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刀剣の終  作者: 如月初代
〜始物語〜「ドリスワン帝国」
3/14

降り立った世界。始まりは迷子。

さて、始めるとは言ったもののどうするか。...ここもどこか分からんし...まず歩いてみるか。


............

......

...


30分ぐらいだろうか。隅々まで歩いてみたがなんだここ?ヨーロッパ風の建築に花壇にきれいに植えられた手入れがされているであろうよくわからない花々。他にも様々な生活感ある。こんな街並みなのに誰一人姿が見当たらない。...まるで時が止まったようだ。


「...なんだか気味悪いな。」


本当にさっきから誰も見当たらない。ここかどこかもわからないし本当にどうすれば...


「おい、そこのガキ。」


「!?」


な、何!?いつの間に俺の目の前に!?


「見ねぇ顔だな。お前、誰だ?」


「俺?俺は如月幸村だ。そういうあんたは誰なんだよ?」


「俺か?俺の名前...ガイム、ガイムでいい。」


歳は...5、60代だろうな、良い体格に、長い髪を後ろでまとめて、なんとも渋い声に渋い顔、イケオジって感じだな。髭も整っていて清潔そうだ。白の学ランみたいな服だな。汚れが一つもない。

武器は...このデカさで短剣一本?見た目とのギャップがすげぇな。

そして最大の疑問はずっと座っている。とても気まずい。立てばこのおっちゃんの方が全然高そうだが座っているおかげで俺が見下ろす形になっている。なんとも気まずい。


「...じゃあガイムのおっさん。ここはどこなんだ?」


この世界に降り立ってからまだガイムのおっさんとしか会っていない。ここでできる限りの情報を得られなければこの先どうしようもできない。だから、頼むおっさん。


「ここ...か。...ここはかつてドリスワン帝国と呼ばれ栄えていた国だ。」


「かつて?今は違うのか?」


「ああ、この国は世界の初代英雄様がその人生を過ごしたとされている帝国だ。その前からもこの国は栄えていたんだがな、今ではこの有り様だ。」


「...この...有り様...?」

人がいないことを言ってるのか?確かにここに来るまで誰一人として人が見つからなかったが荒れていた様子はどこにもないし...人が全員何かしらの原因で逃げた、もしくは避難等をしたとしてもいくらなんでもきれいすぎる。どういうことだ?


「この有り様って...どういうことだ?確かにガイムのおっさん以外の人、動物すらいなかった。そのことか?」


「あ、いや...まて?人がいない?こっちには人がいないのか?」


「こっち?どういうことだ?どっかに人がいるのか?」


「...いや、いい。理解した。小僧、城には行ったか?」


「城?そんなものあったのか?」


「ああ、街外れにあるからわかりにくいかもな。回れ右をしてこの道をまっすぐ進め。そしたらじきに城が見えてくる。分かったな。分かったなら回れ右してとっとと城に行け。」


「おい待ってくれ。急にそんなせかされても。わかんねぇよ。どうしたんだよそんな急に。てか道端に座ってないで立ってくれよ。」


そして俺が歩み寄ろうとするとガイムのおっさんは俺を睨み叫んだ。


「俺に近寄るな!」


「!?...なんでだよ。」


「...小僧には関係ない。とっとと城へ行け。」


「...」


流石にこの態度には苛つく。説明もしねぇ。俺を追い払おうとしているようにか聞こえねぇ。本当はもっと情報を聞こうと思ったんだがこれ以上は手が出てしまいそうで怖い。ここがドリスワン帝国という所だと言うことだけでも分かったことだし良しとしよう。


「わかった。おっさんの言う通りにするわ。じゃあな。」


そう言い俺が歩きだそうとしたその時だった。近くの家から物音がしたかと思うと人...いや、腐人(ゾンビ)のような生き物がその家から出てきたのだ。


「は?」


俺は一瞬理解できなかった。そのきれいな街並みとは真逆のような存在に。その醜い存在に。当たり前だ。元いた世界ではこんな生き物など存在しないのだから。そんな生き物が目の前に存在しているんだ、誰だって思考が停止する。


「避けろ!小僧!」


その腐人(ゾンビ)は人間とはかけ離れた速さで接近してきていた。

ガイムのおっさんの言葉を頭が処理したときにはゾンビは俺の1Mあたりまで近づいてきていた。

そして俺はその時完全に理解した。


()()()()』と


この世界は元の世界よりも命が軽い。こんな生き物がゴロゴロいるのか?人が簡単に死ぬのか?

俺は...()()()()()()()()()()

そう実感し振りかざされようとしている腐人(ゾンビ)の手を見、目をつぶる。


【伍種斬器(ごしゅざんき):風舞翠槍】」


背後からそんな声が聞こえた。そして目をつぶって5秒がたっただろうか。なにかされる感じがない。不思議に思い目を開ける。そうすると脳天を絵の部分から消え始めている槍で貫かれ地面に倒れている腐人(ゾンビ)が目に入った。

あまりの酷い有り様に胃の中の物が出てきそうだった。


「...おっさんが助けてくれたのか。」


「ああ、なんとか間に合った。」


改めて実感した、ここはゲームの世界みたいにコンテンニューできない。死んだ残骸が消えるわけじゃない。

死んだらそれでもう終わりだ。そんな中で俺は魔王を討伐するという責務がある...俺は本の中の主人公のようにはいけないな...


「おっさん。どこから槍なんて取り出したんだ?それに消えてってるし。」


「...亜種を知らないのか?」


「ああ。教えてくれ。」


「亜種も知らないってことはお前は何者なのか、事情は聞かん。...わかった。教えてやる」


「頼む。」


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