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三年間の君への想い  作者: するめ
1年生1学期
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変わらない状況

俺が彼女と出会ったのは、そう中学に入学した日。

知らない教室、知らない人たち(とは言っても知っている顔もチラホラいる)その中でも一際俺の目を引い女性。

俺はその時初めて見惚れってしまった。彼女は俗に言う美少女なのだろう。

髪は肩ほどの長さで真っ直ぐにストンと落ち綺麗な黒い髪。

かわいいと言うよりも綺麗な人だと思った。

やはり綺麗な人やかわいい人、かっこいい人など人の目を惹きつける人には何故か目が離せなくなってしまうものだろ。

かくして今の俺もそうなのだが、しかし気づかれてしまうと、今後どこかで気まずさが出てきてしまうので瞬時に教卓の上に置かれていた座席表へと視線を移した。

俺はそこでとてつもない喜びを感じた。何故なら俺の席は1番後ろの席。

もちろんそこで喜んだ理由は決して授業中に眠れるとかいう邪な理由ではない。

断じてそんな理由ではない。神に誓えるかと言われると…

まぁそれ以外にも嬉しい事はあった。隣の席には俺のゲーム友達の久我秀人(しゅうと)の名前があった。

残念なこともある。俺の席は彼女の対角に位置していた。

そんな事を考えながらおれは静かな教室を進んで行く。

席に着くと俺よりも早く席にいた秀人と少しの雑談をしていたら、また知らない顔が教室に入って来た。

しかしその男性は周りの人達とは違って、制服ではなくスーツを着ていた。

誰にでも察しはつく。先生である。

その先生は、教室に入るとすぐに黒板に何かを書き始めた。

教室には黒板をチョークで叩く音だけが響き、皆書かれていく文字を読んでいた。

先生は書き終えると前を向き


「花崎糀です。よろしく」


そのあとには、今日の予定を話していたが俺は聞いていなかった。

俺は自分の席の対角に座る彼女を見ていて聞けていなかった。

入学式のプログラムよりも俺は彼女が気になってしまっていた。

するといきなりみんなが一斉に立ち教室を出て行き出した。

話を聞いていなくてもこれぐらいの事はすぐに理解できた。入学式を行う場所すなわち体育館への移動だ。




入学式から俺と彼女にこれと言った接点はなく、俺が毎日彼女を眺めるだけの日々が過ぎていった。

だが俺の周りは目まぐるしく変わっていた。

まず俺は小学生の時の友達の誘いでバドミントン部に入部した。

最初は仕方なく仮入部で行ったのだが案外楽しくそのまま入部してしまった。

変化はもう一つあった。秀人の誘いで始めたゲームでクラスの男子と放課後よく遊ぶ事が増えた。

これにより楽しい時間が増えたが、男子と話す時間が増えた事で彼女を見る時間が減ってしまった。

何より男子のグループの中にいるので女子に話しかけづらくなってしまい、まだ一度も話せていない。

しかしこれは言い訳である。

なにせ5月には体育祭もあってクラスの他の女子とはある程度仲良くなっていたからだ。

実際のところ俺が体育祭に関わったのは、練習だけだ。

俺は当日に体調を崩してしまい参加出来なかったのだ。

他のイベントは特にはなく、とうとう中学生になって(人生で)初めての期末テストがあった。

期末テストと言うと大半の生徒は憂鬱になるのだろうが俺はそうでもない。

何故ならテスト期間中は下校が早くなるからだ。

だがこれも一概に喜べた事ではない。その理由はと言うと彼女を見る時間も減ってしまうからだ。

だがこればかりは仕方がないのでこの一週間は我慢せざるを得ない。

そんな事を毎日考えていたらあっという間に試験は終わってしまった。

期末テストが終わると一学期など秒読みである。

あとはテストの結果と三者面談以外には何も変わらない日常のみだ。




期末テストから一週間が経ち今日はクラスがソワソワしている。

今日はテストの結果が返却され、学年順位が発表される日だからだ。

クラスの生徒の中には手を合わせて祈る者や、諦めているのか机に突っ伏している者、何人かで集まって気を紛らわしている者、様々いる。

その中で彼女はと言うと、目を瞑り手を合わせて祈っていた。

しかし俺の目には他の祈る者達とは違う様に見える。

まるで教会で祈りを捧げる聖女様の様に。

しかし実際のところは彼女も単にテストの結果が良くなる事を祈っているのだろう。

そんな風に思いながら彼女を見ていると時間はあっという間に過ぎ、担任の先生花崎が入って来た。

花崎は入って来たらいつも通りにホームルームを始めようとしていたが、あまりにも生徒達がザワついているので咳払いをしてから、テストは6時間目に返します。と宣言した。

すると生徒達はいつも通りの様子に戻った。

彼女は気が抜けてしまったのか机に伏せてしまっていた。

それからは授業がもちろんあるのだがみんなどこか上の空といった様子である。

これには例外はなく彼女も、俺もだ。

しかし俺は普段からそうなのであるので俺からしたら何ら変わらない日常である。

そんな風に時間が流れて行き午前の授業は終わった。

午前の授業が終わると給食の時間である。

給食の時間はみんなテストのことなど忘れて黙々とご飯を食べていた。

しかしその中には例外があったのだ。

俺の隣の席の秀人とその反対側の隣の水上祐介(ゆうすけ)がかなり大きな声で話していたのだ。

だが俺は不快に感じる事は無かった。何故なら俺もその会話に参加していたからである。

しかし俺は二人とは違い声量を落として話していたので周りからは二人で話している様に感じるだろう。

席が遠ければ尚更。廊下で食べている花崎なども秀人と祐介で話している様に感じるだろう。

二人が給食中に話しているのなんていつもの事で周りは気にもしていなかった。

だが花崎はそうではなかった様で教室の後ろの扉が勢いよく開き二人の話す声よりも大きな声で


「お前ら二人は毎日言わすな。少しは静かにしろ。」


それだけ言って教室を出って行って廊下の席に戻り花崎は給食をまた食べ始めた。

教室はいつのことながら大きな笑い声が響いていた。

みんな二人が怒られるまでは話さないのだ。

どうしてそうなったかは分からないがこれがこのクラスのルーティンなのだ。

それからはみんな楽しそうに給食を食べながら話したりしている。

先生もこうなるのが分かっていて怒りに来ているのかは、分からないがこれがこのクラスの日常だ。

給食が終わり5時間目の授業が始まるとまたソワソワしている者もいれば、給食の後で眠そうにしている者もいる。

彼女は眠そうにしている側である。

眠気に耐えてコクリとしている様子を見ると初めて見た時の綺麗な人と言う印象よりも、かわいい子と言う印象が勝ってしまう。

そんな少しのギャップに俺はなぜかドキッとしてしまう。

でも少し心配もある。彼女の席は1番前の席だからだ。

1番前の席だとより先生の目が近いのでお叱りを受けやすい場所であるはずだからだ。

だが先生も彼女が毎日5時間目以外の授業は真面目に受けている事を知っているので軽く注意するだけである。

なので俺の心配していることは別にある。

それは眠ってしまった勢いで頭を机にぶつけてしまはないか、といったものである。

だが俺には心配はできるがそれに対してどうすることも出来ないので毎日この時間は気が気でない。

そんな風に俺は5時間目の授業も集中できていない。

この時間も他の授業と同じですぐに過ぎていった。

そしてとうとうこの時間が来た6時間目だ。

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