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第3話 事故――建てた側が壊れる

翌朝、街が騒いでいた。

依頼主の家の前には、魔法補強具と新しい柱。別の業者が夜通しで“建て替え”を始めていた。

雨がその“ふり”を剥がす。

家は傾き、柱はねじれ、床は波打つ。

崩れ方が――王都の城壁と同じだった。

カイルは地面をすくい、言う。

「固める場所じゃない。逃がす場所です」

職人たちを動かし、溝を掘る。水が流れ始めると、家の呻きが少しだけ静まった。

依頼主の男は青い顔で言った。

「……お前の言う通りだったのか」

勝ち負けではない。家族が無事だったことがすべてだ。

娘の目が、怯えから“信頼の端”へ変わるのを、カイルは見逃さなかった。

夕方、街の代表(村長格)が来て言う。

「お前のやり方は遅い。だが、死なない」

カイルは地図を出し、雨水の流れを指でなぞる。

「この街……一部だけ直しても意味がない。水が街の腹に溜まる構造です」

その夜、借りた古い図面の線が、王都事故の線と重なる。

カイルの喉が冷える。

「……同じ線だ」

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― 新着の感想 ―
第3話で物語の芯がはっきり立ち上がりました。 事故の再現が「偶然ではなく構造」だと明かされ、カイルの視点が個人の不運から世界の歪みへ広がるのが鮮やか。派手な断罪や喝采ではなく、「遅いが、死なない」とい…
王都の事故と同型の崩れ方が示される場面は鳥肌もの。 “正しいはずの工事”が壊れる怖さを、淡々と突きつけてきます。
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