お泊まりの朝は刺激的
私の家には昨日から泊まっているかわいい女子が二人いる。
私はその二人の寝顔を見る為にいつもより1時間早く起きた。
写真を撮って凌平に見せてあげてもいいが、流石に寝顔は凌平には刺激が強すぎるだろう。
だから二人の寝顔は私の頭の中だけに留めておく。
さてさてまずは、陽菜ちゃんからにしようかな。
私は2つ並べられた布団の私のベットに近い方を覗き込む。
ちょっと待ってぇ!
可愛すぎる。陽菜ちゃんは猫みたいに丸まって寝ていて、いつも笑っている顔がムッとしている。
新鮮で可愛すぎる。危うく叫び出してしまうところだった。
いつまでも見ていられるが、今日はもう一人いる。
次は凌平の好きなかわいい千佳ちゃん。
千佳ちゃんの顔を見る為に私は、二人の足元を通って反対側へ回る。
反対側に着くと千佳ちゃんを起こさない様に顔を覗き込む。
千佳ちゃんは夢でも見ているのか、口がムニャムニャしている。
改めて二人が可愛すぎる事を私はこの時理解した。
男子諸君が可哀想だと思う。
こんなにかわいい二人を見れないだなんて、同情するよ。
私は二人の頬に触れたくなる気持ちをグッと抑えて、部屋を出ようとした。
その時に私の足首に夏とは思えない冷たい手が触れた。
私は少しビックリして振り返り、かがみ込んだ。
「お姉ちゃん」
お姉ちゃん?
っえ?今確かにボソッとお姉ちゃんとそう言った。
でも昨日本人の口から兄弟はいないと聞いていた。
でもでも今確かにお姉ちゃんとそう言った。
私の聞き間違えではなく、絶対に今お姉ちゃんと言ったのだ。
もしかして、もしかしなくても千佳ちゃんは私に対して、お姉ちゃんと言ったのだ。
こんなにかわいい妹ができて嬉しくない姉はいない。
だから私は本気でこの子を私の義妹にしてみせる。
そして必ず夢ではなく現実でもう一度「お姉ちゃん」と言わせてみせる。
まあでも千佳ちゃんなら頼めば言ってくれそうではあるが、事実を言わせるのでは全然違うだろう。
私は今にも抱きしめてしまいたい気持ちをグッと抑えながら部屋を出た。
今日俺の部屋には秀人とツクシがいる。
俺はツクシにいつも通り起こされ、目覚める。
俺は布団で寝ている秀人を起こて洗面所へ一緒に行く。
洗面所へ行くと、なぜか風呂上がりの姉貴がいた。
「おはよう凌平、それと秀人も」
「姉貴その格好は良くないと思うぞ」
姉貴はその時にスポブラと落ち着いたパンツだけの姿だった。
俺は兄弟なので慣れているが秀人はそうではなかった様だ。
なにせ昨日女子二人に何も反応しなかった秀人が、開いた口が塞がらないといった様子だった。
別に俺は今更何も感じないが、姉貴はスタイルが良く、何とは言わんが大きいので思春期の男子には刺激が強いのだろう。
「ごめん、ついいつものクセで」
そう言って姉貴は側に置いてあった服とズボンを履いた。
俺はそれよりも別の事が気になっていた。
「今日はやけに起きるのが早かったみたいだな」
そう女子の風呂はどうしても時間がかかる。
風呂を早く上がったとしても、髪を乾かすのも時間がかかるのに姉貴の髪はすでに乾ききっていた。
まだ7時であるのにここまで済んでいるとなると6時いや、5時半には起きていたのかもしれない。
「弟よ私の部屋には二人の天使がいる。その天使達の寝顔を見るのに妥協はしないのだよ」
俺は完璧に忘れていた。
今日は秀人だけではなく、那須野さんに千佳まで家に泊まっていたのだ。
俺は姉貴に嫉妬している。
那須野さんはともかく、千佳の寝顔を見れている事に。
俺だって千佳の寝顔を見てみたかった。
でもそのチャンスは訪れはしないだろう。
「写真を撮る時間もあったしね」
なんだと?!
俺はその写真の為なら姉貴にイジられる事もいとはない。
嫌ではあるが背に腹は代えられない。
「それ」
俺が言葉を発しようとした時、俺の顔の前に姉貴の手がきた。
「でも残念。凌平には刺激が強いから撮ってないよ」
なんなのだこの姉貴は。人のことを弄びやがって。
だがこれはまずい状況になった。
写真も貰えず、俺が写真を欲しがった事がバレてしまった。
この先に見えるのは俺が一方的にイジられる未来だけだ。
俺はこの詐欺師に騙されたのだ。
「あっれ?もしかして欲しかったのかな?ごめんね」
姉貴は俺を目一杯に煽る。
俺はそれを黙って聞いているしかない。
反論する事は出来ないし、話題を変えてもすぐに戻ってきてしまうだろう。
「あの小春さん盛り上がってるとこ悪いんですけど…」
「どうしたの秀人?」
秀人が姉貴の煽りを遮った。
いつもの秀人なら見ているだけなのに、遂に俺の味方をする気になってくれたのか?
