味方のいない勉強会
俺が千佳に勉強を教えると約束した日から早くも一週間が経った。
今日俺の家に来るのは秀人、千佳そして、千佳の友達の隣のクラスの那須野陽菜さんだ。
千佳から聞いた話によると那須野さんもあまり勉強が得意ではないらしい。(千佳ほどではない)
要するに今日は俺と秀人が教える側なのである。
秀人はこの前のテストの結果を見れば分かる通り普通である。
今日は最悪な事に姉貴まで勉強を教えるとか言い出した。
しかも今日の朝食の時にいきなり言い出したのだ。
俺が断ったところで奴は聞く耳を持たないので俺は一旦諦めた。
だが今日は俺だけではない!
俺の味方の秀人もいるし、あわよくば女子二人も断ってくれると大助かりだ。
「今日は私も勉強教えてあげるけど、みんないいよね?」
「もちろんです!小春さん」
ちょっと待て!秀人お前は俺の味方のはずだろう?
なぜ姉貴の味方をしているんだ!
すると秀人が俺の耳元で他に聞こえない様に
「悪い、凌平」
ふざけるなよ秀人!
俺も秀人とにしか聞こえない声で
「まさかお前買収…」
その時俺の口を姉貴の手が塞いだ。
そして姉貴の嫌な笑い顔が俺の方へと向けられた。
秀人は買収され、女子二人は姉貴の勢いに飲まれて姉貴が勉強会に参加する事が決まった。
意外だった。勉強会が始まると姉貴は真面目に勉強を教えていた。
一応俺の姉貴はここら辺で一番偏差値の高い高校に通っているので、中学生の勉強くらいは余裕で教えられる。
俺が千佳に付きっきりで教え、後の秀人と那須野さんを姉貴が教えていた。
勉強会が始まって2時間ほどした頃に、母さんがリビングに入って来て昼食を作り始めた。
すると千佳は料理が気になるのかキッチンの方をチラチラ見ていた。
「小林さん料理できたら休憩にするから後ちょっと集中して」
そう言うと彼女は頬を膨らませてこちらを向いた。
「凌平私との約束!」
つい秀人の前で千佳と呼ぶのが恥ずかしくなってしまって咄嗟に小林さんと言ってしまった事に対してご立腹の様子だ。
すると横から姉貴が出てきた
「凌平女の子との約束は守らないとダメだぞ」
それに対して千佳もそうだ、と言い秀人と那須野さんも頷いていた。
そしてキッチンから母さんまでもそうだー、と言ってきていた。
確かにこの場合は俺が悪いのは事実だが、姉貴!あんたが何も言わなければ俺が千佳に謝るだけで済んだのに話しを大きくするんじゃない。
どうせこういう時に姉貴の顔を見るとニヤけているのだろう。
案の定俺が姉貴の方を向くとニヤニヤが止まらないと言って様子である。
なんなら隣にいる秀人も姉貴と同じ顔をしていた。
どうやら今日は俺の味方はいないらしい。
いやしかし千佳の怒っている顔はかわいいかったなぁ。
俺はあの後すぐに謝罪し勉強に戻った。
そして勉強は一旦休憩である。
母さんが張り切って作っていた豪華な昼食である。
「千佳ちゃんは呼び捨てなのに陽菜ちゃんは那須野さんなの凌平?」
始まったこうなるから姉貴が勉強会に参加するのは反対だったのだ。
しかもわざわざ父さんと母さんもいる昼食の時に。
本当にこの人は俺の嫌がる事を良く分かっている。
俺は仕方なく千佳との約束、那須野さんとは初対面である事を話した。
「でも私は最初から凌平って呼んでたけど?」
話を複雑にするんじゃあない!
その分かってない天然なところは、かわいいけど頼むから今はやめてくれ。
一同はへー、と言って姉貴はまた悪い顔をしている。
「千佳ちゃん、凌平この前家族でご飯食べてる時にはしっかり千佳って呼んでたのよ」
母さんもいらないカミングアウトやめて。
しかもそのフォローするの今じゃなくてさっき!
ヤバい、こうなりだしたらうちの家族は歯止めが効かない。
秀人と那須野さんなんて置物みたいになっている。
ここで幸いなのが父さんが人見知りだったということだろう。
この前は連れてきなさい、なんて言っていたが連れてきてしまえば父さんはどうにでもなる。
問題は未だ止まらない姉貴と母さん。
それに絶賛天然を発動している千佳も危険だ。
「なんで凌平は家族の前で私のこと千佳って言うのに、陽菜と秀人君の前では小林さんなんて言ったの?」
「小林さんそれはだねぇ、凌平は俺の前で、すk」
俺は秀人が言い切る前に口を塞いだ。
この時何を言おうとしていたのかを分からなそうにしていた人が約2名いた。(母さんと千佳である)
他の人達の反応は様々で父さんは変わらず、姉貴はますます顔が悪くなり、那須野さんは口を開けて驚いていた。
というよりも秀人の奴何口走ってんだ。
そこからも姉貴と母さんは止まらず、それに釣られる様に千佳もギアを上げて行った。
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