17/40
第三章 宇宙のはじっこ
ソラ。
青い草原を黄色く照らす真ん丸の月。
宇宙にぽっかり開いた穴のようにみえてくる。
そしてまわりをちらちらと星がたくさん輝いている。
流れ星が君もおいでよ!って呼んでるみたいに私を誘う。
だから私も連れていって!といつも空に手をのばしてつかもうとする。
すごく近くに感じられるあの星はやっぱり遠くてつかめないんだ。
何度も繰り返すけどとどかない。
とどくはずがない。
それくらいは分かっている。
でもやっぱり手をのばす。
とどかない。
手をのばす。
とどかない。
手をのばす。
とどかない。
手をのばす。
とどかない。
何でこんなにも近くでとどきそうなのに、こんなにも遠くてとどかないのか。
星たちは待ちくたびれたようにソラから次々に流れて去っていく。
待って、行かないで!と手をのばす。
でもとどかない。
「きっと私たちの距離も、こんなにも近くで、でもこんなにも遠い…」
少女は小さく呟いた。
あのソラに手をのばしてとどいてほしい。
ほんの少し触れるだけでもいいからとどいてほしい。
そうすればきっと、この思いも伝わる。
きっと伝わる。
宇宙のはじっこにある私の思い。
とどけ。