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第28話  一緒に行こう


ーーSideバルザックーー


 今日も普段と代わり映えのない1日だ。店のカウンターに腰掛け来ない客を待ち続け日が暮れる。別に他にすることも無いし嫌いではないので文句は……あまりない。


「バル君、お姉ちゃんこれを届けに行ってくるから良い子でお留守番してるんだよ」

「はいはい。取り扱いは気をつけてね。引き渡したらこっちに非はないから……くれぐれも転ばないように」


 姉さんは多少むくれながらも手を振って出て行った。店番をするのは構わないが人と接するのは正直好きではない。それを察してくれて姉さんはお使い関係の仕事は自分から進んで買ってくれる。


「姉さんが帰ってくるまで暇だなぁ」


 独り言を呟く。ギルドで商品内容の確認……1時間ぐらいかな?寝て待ってようかな?でも店で寝てたらジイちゃんが怒るからな……自分は遊びほうけてるのに。


 10分と経たずに姉さんが戻ってきた。片手には魔法具が入った袋。膨らみからして中身はそのまま……まさか、


「姉さん、なにか事故?なんで引き渡してないの?」

「え?あ、あ……あ〜お姉ちゃん急にお腹痛くなっちゃって、バル君代わりに行ってくれないかな?」


 嘘が下手過ぎる。顔色は良好。呼吸の乱れもない。それに嘘をつくのならせめて具合が悪そうなフリぐらいしてほしい。


「……姉さんこっち来てよ。魔法で治すから」

 万一本当はだったら色々と困る。外傷なら問題なく治せるが病気は治さないほうが本人の為だ。


 腹痛を止めることは簡単だ。しかしその後腹痛の原因は体内に留まり続ける。病原菌ならばそれを排除すれば本来治す筈の力は生き場を失い自分自身を攻撃しだす。下手に手を打てない。


 そして健康な者に治癒魔法を放てば少なからず害は出る。姉さん相手にそんなヘマはしないが治癒魔法を使える姉さんはそれを知っている。


 姉さん……どう出る?


「あ……え〜と……あのお姉ちゃんは、その……」


 しどろもどろになってるな。嘘をついた罪悪感もあるのだろうがさっさとギルドに渡してきてほしい。僕は行きたくない。


「その……今日はお姉ちゃんは…女の子の日だから……ね」


 なんだそれ?いくらなんでも卑怯過ぎるだろ?僕が男だからそんな事言えば納得するしかないとでも思ってるのか?


 姉さん……味な真似をするようになったね。


「……わかったよ。僕が行ってくるから姉さんは休んでていいよ」

「ありがとうバル君!店番だけならできるから、あ!でも外に出るならパジャマはダメだよ」



 姉さんと言い合うのも嫌だから大人しく従おう。そしてさっさと戻ろう。今日は誰に声をかけられても無視だ!

 不機嫌オーラを全開にしつつギルドの扉を開けて受付へ、よしよし周りは空気を読んでるな。静まり返ったギルド内、いつもこのぐらい静かに過ごしてもらいたいものだ。


「バルザック?」


 チッ!心の中で舌打ちをする。やはり声をかける奴がいるな。ここは僕の不機嫌をわからせつつ黙らせてやる!


 あと呼び捨てにするな!


「誰だよ僕を気安く呼ぶのは――」


 そこには長い金髪の女の子。レイラさんがいた。変なボードを持って、内容は…………あ!?

 魔物退治?なんでレイラさんが……不味い!今の僕は慌てふためいてないか?……クールにクールに!


「バルザックはお使いですの?偉いですわね」

「え?あ……ああそうなんだよ。レイラさんは何してるの?魔物退治って危なくない?」


「ニーチェ先生様にこれを魔物相手に使ってみろって言われましたの」


 レイラさんはおもむろに胸元から宝石を取り出し


「――!ちょっと待って!」

「え?キャ」


 小さな悲鳴と同時に宝石を握り周りの目から隠す。

「それは人目に出しちゃダメだ」

「あ、ニーチェ先生様も言ってましたわ」


 なんとなく事情が理解できてきた。姉さんが僕を寄越した理由はこれか……僕がレイラさんを守る騎士になれと。


「僕が一緒に行くよ。危険なことからは守るからさ」

「あ――、でも、わたくし……」


 レイラさんの歯切れが悪い。下心があるんじゃないかと思われているのか?ニーチェとか言うバカ女が影でなにを言っているかわかったものじゃない!

 しかしない!下心など一切ない!でも言葉に出してしまってはより印象が悪くなるだけだ。


 どうする?


「わたくし、バルザックとはお友達ですから、その……利用するみたいな事はしたくありませんわ」


 クソッ!僕はなんて浅はかなんだ!レイラさんの心は純粋そのもの。それに対して僕ときたら……クソッ!


「あ〜え〜っと僕もたまには運動しないといけないと思ってたからさ。良かったらい、いいい一緒に行かない?」

「バルザックは優しいんですのね。お言葉に甘えてもよろしいですの?」


「もちろんさ。それでどの魔物を討伐するの?」

「ニーチェ先生様は難しい依頼とおっしゃってましたわ。メイデン達はゴブリン退治が1番難しいと……わたくしどの依頼が難しいのかわかりませんの。良ければ教えてくださる?」


 難しい依頼か……アレの試し打ちなんだろうけど……1回見た限りだと…………ゴブリンが妥当だけど、


 チラリとレイラさんの胸元をみる。やましい気持ちからではない。胸にしまわれた宝石。色が変色していた。魔力の純度が増している。別物の可能性もあるけど普通に考えて更に魔力を込めたか……


 魔法具ではありえないが本人の力に染まったのか。


「難しいかどうかは知らないけどこれでいいんじゃない?緊急性もないしのんびり行けるよ」

「…………わかりましたわ!コレにしますわ!」



 内容は廃村に住み着いた魔狼の群れ討伐。

 

 



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