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三年間の君への想い  作者: するめ
1年生1学期
19/26

すれ違う一週間

教室に入ると俺は後ろの席へ、千佳は前の自分の席へ向かった。

席に着くとすぐに隣の席の祐介が俺の耳元で


「もしかして小林さんと付き合ったのか?」


「はぁ?なわけないだろ。なんでそうなるんだよ」


俺は祐介の質問に驚いたが、すぐにそれを否定した。


「いやだって、今一緒に教室に入って来たし」


「たまたま校門の近くで会ったから一緒に来ただけだ」


教室に一緒に入って来るだけで付き合ってるなんて、バカげてる。

でもそれだけで噂にならないとも限らないし、これからは少し気をつけよう。

噂になっても俺はいいが、千佳がいい思いをしないだろうしな。

どちらのしろ、今学期は今週で最後だからそこまで重く考えなくてもいいだろう。


「そういえば、勉強会どうだった?」


忘れていたが祐介にも声をかけたのだった。

俺は勉強会のことだけを話した。

その後泊まったことを言うと、祐介がめんどくさそうになると思ったからだ。


「へー、凌平は全部は話してくれないと」


「どう言うことだ?」


祐介が何を言っているのか一切分からなかった。


「俺はもう秀人に何があったか、全部聞いてます」


それなら俺に聞く必要ないではないか。とんだ茶番だ。

俺は祐介がうざく感じたのでそこから無視した。

その様子を後から来た秀人が面白そうに見ていた。






煩わしい授業も今週は午前中で終わる。

だから今日は、今受けていた数学の授業で最後だ。

だから生徒達は今帰り支度をしていた。

俺はトイレから教室に帰る途中で千佳を見つけた。

千佳がまだ気にしているか分からないが、今日の朝の事をもう一度謝るために近づく。


「千佳今いい?」


千佳は俺が声をかけると振り向いたが、ごめんと言って教室に戻ってしまった。

まあまた次の機会にでも謝っておこう。

だが俺は少しでも強引にその時謝っておけばと後悔した。

その次の日も千佳とは話せず、そのまた次の日も千佳に声をかけても断られてしまった。

俺はその時に避けられていることの気づいた。

だがなぜ避けられているのか分からない。

強いてあげるなら、やはり月曜日の朝に雫に言われた事を不快に思っているのだろう。

俺はそれを謝るために話しかけているのに、それすらも断られてしまうと俺には打つ手がない。

だから俺は少し強引にでも千佳に話を聞いてもらうしかない、と思い決心したもののその日は何もできずに終わってしまった。

そして今日は夏休み前、最後の学校である。

今日話さないと直接会って話す事が難しくなる。

何か予定をつけて千佳を誘っても、断られてしまうだろうから今日が最後のチャンスだろう。

俺は今日も朝からすぐに千佳に声をかけたが、逃げられてしまった。

授業の合間に声をかけても、もちろんダメだった。

やはり少し強引に行くしかないのだろう。






文字通りの最後の授業が終わると、いつも通り帰りの支度をして下校だ。

俺はその下校中に千佳を引き止めて話を聞いてもらおうと考えていた。

だがその必要はなかった。

千佳の方から話があるから、少しだけ教室に残ってと言って来た。

俺はその時に千佳から拒絶されてしまうのではないかと思った。

なぜなら今日までの、あの態度にその時の千佳の声は恐ろしく冷たく感じた。

だから俺は何を言われても良い覚悟をした。

それからホームルームが終わると俺と千佳は、教室から人がいなくなるのを待った。

正直この時間がかなり長く感じた。

実際の時間では、5分ほどだがその5倍は長く感じた。

教室に俺と千佳だけになったとき、俺は千佳のいる1番前の席に行った。

千佳も教室に誰もいなくなったのを確認してから立ち上がった。

俺達は教室の真ん中で向かい合う形になった。

そして先に口を開いたのは、俺だ。


「月曜日の朝の事なんだけど、雫に言われた事俺から謝らせてほしい。ごめん」


「え?」


千佳は気の抜けた声を出した。でもすぐに真剣な顔になった。


「それは別に凌平は悪くないし、私もその事気にしちゃって避けてた。ごめん」


あぁ、やっぱり気にしていたんだな。

でもそれならなんで千佳は俺に謝ったんだ?


「そうだよな、不快な思いしたよな」


「え?」


またこの反応だ。

真面目な話をしているのだが、今の反応をする千佳をかわいいと思ってしまう。

だが今はこの反応の真意を聞かなければならない。

それを俺が聞くまでもなく千佳が話し始めた。


「いや、全然不快とかじゃなくて…」


そこから先が聞こえなかった。

言葉が進むにつれて声がどんどん小さくなって言ったからだ。


「ごめん千佳なんて言った?」


それを聞くと千佳は下を向いていた顔を俺の方に勢いよく向けた。

千佳の目には涙らしきものが見えて俺は焦ったがすぐに千佳が大きな声を出した。


「だから!恥ずかしかったの!」


恥ずかしい?何が?

俺はそこまで出かかった言葉を飲み込んだ。

これを言ってしまうとよくない事になりそうだと思い、寸前のところで止めた。

だから俺はもう1つの本音を口にする。


「よかった、嫌われてなくて」


「どういうこと?」


千佳は先程よりも少しだけ落ち着いた様子で聞いて来た。


「いやだから、避けられてたし嫌われたのかなって」


千佳はそれを聞くとごめんと言い俺に頭を下げた。


「別に違ったんだし、もう大丈夫」


千佳は安心したのか頭を上げるといつもの笑顔に戻っていた。

俺もその顔を見て安心した。

俺達は笑い合ったあと教室を後にして帰路についた。

読んでいただきありがとうございます!

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