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三年間の君への想い  作者: するめ
1年生1学期
5/26

二つの約束

焼肉屋を出ると解散する事となり俺は駅へ向かった。

特に一人で行きたいところはなく家に帰るつもりなのだが…

家に帰るとまた姉貴に絡まれそうなので帰りたくない。

だからちょっと駅前の本屋で少しでも時間を潰して帰ることにした。

本屋に行ったとしても今日はあまりお金を持って来ていない。

今日は二人の奢りで来たからだ。

お金を持っていないのに本屋に行って何をするのかというと、冷やかしだ。

本だけに限らず俺は店で商品を見回るのが好きなのだ。

好きとは言ってもわざわざ冷やかしのためだけに店に入る訳ではない。

今日はなるべく帰りたくないので仕方なくだ。

それに面白そうな本があればまた後日買いに来ればいいのだ。

本屋に着いてまず見るのはマンガのエリアだ。

マンガのエリアでは特に買いたい物はない。

マンガを読むなら俺は紙ではなく電子書籍だから、ここで良さそうなものを見つけても、もう一度買いには来ないだろう。

次に見たのはラノベのエリアだ。

ラノベは良く読むのだが俺はwebで投稿されているものならそちらから読む。

中学生のお財布事情的に節約できるのならなるべく節約したいからだ。

最後に見るのは文庫本のエリアだ。

ここで見るのは文豪の作品よりも映画化されたものの原作なんかを見て回る。

これは映画と原作の違いが気になるからと言う理由である。

この三か所を見て回るだけなら10分そこらで終わってしまうだろう。

だが俺はこれを三周いや四周はするので案外時間が潰れるのだ。

そんな風に二周目を終え三周目に入りラノベのエリアを見ている時、俺の肩に人の手が触れた。


「やっぱり凌平だ」


俺の耳に届いたその声は俺を昨日呼び止めた声と同じだった。

その声がした方へ向くと彼女はニッコリと笑っていた。

俺はその顔を見てドキッとした。

彼女に俺の想いが知られていると思われるから、というのもあるが彼女はいつもはおろしている髪を後で結んでいた。

いつもとは違う彼女に俺はいつも通り心を奪われた。

だがそれを彼女に悟らせる訳にはいかないので俺はすぐに挨拶をしてこの場を立ち去ろうとした。

しかしそれを彼女が許さなかった。

彼女は昨日と同じ様に俺の手を掴み引き止めた。


「ちょっと待ってよ。せっかく会ったんだし少しお茶でもしない?」


俺は彼女に流されるまま本屋を後にし、すぐ近くのカフェに入った。

もちろん彼女とお茶出来るのは嬉しいのだが、俺は彼女とそこまで交流がある訳でもないのになぜだ。

しかしそんな事を考えたところで仕方ない。

カフェに入ると彼女はカフェラテとショートケーキを頼み俺はカフェオレを頼んだ。

彼女の勢いに飲まれてしまって気づかなかったが、今日の彼女は化粧をしていた。

それに彼女はジーンズを履きパーカーを着ていた。

いつもの学校での落ち着いた雰囲気とは違いかっこいい感じである。

男としてはここで彼女に言葉をかけるべきなのだろうがそんな暇はなかった。


「凌平昨日大丈夫だった?」


俺の体調を心配している言葉に俺は大丈夫と返した。

それから彼女は注文した物が届くまで喋りっぱなしである。

今日何をしていたのか?なぜさっき本屋にいたのか?テストの結果はだったのか?

などなど彼女の口は止まらなかった。

俺に質問するのに俺に答える隙を与えず質問をしてくる。

そんな彼女もかわいいと思ってしまう。

注文した物が届くと彼女の口は止まり、目を輝かせてケーキを見て食べ始めた。

喉を鳴らしてケーキを食べる彼女は子どもっぽくってかわいい。

ケーキを半分ほど食べたところで手を止めこちらを向いた。


「凌平もう一回聞くけど、テストどうだったの?」


いつもよりも少し低い声で尚且つ真剣な顔で俺に聞いてきた。

なぜそこまで俺のテストが気になるのかはさておき、隠しても仕方ないので俺は話す。


「今回のテストは1位だったよ」


そう俺は案外勉強できるのだ。

普段授業は集中出来ていないが、家では別なのだ。

何故なら勉強中に眺める存在がいないからだ。

俺の言葉を聞いた彼女は身を乗り出し顔を近づける。

俺の頬が熱くなるのを感じる。


「お願い!私に勉強教えて!」


俺はその言葉に驚いた。

俺の中では彼女は勉強できる人という認識であったからだ。

それから彼女に話を聞くと彼女は意外にも勉強ができないらしい。

どれくらい出来ないのかというと、学年順位は下から数えて20番ほどと言う。

さらに話を聞くと、次のテスト(二学期の中間)で学年順位を真ん中より上まで上げないと携帯を没収されるのだと言う。


「だからさ、凌平私に勉強教えてくれないかな?」


顔を近づけて上目遣いで頼まれて俺は断れなかった。

もちろん距離を縮めるチャンスである事は分かるのだが、俺がバレているかもしれない気持ちを隠して通し、彼女がいる中で集中して教えれるのか不安で仕方ない。


「じゃあさ、連絡先交換しよ」


女子の連絡先しかも好きな女子と連絡先を交換することが出来るなんてこれほど嬉しい事はない。

俺はスマホを出し彼女と連絡先を交換した。

連絡先を交換すると彼女は俺に向き直った。


「凌平勉強教えてくれるの約束だからね」


「分かったよ小林さん」


そう言うと彼女俺に顔を近づけた。


「私が凌平って呼ぶんだから、凌平も私のこと千佳って呼んで。約束ね」


俺は彼女といや千佳とこの日二つの約束をした。

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