1.最悪の転生……お前らのせいだぞ!
"悪夢から叩き起こされたように、ラインハルトは目をパチリと見開いた。
辺りを見回すと、そこは彼の寝室だった。
鏡の前に立つと、そこに映っているのは、瀟洒でハンサムな貴族の青年だ。
齢は19歳。
ラインハルトはまた生き返ったのだ。
再びの死を経験した後、彼は物語の始まりへと戻された。
彼、ラインハルト・ハイン。
この国では、彼は多くの称号を持っている。
『ハイン帝国の第一皇位継承者』、『将来有望な帝国の要』、『文武両道に秀でた青年の鑑』、『なぜか人妻とばかり関係を持つ』、『もちろん若い娘にも手を出している』、『良い皇子だが、少々だらしない』……などなど。
同時に、彼は某青い星からの転生者でもある。
転生者としてのラインハルトには、元々本名があったのだが、これほど多くの生死の輪廻を繰り返すうちに、そんな些細なことは忘れてしまった。
今、ラインハルトはぼんやりと鏡の中のイケメンを見つめている。
「また、失敗か……」
この世界に転生してから、システムから与えられた任務は世界を救うこと。その目標を達成するため、ラインハルトはすでに千回も命を落としている。
ラインハルトが怒りで肺が張り裂けそうなのは、この千回の死のうち、半分、いや、少なくとも八百回は……
身内による裏切りが原因だったことだ!!
別にラインハルトの周りに、良心のかけらもない裏切り者ばかりがいるわけではない。
なぜなら、すべての皇帝暗殺事件は、七人の犯人に集中しているからだ。
それは、帝国の七人の禁軍。帝国国教が丹精込めて育て上げた女神の血を引くハーフ種であり、人間世界の頂点に立つ究極の強者たち。
平均すると、禁軍一人当たり、未来の皇帝である彼を百回以上は殺している計算になる。
ラインハルトは、この千回の人生が、まるで同じ歴史ジョークを繰り返しているように感じていた。
『ローマ近衛兵』
ラインハルトの世界を救う過程は、禁軍のお姉様たちの許容範囲を探る過程でもあった。
この世界に初めて来た時、
ラインハルトはまだ、世間知らずで甘ちゃんなオタクだった。
毎日、何の心配もなく飲み食いし、女の子を口説き、この上なく幸せな日々を送っていた。
先帝が崩御し、ラインハルトが皇位を継いだ日。
玉座の下に並ぶ、聡明な文官たち、勇猛な武将たちを見て、ラインハルトは満足していた。
そして、彼の前に跪き、忠誠を誓う七人の美しい禁軍たち。
彼女たちは、ラインハルトを幸福のあまり震え上がらせた。
ラインハルトは、自分が救うべき世界が、まさかS級難易度の世界だとは信じられなかった。
見てくれ、この美しい禁軍のお姉様たちを。
千年に及ぶ育種と選抜によって誕生した、秩序の女神に限りなく近い人工の半神たち。彼女たちは女神の力と精神、
そして、星々さえも色褪せさせるほどの絶世の美貌を持っている。
一瞬、ラインハルトは自分が核兵器の点検をしているのか、それとも妃選びをしているのか分からなくなった。
くそっ、
この禁衛兵……こんなにオタクに媚びてるのか?!
最初から大陸最強の帝国を継承し、傍には彼に傅かれるのを待つ七人の女神の血裔がいる――ラインハルトは自分が世界で最も幸運な転生者だと思った!
しかし、笑えることに。
幸福と同じくらい突然に訪れたのは。
ラインハルトの初七日だった。
即位の翌日、
ラインハルト陛下は、宮中で急死した。
そして、ラインハルトの叔父であり、枢機卿兼帝国一の大富豪であるエッジワース親王が、翌日、数人の禁軍の支持を得て、皇帝に即位した。
これがラインハルトの最初の死だった。
死因:【より高い入札額】
その後、
システムはラインハルトを生き返らせ、彼は再び19歳の年に戻った。
再び生を得たラインハルトは、前回の死の教訓を活かし、発奮努力し、一連の荒業の末、親王を失脚させた。
しかしこの時、まだ世間知らずだったラインハルトは、システムが言う「より高い入札額」が一体何を意味するのか、まだ理解していなかった。
そして、ラインハルトは再び皇帝に即位した。
その後まもなく、官僚の腐敗した風潮を正すため、ラインハルトは第一回目の官僚の財産調査を開始した。
禁軍も含めて。
翌日、
ラインハルト陛下は、便器の上で急死した。
これがラインハルトの二度目の死だった。
死因:【より高い入札額】
今回、ラインハルトはついに異変に気づいた。
民衆の中には、確かに悪人がいる。
しかし、これらの悪人が皇帝を殺害しようとする時、決まって同じ集団の手を借りている!
