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『神楽へ』
急な手紙ごめんな。
今この手紙を読んでるって事は、俺はもう死んでるんだよな。
実は、神楽が俺を殺そうとしてるのは分かってたんだ。
あの夜、刃物を持って俺に突き刺そうとして。
はじめはびびったけど、神楽の部屋から聞こえたんだ。
お前が俺を殺したいって。
そん時は誰と話してんだか分かんなかったんだよな。
独り言かと思ってた。
そしたら、夜中にすごい真っ白な女の子とあって、悪魔だっていうから冗談だと思ったんだ。
でも、お前のことを聞いて確信した。
あの悪魔は俺にそのことを相談してきたんだ。
「あなたを殺したいって言っているけど、どうすればいい?」ってな。
俺は「あいつが願うなら別にそれでいい」って答えた。
それで俺は近いうちに死ぬことを分かってたんだが……。
それで、お前に最後言い残したことがあったんだ。
今まで悪かったな。
ありがとう。
『兄・時隆より』
「なにそれ?」
一人の黒い少女が尋ねた。
「今のはね、ある人からのメッセージ。」
もう一人の白い少女が答えた。
「ある優しいお兄さんから自分を恨んだ妹へのメッセージよ。」
そして、白い少女は泣いた。
死んだ兄と生きる妹への幸福を祈って。
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