2話ー奇妙な同居生活の始まり。
吸血鬼の朝は遅い。
いつも通り夕方に起きた。
花見まゆみは家の居間で漫画を読んでいた。
エレーナは「Wi-Fiがあるから、別に繋いでもいいのに?」と言う。
花見まゆみは「買い物を済ましておきました」と言う。
エレーナは「まゆみちゃんは真面目だね…、その気になれば深夜も開いているスーパーに買いに行けるからいいのに」と言う。
花見まゆみは「明るいうちに動けるのは、この家に私しか居ませんから、午前に動く予定があるなら、いつでも頼って欲しいの。住まして貰っているし…」と言ってくれた。
エレーナは「まゆみちゃんはそんなこと考えなくていいのよ」と言って、花見まゆみを抱きしめた。
すると、玄関のチャイムが鳴った。
エレーナは「まゆみちゃん、出てもらって良い?」と言う。
花見まゆみは「わかりました」と言い、大声で「はーい、今行きます~」と言って玄関へ行きドアを開けた。
そこにはお人形さんのような、かわいい女性が立っていた。
花見まゆみは「どちら様ですか…?」と言う。
その女性は花見まゆみを上から下まで、なめ回すように見た後、言う。
「あなたがエレーナの選んだ新しい同居人ね…。どうして、私じゃないのよ!!!!」
花見まゆみは何が何だか、分からない。
騒ぎを聞きつけた、家主のエレーナが来る。
エレーナは「あら~鷺宮さん、お久しぶり?元気にしてました?」
さっきまで私を目の敵にしていたお人形さんのような女性は、表情を変えて「エレーナさん。私は至って元気ですわ?」甘ったるい声を出して、エレーナに甘える。
エレーナは花見まゆみに説明するように言う。「ああ、この人はご近所のお嬢様、鷺宮麗華さん。何故か、私になついちゃったのよねぇ…」
花見まゆみは「まぁ、エレーナさんは人たらし、ですからねぇ…、私も含めて…」と言う。
エレーナは「え!?」と言い、自覚がない様子だった。
鷺宮麗華は「この方に色仕掛けは効くかしら?」と言う。
エレーナは「どうかしら…?まぁ、でも効くんじゃない?」と言う。
花見まゆみは、とんでも無いことを、言ってくれたな…。と思った。
すると、鷺宮麗華は花見まゆみに迫ってくる。
花見まゆみは後ずさる。
すると、鷺宮麗華は諦めたように元の立ち位置へと戻る。
そして、「次こそは私が同居人の立場を勝ち取るんだから」と鷺宮麗華はそう言って、玄関の引き戸を荒々しく閉めて帰って行った。
エレーナはまるで他人事のように、「まゆみちゃんも大変ね~」と言った。
次の日も夕方に鷺宮麗華はやって来た。
エレーナは「あら~、今日はどうしたの?」と言う。
花見まゆみはエレーナに仕事をしなくて良いと言われたが、何となく暇だったので、かつて趣味で買い集めた文房具のレビュー記事を書いてとあるプラットフォームに上げるために執筆をしていた。
すると、玄関からエレーナが「麗華ちゃんがまゆみちゃんを呼んでいるから、来てくれないかしら~?」と声が聞こえた。
花見まゆみは「なにか、ありましたか?」と言い玄関に行く。
鷺宮麗華は「ご趣味は?」と聞いてくる。
花見まゆみは「小さくてかわいいですね?あなた。見た目もお人形さんみたいですし…、食べたくなっちゃいましたわ?」と話の流れをガン無視して、思っていた感想をそのまま言った。
エレーナもいきなりこの感想を出した花見まゆみに引き気味になりながらも、「たしかに麗華ちゃん、かわいいもんね…、わかるけど、本人に言っちゃダメよ」と言う。
花見まゆみは「(わかるんだ…。)」と思いながら、二人に迫られて、困惑している鷺宮麗華の姿を見てほくそ笑んでいた。
鷺宮麗華は顔を真っ赤にしながら「ふたりとも!!!覚えて居なさい!!!!」と言って、また荒々しく戸を閉めて、立ち去っていった。
その次の日も、鷺宮麗華は来た。
花見まゆみは「麗華さん、今日も麗しい髪の毛ですね?それを切り落として、絶望する顔を見てみたいわ」と言う。