皇帝の禁衛兵の中に、裏切り者がいる!
三度目の復活で、ラインハルトは、一見彼に忠実で従順に見える禁軍のお姉様たちに注意を向けるようになった。
一体、誰が裏切り者なのか?
しかし実のところ、この時のラインハルトは、まだ甘かった。
幾度もの死、幾度もの裏切りを経験し。
ラインハルトが発見した禁衛兵の中の裏切り者は、ますます増えていった!
一人、二人、三人……
そして最後に、ラインハルトは気づいた。
一人を除いて、残りの六人の禁軍は、全員が金に目が眩んだ裏切り者だったのだ!
誰が皇帝になろうと、
彼女たちは全く気にしない。
まあ、問題ない。
ラインハルトは、この状況に冷静だった。
人間には誰しも欲がある。たとえ半神であっても例外ではない。
どうせ全国で、彼女たち七人の実力者しかいないのだ。交代させることは不可能だ。
ならば、彼女たちの要求をできる限り満たしてやればいい。
こうして。
ラインハルト陛下と彼の忠実な禁衛兵は、ついに平和に共存できるようになった。
七人の半神の力を借りて、
ラインハルト陛下は幾多の困難を乗り越え、数度の死を経験し、ついにこの大地を統一した。
さて、次は。
この大地のすべての力を結集した上で。
ラインハルトはついに地上種族を率いて、高みにいる秩序の神々に、挑戦することができる。
その結果……
秩序の神々は、ラインハルトという皇帝が反乱を企てていることを知ると。
すぐさま禁衛兵に神託を下した。
そして翌日。
ラインハルトはまた死んだ。
死因:【より高い入札額】
今回ばかりは、ラインハルトも我慢の限界だった。
ふざけるな……。
もうだめだ、この禁軍は救いようがない!
皇帝として、ラインハルトは彼女たちの人間としての欲望をすべて満たすことができる。
しかし、神々の賄賂に対しては、ラインハルトにはどうすることもできない。
手にした道具が、主人に牙を剥く凶器にしかならないのなら。
ならば、
見切りをつけるしかない。
さっさと、全員始末してやる!
こうして、N回目の転生の後、ラインハルトはあらゆる手段を使い、禁軍の粛清を開始した。
数えきれないほどの死を経験し、
彼はついに六人の禁軍の弱点をすべて把握し、ゲーム開始から二年以内に、これらの天国レベルの半神を、全員殺害できるようになった。
ただ一人、信頼できる者だけを残して。
しかし、
ラインハルトは、この禁軍の純度をまだ見くびっていた……
ほらね。
彼はまた裏切られた。
その時、システムが声を発した。
【警告!】
【宿主の死亡回数が上限を超過しました。】
【システムは自動的にシャットダウンします。】ガシャン!
システムはそう言うと、完全に沈黙した。
ラインハルトは黙り込んだ。
しばらくして、彼は諦めたようにため息をついた。
「ついに回数制限か。そろそろ復活の機会も使い切る頃だとは思っていた」
システムの復活には、回数制限がある。
そして今、復活機能が停止したことで、ラインハルトはついに殺されれば死ぬ状態に戻った。
今回の命が、最後のチャンスだ。
まあいい。
なるようになるさ。
ラインハルトは伸びをした。
彼がやるべきことは、今までと同じ。
発想を転換し、全力を尽くして、この腐りきった世界をクリアする。
ラインハルト皇子は指を鳴らした。
「誰か、シア・コンスタンスを呼んでくれ」"