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 魔獣対策分隊が暫く村の外に逗留する。その知らせにより村はちょっとした騒ぎになっている。

大人達は、逗留の準備の傍で、討伐隊が守ってくれるなら安心だと話すものや、森に潜む脅威に対して不安を口にする者もいた。

一方、子供達は普段見る事のないレプリベラグに大はしゃぎだった。

フィンは今カイルと一緒にガルドの前にいた。

「報告は以上か?」

「はい。」

カイルはフィンと話し合った結果、ガルドに報告することを決め、その報告を終えたところだった。

村の子供が初めて乗ったレプリベラグで角狼を倒した。にわかには信じられない話だった。

ガルドもこれまで色々な操縦士を見てきた。中には最初から機体を自在に操る者もいたが、それはほんの一握りだ。

大抵は動かすだけで精一杯で、ましてや、いきなり戦闘訓練ができたものなど見たことがなかった。

それを今目の前にいる、年端も届かない少年は、訓練もなく、損傷した機体で、初めての実戦にも関わらず戦果を上げたと言うのだ。

ガルドは慎重になっていた。優秀な操縦士候補は貴重だ。適性があるだけならある程度は存在している。

だが、その中で正規の操縦士となれる者はどれほどいるだろうか。

「フィンと言ったね。君はどうしたい?」

ガルドはまず、少年の意思を確認することにした。

「俺、あ、いや僕は……」

「はは、そんなにかしこまる事はないぞ。いつも通りで構わん。」

ガルドはフィンの緊張をほぐすように笑いかける。

「俺もカイル兄さんと一緒に戦いたいです。」

フィンは自分の決意をガルドに伝えた。

カイルから操縦士がいかに大変で危険なものかは聞かされている。

けれど、昨夜、エリスと一緒に戦った時の事を思い出すと、自分でも不思議な気分になった。

どこか懐かしく、それでいて、何かやらなければいけないことがあるような、そんな使命感のようなものが湧いてくるのだ。

「一緒に戦いたいか。まあ、それもいいだろう。」

フィンはその言葉に反応してテンションが上がる。

「だが、今は無理だ。君は今何歳だ?」

「12です。」

無理だと言われ、気持ちは一気に下がった。

「訓練校に入れるのは15歳からだ。この国ではレプリベラグは国が管理している。その操縦士は訓練校を卒業したものにしか成れない。」

ガルドはフィンの様子を見て話を続ける。

「君のその意思は尊重しよう。12なら、まずは学園に通って学ぶことだ。訓練校に入るにも最低限の知識と体力は必要だ。そして、15になってから訓練校に入るんだ。」

「でも、うちには学園に通う余裕なんて……」

レプリベラグを動かせたフィンは、操縦士にはすぐになれるものだと思っていた。

「ふむ、まあ、君が望むのであれば、学園に通うために領の援助を受けることは可能だろう。」

「え?」

援助を受ける。フィンはそんなことを考えもしなかった。

「君がその才能を示し、操縦士になるという確固たる意思があるのなら、領や国は援助を惜しまないだろう。」

ガルドはフィンにその意思があるか確認するように告げた。

「……」

フィンは答えることができなかった。カイルと一緒に戦いたいというのは本当だ。

だが、その為には学園に通い、訓練校を卒業しなければならないという事を初めて知った。

そして、その為の援助を受けられるかもしれないと言うのだ。

「何、今すぐ決める必要ない。秋までまだ時間はある。まずは家族に話してみるといい。」

ガルドはそう言うとフィンに笑って見せた。

「はい。あの……ここにいる間だけでも、何か手伝わせてもらえませんか。」

一緒に戦うことは今はまだできないと言うことはわかった。それでも何かできる事があればと言う思いがフィンにそう言わせていた。

「手伝いか……」

フィンの申し出にガルドは考え込む。

「分隊長、よろしいでしょうか。」

考え込んでいる、ガルドを見て、エルダが耳打ちしてきた。

「ここは、彼の申し出を受け入れるのがよろしいかと。」

ガルドはどう言う事だと言う目でエルダを見る。

「ここには彼の適性を測るための測定機がありません。それでは、どうして適性があることがわかったのかと言う話になった時、このままでは先ほど聞いた昨夜起きた事を報告せざるを得ないでしょう。」

ガルドは続きを促す。

「やむを得ない事情があったとしても、一般人が許可もなくレプリベラグに乗ったという事実は問題になる可能性があります。」

「ふむ。」

「それであれば、たまたま、協力を申し出た現地の住民が、たまたま、レプリベラグに興味を持ち、たまたま、分隊長の許可のもと搭乗したところ、適性がある事が分かったとした方が良いかと考えます。」

エルダの提案を聞き、ガルドは再び考え始めた。エルダの懸念はもっともだ。それに、フィンの適性についても確かめる必要はある。

ガルドは答えを出した。

「よし、フィン。君の申し出を聞き入れよう。ここにいる間だけだが、よろしく頼む。」

ガルドはフィンに向かい右手を差し出した。

「ありがとうございます。」

フィンもその手をとりガルドに感謝を述べた。

その日から、フィンはカイルの下につき、魔獣対策分隊の手伝いが始まった。


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