鷺宮麗華は慌てて髪の毛を手で守ろうとする。
花見まゆみは「そう、その恐怖の顔。最高にそそられる…」と言う。
そして、花見まゆみは言う。「麗華さん。今度、一緒に海に行かない?」
鷺宮麗華は迷っている様子だった。
鷺宮麗華は言う。「エレーナは海とかは嫌いよね?」
花見まゆみは「私が川に飛び降りようとしたら、エレーナさんに助けられたので、吸血鬼は流水が苦手とは訊きますけど、どうなんでしょうかね?」と言う。
花見まゆみは鷺宮麗華に耳打ちする。「エレーナさんが嫌がりましたら、二人だけで行きましょう?約束ですよ?」
鷺宮麗華は顔を真っ赤にし、「わ、わたくしだって、泳げるのですから、馬鹿にしないで欲しいですわ」と言って、ドアすら開けっぱなしで、帰って行ってしまった。
花見まゆみは思った。
「(あの娘、きっと泳げないのね…、そうと分かれば…、最大限、私の癖に付き合ってもらうわ…)」
エレーナが起きてきて言う。
「悪い笑みを浮かべてどうしたの?」
花見まゆみは驚いて「うわ、びっくりした」と言う。
エレーナは「鷺宮さんは来た?」と花見まゆみに訊いてきた。
花見まゆみは「えぇ、来ましたよ。私が少し意地悪をしたら、帰られましたけど…」と言う。
エレーナは「あんまり意地悪するのはやめなよ…。一応、ああ見えても地域の有力者の娘で令嬢なんだから…」と言い花見まゆみに釘を刺した。
花見まゆみは内心、つまらないわねぇ、と思ったが、何も言わなかった。
エレーナの居候の身という事もあったので。
その後、花見まゆみは文具系のウェブライターとして、昔に買った文具のレビューを書きつつ新しい文具の情報をインターネットで漁った。
花見まゆみはそうやって文章を書いていたら、夜が更けてきたので私はお風呂に入ってから寝ることにした。
次の日、花見まゆみは昼ぐらいに起きた。
そろそろネタが無いので、新しい筆記具を買わないと思っている時だった。
インターネットで面白そうな文具を探していたら、いつの間にか夕方になっていた。
すると、エレーナが起きてきた。
エレーナは「相変わらず人間は早起きね?」と言う。
そして、エレーナは言う。「車庫に止めてある車のエンジンの掛け方を教えるわ、ついてきて」
花見まゆみは「普通に鍵をひねるだけは、掛からないのですか?」と尋ねる。
エレーナは「寒いときはチョークを引いてちょうだい。暖まったら戻すのよ」と言う。
花見まゆみは「チョークってなに?」と聞く。
エレーナは「最近の車には、チョークは無いのでしたっけ…?」
花見まゆみは「乗れる気がしないのだけど…」と言う。
エレーナは「実践あるのみよ?明日から買い出しはコレを使って良いから?」と言う。
花見まゆみは「ほぼほぼペーパードライバーの私にいきなり乗せて良いの?かなり古い車っぽいけれど…」と言うが、エレーナは「私は助手席に乗るから、運転してみて?」と言い譲らなかった。
しかし、乗ってみれば、割となんとかなるモノだった。
花見まゆみは言う。「この時代の車にしては珍しく、ATなのね?」と言う。
エレーナは「だって、MTは面倒くさいのでね?100年近く生きていると、そういう部分については時短したくなるものよ?」と言う。
花見まゆみは聞いてしまった。「吸血鬼って寿命がほぼ無限にあるでしょ?それでも?」
エレーナは「それでもよ。だって、楽できる所は楽しなきゃね?」と言った。
花見まゆみはそのまま、近くをあちこち回って車をエレーナの自宅の駐車場にも何とか入れて、止めた。
エレーナは「大丈夫そうだったし、明日からこの車で買い出しをよろしくね?」と言う。
花見まゆみは「が、頑張ります…」と言う。
エレーナは「そんなの気張らなくてもいいのに」と言って笑った。
そして、花見まゆみは疲れてソファーでそのまま泥のように眠った。
エレーナは花見まゆみに毛布を掛けて「疲れたのね…、おやすみ」と言って、自分は部屋に戻って、執筆業に勤しんだ。
