなに公爵になりたいのだったら、戻してやっても良いのだぞ?」

「父上、何を!」


腐った貴族制を廃止したのは、なんのためだったんですか!軽々しくっ


「あたりまえではないか。我が血筋は古くから伝わる救世主リンペルからのもので!貴族であることが当然なのだ!」


蹴り飛ばしたくなるじゃないか。フィリアに怯えられたらどうしてくれるの。


「貴族の、それも公爵に戻りたいのならば。お前の妻子を殺してこい。母親を、父親を、兄妹を。全ての知人を殺してくるがいい。それくらいの誠意は見せてもらってもいいだろう?貴族に戻すのに値するか否か…見極めさせてもらおうじゃないか」


ゾワッと鳥肌が立った。平然と並べられた言葉は、とてもではないけど狂っている。父上、どうかしたのかな。


「なっ」


誰かが小さく声を漏らした。


「俺が。この俺が。お前らにされたことを忘れるとでも、そう思っていたのか!ずうずうしいにもほどがあるのと違うか、リンドバーグ公爵?自分たちが庶民と嘲っていた者にこうして脅されて、見下される気分は如何なものか?」


父上が珍しく、ヤル気を出している。でも、僕が望んだヤル気はこういう方向のモノではないんだよ、父上。フィリアが怯えているし、空気が凍りついているじゃないですか。


「リカルドどうかしたの?…あら、叔父様」


空気クラッシャー、遅れての登場。よかった、母上が来たら父上も自重を…って、叔父様?え、なに。僕こんなバカの血を引いっちゃってるわけ。


「グリンダか。ちょっとそこで黙ってろ」

「え、いやよ」

「…グリンダ」


これまた珍しく困ったような父上の表情。滅多に見れない貴重な…何故ここに映像装置が無いんだ!!ネタにして脅すのに!


「いやよ。フィリアがいるんだものー。フィリアー!母様のお胸に飛び込んでおいで!!」

「かーさまー!!」


半べそ状態のフィリアが、母上が拡げた腕の中に飛び込んだ。…羨ましい。


「父様が怖かったでしょうね。大丈夫よフィリア。もう怒っちゃダメって後でお仕置きしておくから」

「うん!」

「いや、頷くところじゃないからなフィリア。大体お前らは…まぁ、いい。疲れたから寝る。邪魔をするなよリラン」

「ああそうですかって、邪魔するに決まってるでしょう!!今日の分は終わったんですか!?」


危なかった、頷きかけたよ!


「終わっているに決まっているじゃないか。何を言っているんだ」

「普段の行いです!」


あ、聞いてないなこの人。


「って、ちょっと待ってくださいよ!?」


スタスタと歩き去って行ってしまう父上。自分から起こしたことなのに収拾を付けずに…。


「フンっ、これだから庶民は」

「あらオジサマ。死にたいんですか?ねぇ、かわいいフィリアをいじめられてワタクシが起こっていないとでも思っていらっしゃるの、お馬鹿なオジサマ」


背負い投げの要領で、フィリアを抱えた母上に投げ飛ばされる叔父。窓を突き破って空の向こうへと飛んで行った。何気なく怒っていたんですね母上。そして事の経由をどこから聴いていたんでしょうか。


「窓!窓壊れたぞ!?」

「いつものこと」


ライ、どうして君はそんなに達観しているの。…僕らのせいかな?せいなんだろうね。ゴメンネ、ライ。


「母様、父様怖い」

「ウフフ、そうねフィリア。でもね、父様はフィリアのために怒っていたのよ」


チョンと母上はフィリアの額を小突いて悪戯っぽく笑う。


「なあ、第一王子。もしかして王妃の方が強いのか?」

「そんなことないと思うけど。それからリランで構わないよ?ウザい」

「うざっ!?」


おっと。普段から思っていたことがつい漏れてしまったよ。


「ああごめん、口が滑った」

「全く謝ってないよな!」

「よく気づいたね」

「バカにするな!」


ライの不憫さ半端ないぞ!?

やばい、セイロウとフィリアの話だったはずが・・・


ど う し て こ う な っ た し !?


とはいったものの、原因はわかってるんだ。え、何ってそりゃ・・・リランだよね、確実に。あるいはリカルドさんの暴走。

ちょっと落ち着いてください!お願い勝手に動かないで喋らないでっ!

リランのシスコンっぷりのせいでもあると思うんだ。でもやめない(`・ω・´)

やっぱりライが可愛そうだと思うのは私だけか・・・私だけだろうな。


まだまだ続く気配があるセイロウとの出逢い編。あれ、おかしいな?なんでこんな不思議な内容になって・・・(振り出しに戻る)

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