序章:始まり
ふわりふわりと飛ぶ雪をしっかりと抱きしめて、飛ぶ雪の子。
雪だから、雪の子だから
火は、太陽は
とっても暑くて、怖くて
近づくことすらできないけど
それでも憧れる。
なんでだろう。
*
この山の雪の子ことマナは途方に暮れていた。
マナは火に近づけない。
雪の子だから、熱に弱い。
身体が解けてしまうのだ。
だから、火は嫌いだ。
なのに、今、目の前に人間がいる。
いや、いくら閉ざされた雪山といえども、よくあることだ。
そうではない、問題はその人間が火のそばで倒れていることだ。
別に倒れているからといって、マナには、関係ない。
雪の子は、山が荒らされないように、人間に山の怖さを伝える存在だ。
だから、別に問題はない。
しかし、マナには、関係ある。
昨日助けてくれた人間だ。
昨日、リョウシとかいう人間に、「人間に悪さをするから」といわれて、
テッポウとかいう、道具で、足を攻撃された。
逃げられなくって、さらに攻撃されかけたときに、助けてくれた。
私を、イモウトっていって、人間だから、っていって。
攻撃されて穴が空いた、足を気遣って、手当てしてくれた。
もちろん、人間と同じやり方合わないから、私たちの方法で。
川にいって、傷を冷やして、時間がたてば、戻るから。
だから、今度は、私が助けたいんだけど、火があるから、近づけないでいる。
いや、触れなければ、解けないけど。
解けても、また、水辺で休めば、戻るけど、
けど、火は怖いの。
きらきらと光っていて、見ていたい、だけど、怖いの。