次の日、花見まゆみは体がバキバキだった。
花見まゆみは「ソファーで寝てしまった…、あぁ…、痛たた…」と言って、体を軽く伸ばす。
花見まゆみは「あぁ、ネタが無い」とつぶやいてPCに向かった。
ネタとやる気がないせいで、SNSばっかりが捗ってしまった。
すると、また玄関の呼び鈴が鳴った。
花見まゆみは「はーい」と言って、玄関へと行く。
すると、予想通り鷺宮麗華が玄関に居た。
花見まゆみは「鷺宮さん、どうしたのですか?」と言う。
鷺宮麗華は「あなたを連れ去ります」と言う。
花見まゆみは「誘拐宣言ですか?」と言い、ポケットから折りたたみ式のナイフを取り出し、鷺宮麗華に突きつける。
花見まゆみは言う。「私はいざとなったら、やる人よ?今の発言。取り消してもらうわ」
鷺宮麗華は護衛に「助けて!!!」と言う。
花見まゆみは鷺宮麗華の護衛に「私に近づいたら、お嬢の命は無いと思いなさい?頸動脈を一発で楽にしてあげるわ」と言う。
エレーナがどこからともなく来て言う。「二人ともやめて!!!」
エレーナは言う。「鷺宮さん、あなたに何かがあると嫌だから、私はまゆみを選んだの。恨むなら家柄を恨みなさい」と言う。
エレーナはうるさい鷺宮麗華の護衛を軽く殴って(吸血鬼比)黙らせた後、花見まゆみのナイフを奪う。
そして、花見まゆみの手を引いて「さぁ、戻りましょ?家の中に」と言って、力尽くで私を家の中に引き込んだ。
そして、家に入ってからエレーナは「誘拐されそうなったり、色々大変ねぇ」と言う。
花見まゆみは「聞いているなら、こうなる前に助けて欲しかったわ?」と言う。
エレーナは「ごめんね…」と言って、花見まゆみを抱きしめた。
花見まゆみは思う。
エレーナは本当に人たらしね。と。
その件から、一時間後。
エレーナが言う。「買い物をしたいので、運転を頼めない?」
花見まゆみは言う。「私がですか?」
エレーナは「まゆみちゃん以外に誰がいるの?」と言って、花見まゆみに鍵を渡した。
花見まゆみは言う。「エレーナさん、運転免許証は?」
エレーナは「一応、あるわよ?」と言い花見まゆみに運転免許証を見せる。
花見まゆみはエレーナの免許証の有効期限を確認し「期限はまだ切れてないですよね?」と言う。
エレーナは言う。「良いから良いから、運転していって?楽しかったでしょ?」
花見まゆみは「まぁ、良いですけど…」と言って、鍵穴に鍵を挿して鍵をひねりをドアを解錠して車に乗る。
エレーナは助手席に乗る。
花見まゆみはチョークレバーを引いてから、鍵を挿してスタート位置ヘと回す。
キュルキュル音がして、エンジンが掛かる。
しばらくエンジンを暖めてから、シフトノブを動かして、ゆっくりと発進した。
ちょっと遠めの大型ショッピングモールへと、二人で向かった。
花見まゆみは駐車場を探しながら、「やっぱり今日は週末だから、混んでいますわね…」と言い、溜め息を吐く。
ショッピングモールで花見まゆみは自分の食料品と生活用品、エレーナは自分の生活用品を買っていた。
花見まゆみは言う。「エレーナさん、ボールペンの替え芯が多いですけれど、何かに使われるのですか?」と聞く。
エレーナは「知り合いに手紙などを書くのにボールペンを使うのよ」と言う。
よく見たら、青と黒の替え芯を買っていた。
花見まゆみは気になって、「青は何に使うのですか?」訊ねる。
エレーナは「私の祖国の知り合いは万年筆文化圏でね?青インクの方が好きなの。だから、それに合わしているだけ」と言って、そのままレジへと行った。
そして、花見まゆみもレジへ行き、会計を済ました。
花見まゆみは車に戻り、二人の荷物をトランクへと載せて、助手席にエレーナが座り花見まゆみが運転席へと座った。
エレーナは「吸血鬼は力持ちだから、別に荷物も積んだのに」と言われてしまった。
花見まゆみは「そういえば、そうでしたね?だから、次回から頼んでも良いですか?」と言った。




