第1話
主人公、神木 健斗16歳は、東京の下町の私立上恐高校1年生だ。この学校は進学校ではなく、スポーツに力を入れる学校だった。ただし、健斗は、スポーツクラブには無所属で帰宅部だった。そして、健斗はケンカは一目置かれるほど強かった。
健斗は制服の白いカッターシャツの第一ボタンを外し、茶色のストライプのネクタイをルーズに締め、紺色のブレザーの制服もややだらしなく着ていた。しかし、なぜかイケメンだった。
この日、ホームルームも終了し、放課後、健斗は帰る支度をしていた。
クラスメイトの2人の女子が口論していた。
A子が「B子!私のC男を取らないでよ!彼は私を好きなんだから!」と抗議した。
B子は、それに対して「私が野球部のマネージャーで彼は部員ということで、うまく関係がいっているので、付き合いは、やめないわ!口を挟まないでね!」と反論して、A子もB子も一歩も譲らない。
全くもって、いつでも、こんな争いは日常茶飯事だった。
2人の女子生徒が、いさかいをしていた時、健斗の親友の左雨 真之介が声をかけてきた。
「ねぇ、健斗、数学のノートを貸してー!」と健斗に頼んだ。
それに応えるように、健斗は「ああ、いいよ。でも、未来なら、もっと詳しく書いてあるから未来に頼んでやるよ。」と返事をした。
健斗は離れている席にいる未来に向かって、数学のノートを貸してくれるように、大きな声で、頼んだ。
未来は、すぐに数学のノートを持ってきて走り寄った。
未来は健斗との幼馴染だった。前外間 未来という名前だ。
未来は「はい。数学のノートだよ。重要なとこも控えておいたよ。」と健斗に手渡した。
真之介は「俺がノートを借りたいんだよ!ありがとう!」と言って、受け取った。
未来は「私は今日も家の用事で忙しいよ。真之介、ノートは数学明日授業ないから明後日に返してくれたらオッケーだよ。」と言って、自分の席に戻って行った。
真之介は「幼馴染が一緒でいいなぁ。しかも優等生だしな!じゃあ、ノートも借りれたし、健斗、一緒に帰ろうよ。」と言って、帰ることを促した。
健斗と真之介は学校を出て、2人で歩いていた。
真之介は「今度のテスト、難しそうだな!」と話していた。
突然、2人の目の前に7人ぐらいの男子高校生が現れた。他校の生徒だった。いかにも、腕力がありそうな生徒たちだった。紺の学ランを着ていた。
「よう!久しぶり!健斗!元気だったか?」と尋ねた。
声をかけたのは、リーダーの七扇 白竜だった。
「どうだ?俺のいる学校に転校する気になったか?お前が、その腕を持っていながら、今通っている学校で、みすみす腕が落ちていくのを見るのは忍びない。」と言って、転校を促した。
七扇は空手の名手だった。家業は空手道場だった。
七扇は、引き連れた手下の7人のうち3人の手下に健斗と真之介を攻撃するように命じた。
それを聞いて、真之介は「きゃーーーーー!!!!!怖いよーーーーー!!!!!健斗、助けて!!!!!」と叫んで、すかさず健斗の後ろに回った。
手下3人は遠慮なく、攻撃しようとした。
健斗は3人に対して、拳で左右のストレートやフック、アッパーを撃ちこんだ。
左右のミドルキックやハイキックで、3人を倒した。
七扇は自分の配下が惨敗したにも関わらず、上機嫌だった。
七扇は「お前の腕が落ちていないので安心した。早くこっちの学校に来い!待ってるからな!じゃあな!」と最後まで、勧誘を忘れなかった。
倒れた手下3人は4人の手下が支えたり、背負って帰った。
健斗が七扇と知り合ったのは、あれは健斗が中学2年生の時だった。
学校帰り、1人で歩いていると、他校の中学生2人とチンピラ2人が戦っていた。1人は七扇で、七扇は強く、相手を攻撃していたが、もう1人の中学生は苦戦していた。あまりの攻撃のひどさに、健斗は、もう1人の中学生に加勢した。すると、あっさりチンピラは、その場に倒れた。チンピラ1人は「覚えとけよ!」と捨て台詞を吐くと、2人は走り去った。
七扇は「お前、強いな!ありがとう!俺は橘中学2年の七扇白竜だ!お前は何て名前なんだ?」
健斗は「俺は、名乗るようなたまじゃねえよ!」
七扇は健斗の男気に惚れた。以来、七扇は、高校生になった今でも、自分の所属する高校に転校を勧めるように時々、現れるようになった。
これが、健斗と七扇の出逢いの始まりだった。
真之介は「いや~!すごいよー!健斗は日本一!」と褒めた。
健斗は「大したことないよ。」と謙遜した。
2人は、それぞれの家に帰った。
2022年12月17日記載