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第6話 再来――王都からの使者
調査官は現場の目をしていた。
王が倒れたこと、王都の“派手な補強”が街の呼吸を止めていること。
そしてベルナと王都北門の構造が酷似していること。
「あなたは事故前、止めたのか」
「止めました」
「誰が押し切った」
カイルは一息置く。
「名前を言えば、次の責任者が生まれるだけです。構造が変わらない」
調査官は苦い顔で頷く。
この男は、責任より構造を変えたい人間だ。
カイルが提示するのは“ルール”だった。
「納期より命。見栄より排水。
それを守るなら協力します」
復帰打診。名誉回復。地位。
カイルは首を振る。
「私は必要とされる場所へ行きたいわけじゃない。守れる場所に居たいだけです」
調査官が領主に圧をかける。
「壊れれば王都の責任になる。背負えるか」
領主の顔が凍る。
雷鳴が遠くで鳴り、雨季が迫る。




