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第二章 白い海と白い少年
潮の匂い。
波の音。
でも、目に見えるものは何もない。
波打ち際に一人の少年が座っていた。
白銀の髪の毛が潮風に吹かれてなびく。
「僕は今どこにいるんだろう。」
世界が真っ白。
自分の居場所も分からない。
静かに海を聞いていると、後ろから声をかけられた。
「ぼっちゃま、そろそろ帰りましょう。さぁ、私の手に掴まってください。」
「うん。」
そして、海辺にある大きな白い家のなかに入っていった。
その海をみて、泣いている少女がいた。
また、白い少女が泣いていた。