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3.色欲の籠、夢幻郷

" コンスタンスという人間を、


 もしラインハルトが一言で表現するとしたら、


 たぶん【ベッドを共にしても、彼女に体位を変えるよう頼めば、眼鏡を押し上げ、「はい、承知いたしました」と真面目に答える】タイプだろう。


 あの人間味のない禁軍の中でも、


 彼女は特に冷淡かつ厳格で有名だ。


 服従心が極めて強く、実行力もずば抜けており、まさに道具人間の鑑といえる。


 しかし、いくらコンスタンスが有能でも、所詮はたった一人だ。


 1000回もの死を経験し、ラインハルトはついに現実を悟った。もし彼とコンスタンスだけなら、クリアは絶望的だろう。


 より良い結末を望むなら、もっと強力な駒を手に入れなければならない。


 仕方ない、ラインハルトは再び、あの禁軍たちとの協力を試みるしかない。


 だが、あの禁軍たちを相手に、脅しや利益誘導は通用しない。しかし今のラインハルトには、別の考えがあった。


 もしかしたら……


 禁軍が皇帝に絶対の忠誠を誓う、その答えはここにあるのかもしれない。


 皇宮を出て、さほど歩かないうちに、ラインハルトとコンスタンスは、帝都で最も有名な歓楽街に到着した。


 【夢幻郷むげんきょう


 そこは絢爛豪華な宮殿で、壮大な佇まいは贅を尽くしており、ただ通り過ぎるだけで、内部から魂を奪うような、うっとりする香りが漂ってくる。


 長年にわたり、世界中の富豪から巻き上げた富は、この堕落した愛の巣をますます壮観にし、隣の皇宮にさえ匹敵するほどだ。


 宮殿前の広場にある噴水には、妖艶なサキュバス像が立っている。


 それはまるで生きているかのようで、硬い大理石が、少女の肌のように柔らかく弾力があるように彫刻され、その双眸は感情を湛え、まるで言葉を話すかのようだ。


 邪悪と堕落の象徴であるドラゴンのサキュバスは、微笑みを浮かべながら、もう一方の端にある帝国の皇宮を見つめている。それは挑発のようでもあり、誘惑のようでもある。


 彫像の名前は「オリヴィア」、色欲と享楽を司る幽域の邪神にちなんで名付けられた。


 そして、ここはハイン帝都で、最も有名な観光名所となっている。


 笑止千万。


 ラインハルトは冷笑を浮かべた。「我が家の名所が、よりにもよって娼館とはな」


 娼館巡りは、帝都の金持ちに好まれる伝統的な娯楽だが、ラインハルトはこれまで一度も行ったことがなかった。


 ハイン帝国の貴族は、その多くが女神の血を引く者であり、禁軍を孕む候補者でもある。彼らは快楽に溺れることを好むが、相手の出自には非常にうるさい。


 そのため、


 彼らは内輪での寝取り寝取られを好む。


 かつてのラインハルトも例外ではなかった。


 だが今日、ラインハルトが夢幻郷を訪れたのは、快楽を求めるためではない。


 ラインハルト:「お前はここで自由にしていろ。後で呼ぶ」


 実のところ、ラインハルトのこの要求は、極めて無茶なものだ。


 禁軍の子宮は、帝国の戦略級資源であり、国教である聖堂は、禁軍が外部でみだらな行為をすることを許さない。


 夢幻郷のような場所は、立ち入りが明確に禁止されている。


 そのため、


 コンスタンスは念を押した。「殿下、禁軍は禁欲しなければなりません」


 しかしラインハルトは、全く意に介さない。「これは命令だ」


 コンスタンス:「……」


 しばしの沈黙の後、コンスタンスは結局、再び折れた。


 コンスタンス:「……承知いたしました」


 こうして、コンスタンスを残し、ラインハルトは襟を正し、少し緊張した面持ちで夢幻郷へと足を踏み入れた。"


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