だが秀人はいつまでも続きを言わずモジモジしている。
姉貴が痺れを切らし、話す様に促すと秀人が姉貴の方を向いた。
「小春さんその服、反対向きです」
俺はそれを聞いてよく見ると、白の無地のTシャツの横からタグらしき物が出ていた。
姉貴もそれに気づくと恥ずかしかったのか、洗面所を出て行ってしまった。
秀人ナイスだ。
そのあと秀人になぜ助けたのかと聞くと、気になり出すと我慢できなかったそうだ。
俺を助ける為にではなかったが、結果的に助けられたので感謝を伝えた。
俺達は顔を洗って歯磨きを終えると部屋に戻る事にしたが、秀人はトイレに行ってから戻る様だ。
俺が部屋に戻る為に階段へ向かうと、上から千佳と那須野さんが降りて来た。
「二人ともおはよう」
「ふぁ〜、凌平君おはよう」
那須野さんから返事が返って来たが、千佳からは返って来なかった。
まだ眠たくて挨拶どころではないのかな?
まあ俺は気にしない。寝起きの千佳はなんと言うか、ふにゃっとしていてかわいい。
朝からいいものを見れた。まあ姉貴はこれ以上にいいものを見れていたのだろうが。
俺は部屋に戻る為に二人とすれ違う。
その時俺の服の裾を千佳が掴んだ。
俺は少し驚いて千佳を見た。
「どうした?」
「あっいや、なんでもなくて。おはよう、ごめんそれだけ」
千佳はそう言って急いで洗面所へ入って行ってしまった。
そんな挨拶の仕方アリかよ。
返って来ないと思っていたのにわざわざ引き止めてあんな言い方。
かわい過ぎるだろ!
いつもと違う家での朝だからだろうか、今日の千佳はいつもと違う感じがした。
部屋に戻ったあとは、適当に1時間ほど過ごしてリビングへ向かう。
朝リビングに向かってする事といえば、もちろん朝食だ。
今日の朝食は、白米、味噌汁、サバの塩焼き、ぬか漬けだ。
うちの朝食は洋食と和食を交互に繰り返している。
その理由は飽きさせないためだと母さんが言っていた。
朝食にしては、今日はいつもより品数が多いので母さんはおもてなし精神が高いのだろう。
でも秀人とだけだと、ここまでしないだろうから今日は千佳と那須野さんに感謝だ。
千佳と那須野さんも満足しているのか、心なしか笑顔がいつもよりかわいく見えてしまう。
「このぬか漬けすごく美味しいです」
千佳がテレビの前の背の低いテーブルから、母さんを見上げて言った。
母さんはそう言われてすごく嬉しそうにしている。
「そう?嬉しいわ、小春も凌平も透もみんな何も言ってくれないからね」
「そうなんですか?このサバもすごく美味しいのに」
那須野さんも母さんの料理を褒める。
二人がお世辞で言っていないのは分かる。
俺達家族は言わないだけで、みんな母さんの料理を美味しいと思っているからだ。
母さんの機嫌がドンドン良くなるのを感じる。
「もう、そんな褒めても何も出ないわよ」
頑張って作ったものを褒められると誰でも嬉しいのだろう。
俺も今度からはしっかり口に出す事にしよう。
ご飯を食べ終えると、千佳と那須野さんはまたも母さんの手伝いをしていた。
帰る準備もしないといけないのに律儀な人たちだ。
昨日と同じで残った三人は、テレビを見ていた。
別に見たい番組がある訳でもないが、部屋に戻ってもする事がないのでテレビを見ている。
朝食の片付けが終わると、みんなで帰り支度のため上に上がった。
帰りの支度はそこまで時間はかからなかった。
玄関へ見送りの為に向かうと母さんと父さんがすでにいた。
父さんは今だに話せていないが、母さんは二人にまたおいでと言っていた。
姉貴なんか二人とハグまでしていた。
本音を言えばずるいと思った。だがそれを口に出すわけもない。
だから俺は別の言葉を言う。
「千佳、那須野さんまたうちに来てよ」
「おい、凌平俺は?」
思えば嫌々呼んだのに、この土日はとても楽しかった。
また二人が良ければお泊まりもしたいと思った。次は祐介も読んで。
「凌平………また来るよ。それじゃあまた明日」
「私もまた来ます。小春さん」
那須野さんはハキハキと、千佳はなぜだか小さな声で言った。
「千佳、また明日」
「いやだから凌平俺は?」
俺は三人を見送ってからいつも通り過ごした。
一つだけいつも通りではないのが、先週も思った早く月曜日になってほしいだった。
この気持ちがいつか、いつも通りになる日が来るのかもしれない。
読んでいただきありがとうございます!
今週は1日の投稿頻度が落ちてしまうと思いますのでよろしくお願いします。
その代わりと言ってはなんですが、なるべく文量を増やすつもりです。
あと長い話と短く分けて出すの、どっちがいいか教えてもらえると嬉しいです。
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