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第3話 『君ともう一度友達に』

書きましたー。楽しく読んでください

「いいよ! 友達なろ! 仲良くしようね!」


「ああ、友達になろう」


「え、いいの!?」


「もちろんだよ!」


俺たちがそう答えると柚葉(ゆずは)は涙を流し始めた。


「え!? 泣いてる!? なんかあった!?」


「ううん、違うの。私、初めて友達が出来たの。本当にありがとう」


「初めての友達って…今まで友達いなかったのか?」


「ああごめん。高校で初めて出来た友達ってことだよ。中学校ではいたんだけど…小学生の時はいつもいじめられてて、友達いなかったんだ…だからストレスで小学生の頃の記憶がかなり曖昧なんだよね…はは…」


そう言って無理やり笑顔を作っている柚葉を見て胸が苦しくなった。

______________________________________


放課後の教室で俺は琴音と柚葉と3人で話をしていた。

今日、俺は2人の友達が出来た。茶髪で大人しい遠藤優太(えんどうゆうた)と社交的な成瀬湊翔(なるせみなと)だ。体育の時間に湊翔が話しかけてくれて友達になった。


そして友達ができたのは俺だけじゃないらしい。

どうやら琴音も柚葉も友達を作れたようだ。2人とも今日は一緒に行動していて、琴音がクラスメイトに話しかけまくったことでクラスの大半とは友達になっていた。

顔の広さは俺の方が上とはいえ、すぐに人に話しかけに行ける琴音の方が友達作りは上手いようだ。


「…お前やっぱすげえなーほんとに」


「えへへ、ありがとう」


「私も友達できて嬉しい…」


「ッ…」


――ああ、やっぱり…君の笑顔を見るとあの時の『ゆずちゃん』と重なってしまう。君を『ゆずちゃん』ではなく『柚葉』として見ようとしているのに…どうしても君を今の君として見れない…


「? お兄ちゃんどうしたの?」


「え? いや、なんでもない」


「今日3人でどっか行こうよー」


「えと、琴音ちゃんはどこに行きたいの?」


「うーん…ファミレスでご飯食べよ! あ…でも柚葉ちゃん家に帰ったらご飯あるよね?」


「いや、ないよ。私一人暮らしだから」


「あ、そうなんだ。あたし達も2人だけで暮らしてるし似てるねー!」

________________________________________


「さて、何食べよっか!」


「まだ夜ご飯には早すぎる気もするが…」


「まあいいじゃんいいじゃん! ―まあ今日あたしが料理当番だったから楽できそうだし」


「お前…やられた…」


テヘッ☆っと音がしそうな感じでウィンクしてくる。


「えと、私ハンバーグ食べようかな…」


「あ、じゃああたしもハンバーグでいいかな」


「じゃあ俺も」


________________________________________


「うん、美味しいなこのハンバーグ」


「ねー美味しいこれ」


「ふふっ」


「ん? どうした柚葉?」


「あ、ごめんね…えと、逸希くんの頬にハンバーグのソースが付いてたからおかしくて」


「あ! まじじゃん」


「お兄ちゃん、はいティッシュ」


「ありがと」


「もしかしてお兄ちゃんあたしか柚葉ちゃんに拭いてもらおうとしてたの? 可愛いなーほんとにー」


「なわけないだろ…ったく…」


全く、この妹は昨日のしっかりした感じはどこに行ったのやら…


「「「ごちそうさま」」」


俺たちはファミレスを出て歩き始める。辺りはもう暗くなっていた。


「いやー今日は楽しかったねー」


「ああ」


「えと、じゃあ私こっちだから…今日はありがとう。楽しかったよ」


「…そっか。良かった。また明日」


「柚葉ちゃんまた明日ね! ―じゃあお兄ちゃん、柚葉ちゃんを送って行ってあげなよ」


「…は?」


「こんな暗い中で1人で帰らせる訳には行かないでしょー? さあ一緒にどうぞ!」


…今日は琴音も様子がおかしい。さっきのファミレスといい…俺をからかってるのか?


「はぁ。―えっと、じゃあ送っていくよ」


「あ、ありがとう」


そうして俺は柚葉に着いて行った。


「えと…ありがとう、逸希くん…」


「いいよ」


…会話が続かない。先程までは琴音が話し続けていたから会話が途切れなかったが…俺たち2人だと何を話せばいいかが分からない。

『柚葉』として接すると決めたからには昔の話はあまりするつもりは……ない…とは言えないが、今は聞かない方がいいだろう。


「えと、ありがとね」


「ん?」


「私と友達になってくれて。私本っ当に嬉しかった」


「あ、ああ。俺も嬉しかったよ」


柚葉の笑顔を見て俺は頬が赤くなった。その笑顔はあの頃俺が惚れた『ゆずちゃん』の笑顔と重なった。


「ッ!」


「えと、どうしたの?」


「ああ、いや、なんでもないよ」


「そう?―あ、私のマンションここだから」


「うん、わかった。また明日な」


「うん、バイバイ」


柚葉は俺が見えなくなるまでずっと笑顔で手を振っていた。






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