―★―
あるところに小さな国がありました。
その国は小さいながらもみんなが幸せでとても平和な国でした。
国には双子の王子がいました。
二人は見た目はそっくりでしたが、兄は真面目で明るく、弟はわがままで不器用と、人間性だけは似ても似つかない双子でした。
でも双子はとても仲がよく、いつも二人で国のお手伝いをしていました。
そんなある日、双子の兄が大きな国の女王と結婚することになりました。
弟のほうは喜んでいるようでした。
これで国もより平和になると思われましたが、とても大変な事件が起きました。
双子の兄が行方不明になったのです。
しかし弟は兄がどこにいるか、心当たりがありました。
使いや城の人たちには何も言わず、一人で兄の下に向かいました。
弟が向かったのは街の外れにある小さな小屋でした。
そこは人形劇をする女の子の家でした。
兄はやはりそこに来ていました。
弟は兄に帰るよう説得しましたが、兄はなかなか首を縦に振りませんでした。
そしてついに兄は黒魔術という禁止された力を使い、悪魔を呼び出しました。
悪魔は弟を命令された通り殺しました。
それからと言うもの、双子の兄は小屋に住む女の子と幸せに暮らしました。
「めでたし、めでたし」
白い少女は遠くの一点を見つめながら言った。
「めでたくないわよ。それから国はどうなったの」
黒い少女が聞いた。
「さあね。10年後に確かめに行けばいいじゃない」
「10年も待てないな。その双子の兄、人形にでもしてやりたいよ」
「好きにすればいいわ」
.
.
.
.
.
.
.
.
*
*