二人の恋は始まったばかり
ファミレスから帰って来てから順番に風呂に入る事になった。
俺と秀人は一緒に風呂に入れられた。
男子は風呂上がるの早いからさっさと入って来なさい、と姉貴に言われた。
俺達はその言葉に甘えて先に入ることにした。
俺達は後ろがつかえてることもあり急いで上がった。
風呂を上がって着替えてから、姉貴に上がったことを伝えるために姉貴の部屋へ行った。
俺はいつもならノックをしないところを今日は、姉貴だけではないのでノックをしてドアも開けずに伝えた。
すると勢いよく部屋のドアが開き、姉貴の少し大きい目の半袖ショーパンのパジャマを着た千佳が出て来た。
「これどう?似合う?」
もちろん似合っているが、体のシルエットが分かりずらい服を千佳が着ているのは珍しくて新鮮だ。
その上足が良く見えるショーパンを履いていて凄くいい。
いつも姉貴がパターン化して着ているパジャマなのに千佳が着ると全く別のものに見えてしまう。
しかし千佳は本当にかわいすぎる。
「めっちゃ似合ってて、かわいいよ」
俺は風呂上がりで少しハイになっているのか、普段なら言わないことを言ってしまった。
普段の俺なら赤くなってもおかしくないが、今の俺は風呂上がりになのでとっくに赤くなっている。
だが俺も流石に恥ずかしくなり一瞬下を向いた。
もう一度顔を上げた時に俺は自分の目を疑った。
千佳の頬が赤く染まっていたのだ。
だが俺がその顔を見れたのは一瞬だった。
姉貴が部屋のドア閉めてしまったのだ。
千佳のあの顔はまさか照れていたのか?
いやで今日ファミレスであんなことをして来たのに、今更少し褒めただけで照れるわけもないか。
じゃああの顔はなんだったんだ?
俺が姉貴の部屋の前で考えていると後ろからツクシが飛びついて来た。
俺は考えることを辞めて秀人が待つ俺の部屋へと向かった。
「千佳ちゃん大丈夫?」
私は凌平が何かを言った後千佳ちゃんの様子が変わった事に気づきすぐにドアを閉めた。
陽菜ちゃんと話していて凌平が何を言ったかは分からない。
でも今日初めて会った子だけど、明らかに今までと容姿が違った。
私が声をかけて少ししてから千佳ちゃんは、振り返った。
「大丈夫です。ちょっと照れちゃって」
彼女は可愛らしくそう言ったのだ。
だが千佳ちゃんが照れた?凌平なら分かるが今日何をしても照れるそぶりのなかったあの千佳ちゃんが。
私はここで久しぶりに凌平に対して、やるなと思った。
まあでも凌平のことだしどうせ気づいていないだろう。
私がそんなことを思っていると後ろから声が聞こえてきた。
「千佳、凌平君になんて言われたの」
陽菜ちゃんが千佳ちゃんに少し楽しいそうな顔をして聞いた。
千佳ちゃんは恥ずかしそうにモジモジしていた。
そんな千佳ちゃんに陽菜ちゃんが歩み寄っていき指でツンツンする。
何それ私もしたい、と思ったがさすがの私もそれはしなかった。
そう思っている間に千佳ちゃんはゆっくりと口を開き始めた。
「あのね、めっちゃ似合ってて、かわいいって」
私はその言葉を聞いて驚いた。
普段人の見た目を口に出して褒めないあの凌平が、好きな女の子のパジャマ姿を褒めるだと!
私はカミナリに撃たれたほどの衝撃を覚えて。そして明日は雪が降るだろう。
だがしかし千佳ちゃんの見た目ならかわいい、と言われるなんて日常茶飯事だろうに。
もしや千佳ちゃんも凌平のことが好きなのか?
よかったな凌平、お前の(私の知る限りの)初恋は叶うだろ。
しかもこんな可愛らしくて綺麗な子なんて私が付き合いたいぐらいだ。
いやでも待てよ、凌平とこの子が結婚すれば私は千佳ちゃんのお姉ちゃん。それも大いに結構。
私は二人に恋を絶対に邪魔になることはしないぞ!そう決めて私は千佳ちゃんに声をかけた。
「でも千佳ちゃんぐらいかわいいかったら、それくらい言われ慣れてるでしょ?」
私は凌平を心の中では褒めつつも、さも辺り前だろうという風に振る舞う。
「凌平に言われるのと、他の人に言われるのとでは何か違うんです」
はいー!これは完全脈アリです!凌平おめでとう。
あとは告るだけだぞ!まあこの二人ならそれは長そうだが。
「もしかして千佳、凌平君の」
私は急いで陽菜ちゃんを止めた。
そして千佳ちゃんに風呂に入ってくるように促した。
すると千佳ちゃんは我を取り戻したのか普段通りに戻った。
千佳ちゃんが部屋を出てから私は陽菜ちゃんにこう伝えた
「まだ自覚させないでおこうよ。二人の恋は始まったばかりなんだからさ。」




