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三年間の君への想い  作者: するめ
1年生1学期
18/26

もしかして彼女?

今日は月曜日だ。

仕事をしている者、学校へ行っている者が少し憂鬱になる日。

でもこの時期の学校に行っている者は、そこまでかもしれない。

なぜなら、夏休みがドンドン近づいて来ているからだ。

俺も姉貴も家を出る時には上機嫌だ。

まあ俺が機嫌がいいのはそれだけではないのだが。

姉貴とは途中まで一緒に登校している。

なぜなら俺の通っている中学校の途中に駅があるから、そこまでは姉貴とは一緒なのだ。


「いいな凌平だけ千佳ちゃん達と会えて」


「仕方ないだろ、姉貴は高校生なんだから」


そう姉貴は高校生で俺達は中学生。

学校生活では絶対に関わり合いになれないのだ。関わりたくもないが。

姉貴と最後に同じ学校で関わったのは俺が小3、姉貴が小6の時が最後だ。

とは言っても、学年が離れていたから行事の時だけの関わりだ。

その学年の差に姉貴は愚痴を漏らし、俺は喜んでいる。

いつからかは忘れたが、姉貴が俺にダル絡みをしてくる様になってから俺は、本当に家以外で会いたくない。

家以外でもし仮に女子と歩いているところを見れば、その瞬間に寄って来て何かを言ってくるだろう。

それが学校内であっても例外ではなかったと思う。

だから俺はこの絶妙な歳の差に感謝している。これは神の救いだろう。


「あぁあ、千佳ちゃん達がウチの近所にでも住んでたらな、途中まで一緒に行けるのに」


確かにそれは俺としても嬉しい。

姉貴が一緒にいるというのを差し引いたとしてもだ。

まあでもそれは叶うことのない願いなのだ。

俺達の住んでいるこの地域は少し特殊で、小学校が4つもあるのに中学校は1つしか無いのだ。

これにはこの地域特有の理由がある。

俺達の住んでいるところは、今でこそ栄えていないが、昔は石炭が取れてそれなりに栄えていたらしい。

それにその時代は子供も多く、1つの学年は10クラスあった様だ。しかも中学校もこの時は4つあった。

ここまでなら石炭以外はどこにでもあってはおかしく無い。

だがこの街は石炭が取れなくなってから、人の離れが進み子どもが減り、みるみる衰えて行ったのだ。

今この街に住んでいるのは、少しの若者と大勢の老人達だ。

だから子供の数がいないのに、4つも学校が必要ないとなり統合された。

しかしこの理由なら小学校も一緒になりそうだが、それをするにはお金が足りないのだろう。

この町に住んでいるのは少しの若者と大勢の老人である。

しかもこの老人達の多くは生活保護を受けている。

だから町の税金も集まりづらく、学校を建て直すだけのお金がないのだろう。

俺は最初中学から新しい人達と出会うのは、正直嫌だった。

でも千佳と会えたので今はそんな事思いもしない。






俺は駅で姉貴と別れ学校へ向かった。

学校へ向かう途中のコンビニで同じ制服を着た女子がいた。


「凌平〜」


俺のことを手を振って読んでいる女の子は、短いスカートにブレザーのボタンを全開に開けている。しかも学校の前なのにお菓子も買って食べている。いわゆる非行少女だ。

俺は無視して通り過ぎたかったが、進行方向にいたのでそれもできなかった。


「何してんだよ、(しずく)


彼女の名前は、上条雫。俺の小学校からの友達である。

雫は小学校の頃からあまり良い子ではない。


「何してるって、たむろしてる?」


「いや、お前一人じゃん」


雫はアハハと笑って立ち上がった。

雫もおかしいが、中学校の制服を着た奴に、なにも言わずに売る店員も何を考えているのか。


「凌平行こ」


雫は俺の前に立ち、学校の方へと歩いて行った。

俺も一緒に歩いて行く。






校門の前の長い坂を登った時昨日ウチにいた女の子が見えた。千佳だ。

俺は千佳の事が見えて無意識に少し早足になった。


「ちょっと凌平歩くの速いって」


それを雫に言われて気づいた。

俺は雫に少し謝りさらにスピードを上げる。


「ちょっと謝ったのにスピード上がってるんですけど!」


後ろから聞こえる声を無視して前へ進む。

俺はすぐに千佳に追い付き声をかけた。


「おはよう千佳」


前までなら声をかけなかっただろうが、既にクラスの人には俺が千佳のことを好きなのがバレているし、昨日ウチに泊まったことで仲良くなれたと思ったから、今日初めて俺から声をかけた。

千佳は声をかけられて肩をビックとさせて振り向いた。


「おはよう」


千佳は小さな声でボソッと言った。

いつもは俺に元気よく挨拶してくるのに今日は静かだ。

体調が悪いのだろうか?


「どうした?体調悪いのか?」


「あっ、いや別にそういうわけじゃないんだ」


「そうか?」


でも千佳は見るからに体調が悪そうに見える。

いつもの元気もないし、顔も赤くなっていた。

俺が心配そうに見つめていると千佳は目を逸らした。

体調が悪いことを俺に悟られたくないのだろう。

だから俺はもう聞かなかった。


「ちょっと凌平待ってて」


後ろから雫が追いついて来た様だ。

雫は追いついた時には息が上がっていた。多分少し走ったのだろう。

彼女は息を整えると俺の方を向いた。


「で、凌平その子はなに?もしかして彼女?」


「バカっ!お前そんなんじゃねぇよ」


俺は雫の質問に驚いて言い返した。千佳はなにも言わなかった。


「え?でも凌平その子を見つけた瞬間スピード上げたじゃん」


なぜ俺の周りにはいらないことをよく言う奴しかいないのだ。

クラスではバレているので良いものを、千佳にバレるのはダメだ。


「それは別に彼女じゃなくてもするだろう」


「そうかな?他の人ならともかく凌平がするとは思えないけど」


確かに普段の俺なら絶対にしないだろう。

痛いところをついてくる。


「そんな事どうでもいいだろ。千佳は彼女なんかじゃない」


「まあ一旦そう言うことにしとくよ。じゃ私は先行くから」


そう言って雫は走り去って行った。


「悪かったな、嫌な思いしただろ?」


「いや、大丈夫」


千佳はそう答えが、本当は嫌だろう。

俺としては、今雫に言われた事が現実になればと思うが、千佳は違うだろう。

あれ?そう考えると俺って迷惑?

一緒だけそんなことを思ったが、その考えはすぐになくなった。

でも少しの気まずさが残り、教室までなにも話さずに行った。

読んでいただきありがとうございます!

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