人でならざる者
どうも久しく投稿していなく本当に申し訳ありませんでした。これからはぼちぼち(もっと投稿しろよって話だけど)投稿していくのでよろしくお願いします!
昔々、ドリスワン帝国の外れにある村で一人の奇妙な少女が生まれた。
両親共に純粋な人間で、至って平房な家系だった。
だが彼女は生まれた。
黒髪の母と茶髪の父、そして白髮の彼女。
黒目の母と黒目の父、そして碧目の彼女。
彼女は、ゲルト家長女、名前をゲルト・マーシャルと言う。
村の人々は驚きはしたものの、マーシャルを快く新たな村の住人として迎え入れた。
そしてマーシャルは村の人々と親の愛情を受けて育っていった。
...しかし事件は起こった。
彼女が生まれ3年がたったある日の、晩のことだった。
その日は朝から勢いのある大雨が降り、なんとも不吉な日であった。
「おかーさん。おとーさんいつ帰ってくるの?」
「もうすぐ帰ってくるわよ。雨で少し遅くなってるだけよ。心配ないわ。」
「そーだよね!おとーさん強いもん!」
マーシャルの父、ゲルト・マーシャル。
彼はこの村で守兵をやっており、この村一番の力自慢の男で、村の人々から信頼され、人気のある人物だった。
彼は亜種を保有していなかったが、実力は十分なもので、普通の魔物なら容易に倒せるほどだった。
そう....普通の魔物なら...
コンコン。
「あ、お父さんが帰ってきた!」
「ちょっとまってマーシャル勝手に扉をあけちゃ——」
「...え?」
マーシャルが扉を開けた瞬間部屋中に血飛沫が舞い、母親の首が落ちる。
何が起こったかわからないマーシャルは、思考を停止し、ただ、そこに突っ立つことしか、できなかった。
そして、入口には大きな人の形をしているなにかがいた。
なんとも異形な姿、顔の形は整っておらず、四分五裂している。
そのあまりにも人とかけ離れた姿には誰でも恐怖心を抱くだろう。
その右手には剣が握られており、大量の血が付着している。
「...おとう...さん...」
「ん?誰のことを言っているかわからんが...この村にはもう君しかいないよ。」
そのなにかの顔は歪みに歪み、表情が読み取ることなど無謀なほどだが彼女には理解できた。笑っているのだと。村の人達を皆殺しにし、その状況を楽しんでいるように。
「なんで...こんなこと...するの...」
「ん?私は狩りを楽しんでいるだけだよ。君達人間が動物を狩るように、私も今人間を娯楽のために狩っているだけだよ。動物が人間に変わり、人間が私に変わっただけのこと。何もおかしな話ではないだろう。」
「...........だったら貴方も狩られる側になるってことね。」
「ああ、だが私は偉大なる魔王様に近しき存在、魔族なのである。そんぞそこらの魔物とは比べ物にならないほど強い!私を狩れるのは私より強い魔族、魔王様、そして勇者ぐらいだ。よもや貴様のような小娘なんぞに狩られるほど弱くなどないわ!」
「......」
「どうした?恐怖で声も出ないか!」
「...魔族って...案外弱いんだね。」
彼女は笑う。目の前の魔族と言うなにかが恐怖するほどの笑みを。
その魔族が反射的に剣を振りかざすほどの笑みを。
「クソガキがぁ——」
首が落ちる。マーシャルのではない。魔族の首が落ちた。断面からは人間のとはかけ離れた紫色の血が飛び散る。マーシャルはそれを眺めるばかりでなんの反応も示さない。
無論殺ったのはマーシャルではない。
「もう大丈夫だ。魔族は死んだ。」
「........誰?」
「私は近くの国の国王をしている者だ。名をゲン・ガイムと言う。」
数名の兵と現れたのはこの村を治める国、ドリスワン帝国の国王。ゲン・ガイム。
彼の剣には紫色の血液のようなものが付着しており、魔族の首を跳ねた本人だとわかる。
「......ガイム.....さん」
マーシャルの表情はピクリとも動かない。
憎悪とも悲しみとも取れる。行き場の失い笑みに変わった表情は崩れることはない。
「....村の皆のことはすまなかった。全て気づくのが遅れた私の責任だ。許してくれなど言わない。今ここで、私を殺してくれても構わない。」
「国王さま!?何を仰っているのです!」
ガイムの言葉に兵の一人が声を荒げガイムの発言を撤回するよう求める。
しかしガイムはその兵を睨みつけ、先に戻っていろ。と強く命令する。
兵達は一抹の不安を抱えながらも渋々村を後にした。
「...さて、邪魔者はいなくなった。どうするマーシャル。私を殺すか?」
「....殺さない....私がするのは狩りだけ....虐殺じゃない。」
マーシャルの体は小刻みに震えている。俯いているため表情はわからないが、ガイムには我慢をしていることはわかった。
無理もない。彼女は齢3歳というまだ幼子だ。そんな幼子に家族の命を目の前で奪われ、 そして犯人は死に、助けられる力を持った者が遅れてやってきた。もっと早く来ていれば....なんぞ誰にでもわかることだ。
大人だろうとその憎しみや悲しみは簡単に抑えられるものではない。叫び、嘆き、時に暴走するだろう。しかしマーシャルはその全てを1メートルにも満たないその小さな身体で全てを受け止め爆発しないよう押さえつけているのだ。よもやこれが3歳の姿なのだろうか。
ガイムはその全てを察しマーシャルの小さな身体を抱きしめる。
「....ガイムさん。熱い離れて。」
「ああ、すまん。........マーシャル。君はこれからどうする?」
「........ガイムさん....強いんだよね。」
「ん?ああ、私は強いぞ。」
「じゃあ私を強くして。」
彼女は顔を上げガイムを真っ直ぐ見つめる。先程までの憎悪や悲しみの笑みではない。何かを覚悟し、決意した芯のある瞳でガイムを見つめる。
「っ!........わかった。では時にマーシャルよ。その魔族が持っていたその剣を持ってみせよ。」
「.....この剣を?」
魔族が持っていた剣はサイズ的には一般的だったがまだ小さいマーシャルからしたら自分の身長と同じくらいの物を持ち上げるというクソ鬼畜なことをやらそうとしているこの国王の発言に驚きを隠せない。
「ああ、その剣だ。その剣には特別な力が込められている。」
「特別な..力?」
「ああ、"亜種"と言う特別な力だ。」
「....亜....種」
「ああ、その力は君の世界を変えるやもしれん。」
「世界を....変える...」
「...そして今に至る。本当はゲルト・マーシャルなんだけどね。ゲン・マーシャルを名乗らせてもらっているよ。」
「.....」
驚いた...ガイムのおっさんこの国のトップだったのかよ....もう何がなんだか...。
「先程君に突き立てた剣はその剣だ。」
「...亜種...ね。亜種のことはガイムさんから聞いてた。」
「なんだ、もうガイムとは会っていたのか。」
...彼女はどうしたいんだ?俺に昔話をして。俺に何をさせたい?目的はなんだ?
「えっと....俺は...どうすればいい?」
「....ついてきてくれ。」
そういい彼女は立ち上がりまた歩きだす。
また移動かぁ...もう何がなんだかわらないんだよなぁ....でも何かがあるのは確定してるし...
「どうした。早くついてきてくれ。」
「あ、すみません。」




