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――☆――

放置しててすみませんでした(泣



浜崎たちは誰もいない静かな校舎で絶叫した。



「うわああああああ!!!ゆゆゆ、幽霊……!?」


「うるさいな、もう。どこに幽霊がいるのよ」



少女は厭きれたようにはき捨てた。



「…え?」


「幽霊なんかどこにもいないじゃない?」



浜崎たちはまぬけな顔をして彼女を見た。

足があってしっかり立っているし、別に透けているわけでもなく、そこにちゃんと存在感を感じる。


彼女は幽霊ではない?



「君たち、この学校の生徒?」


「は、はい」


「何年?」


「に、二年です」



少女はふーんと鼻を鳴らし、浜崎たちを見回した。



「私と同じね」


「そ、そうなんだ」


「うん、昔の私と同い年」


「む、昔…?」



少女は笑いながら言った。



「そう、昔の私は二年生だったんだ。でもいつの間にか何年も経ってて、気づいたら私のクラスには知らない子ばかりになってた……なんでだろうね」



少女は笑顔で話していたが悲しそうにみえた。

毎日を過ごしていたら急に回りが自分のことを忘れ始め、自分が消えたようだった。

みんなが卒業していくのを隅でみていたあの日。

けれど誰一人、自分の存在に気づく者はいなかった。


悲しかった。





「………」


「ごめんね、こんな話して」



浜崎たちは黙って彼女の話に耳を傾けていた。

外は真っ暗で物音ひとつしない。

その闇を照らすかのようにその少女は立っている。



「ねぇ、君は幽霊じゃないの?」


「…違うわ、きっと」


「?」



彼女は笑っていた。

光のない、闇が広がる。

そのとき、彼女はもうそこにいなかった。



まだ、最後に言い残したかと場の余韻が残っている。



”また、話そうね。白羽病院にきて、そしたら――――――”



その後何を言ったかは分からなかった。




彼女はきっと幽霊だった。

なぜ彼女は死んでしまったのか分からないが、とても悲しそうだった。


白羽病院でなにかがあったのだろうか。




そこには悲しい少女の物語があったのだ。




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