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第22話  ドミナートル

 

 ーーSideバルザックーー


 バルザック.ガーソン 世界に確認されている5人目の魔法適正S。他とは身体の創りが違う。同年代の神童など及びもしない高みに位置している。


「メイデンもそうですけど見た目は普通ですのね」


 僕は今レイラさんに顔をペタペタと触られている。


「あ、でも顔が赤いですわ」

「あえ?ああれだよ、あれ……え…ともう春だから暖かくてさ!」


「そうなんですの?それよりもわたくしの魔法を見てまして?バルザックから見てどうですの!?」


 空に打ち放ったファイアアローか、射程は10〜12メートル、15メートルから魔力の消失……この程度なら誰でも出来るんじゃないかな?


「す凄くキレイに上がってたね。驚いたよ」

「褒められましたわ!ありがとうですわ!」


 緊張して声が上擦る。チラリと視線を姉さんに向けると微笑ましい物を見ている目。助け舟を期待したけどそれを承知のうえでニッコリと笑いかけられた。姉さんは何一つ舟を出してくれない。


「これを持つと魔法が使えるようになりましたの!」


 レイラさんは輝く石を見せてくれた。遠目からでもわかったけど近くで見ると……


「…………嘘だろ?こんな物あるのか!?」


 思わず驚愕の声を漏らし石を間近で見つめ続ける。確認されている魔法具とは作りが違う。これは魔法具に分類されるのか?


「だ……誰が作ったの?僕に会わせてくれないか?」

「あ、あの、それよりも……手を」


 ん……手?

 自分の手を見るとレイラさんの手を握っていた。透き通るように白く柔らかくて温かい手。それを僕は無遠慮に触れていた。


「ああぁぁああ、ごごゴメン!えと、え〜と姉さん!」


 どうしていいのかわからずに姉さんに助けを求める。目でダメなら直接訴える。


 僕にはどうしていいのかわからない。


「レイラちゃん。バル君は年の近いお友だちがいないから嬉しくて手を握っちゃったみたいなの」


 違う!なんで姉さんはいつも鈍感なんだ!


「そ、そうなんですの?……でしたら握って構いませんわ!」

「……う、うん」


 断ることもできずにレイラさんと手を繋ぎながら苦ったらしい紅茶を啜った。


 ………………


「バル君、私そろそろ帰るけどどうする?」

「え?」


「二人とも帰ってしまうんですの?」


 レイラさんが寂しそうな目を向けている。カーター家の実子。安全な町を一人で出歩くこともできないと姉さんが言っていた。多分僕達が帰ればレイラさんは一人になってしまうのだろう。


 ゆっくり息を吸い込み勇気を振り絞る。


「僕、もうちょっとここに居てもいいかな?……レイラさんが良ければだけど」

「勿論ですわ!わたくしも沢山お話ししたいですわ!」


「レイラちゃん、バル君をお願いね。バル君、レイラちゃんの方がお姉さんなんだから言うこと聞かないとダメだよ」


 姉さんは僕とレイラさんの頭を撫でて帰ってしまった。……同い年なのにお姉さん?何言ってるのかな?


「……バルザックはいくつですの?」

「僕?10歳だよ」


「……誕生月はいつですの?」

「8月」


 レイラさんが震えだした。握っている手から伝わる感情がある。


「わたくし5月ですわ!わたくしの方がお姉さんですわ!わたくしはバルザックのお姉さんですわ!」


 嬉しそうに僕の手を握りしめるブンブンと上下させる。大富豪の娘だから大事にはされていても、頼りにはされないんだろうな。僕と言う格好の年下……3ヶ月しか違わなくてもお姉さん扱いされるのが嬉しいのだろう。


「お姉さんのわたくしがお家を案内してさしあげますわ!バルザック、こっちですわ!」


「ちょっと待ってよ」


 …………

 ……………………


「ここがわたくしの部屋ですわ!」


 凄いな。この1室だけは王族の部屋と見劣りしない。そしてかなりの結界が張られている。

 それよりも重大な事がある。


 女の子の部屋に入ってしまった。甘い香りがする。頭がクラクラしてきた。幻覚魔法の耐性が落ちてるのか?


 違う! 僕がこの子に耐性がないだけだ。


 魔法では解決できない領域。別の事……別の事を考えるんだ。全く関係ないこと。ここはレイラさんの部屋じゃない!ここは王族の部屋……頭の悪いバカ共の部屋……よし!


「レイラさん、さっきの魔法具?かな?もう一度見せてもらっていい?」

「いいですわよ!でも差し上げあげませんわよ」


 手渡された時に微かに指が触れ合った。さっきまでずっと手を繋いでいたのに、また顔が熱くなってしまう。

 幸いレイラさんは気付いてない。



「つい最近作られている……魔法具じゃないな。大昔の技法を使っている。媒介は……宝石(ルビー)。純度の高い魔力を圧縮して……精錬圧縮?」


 どうやって作ってるんだ?1つだけ言えるのは、これを作った奴は……天才だ。宝石に文字が刻まれている


 …………古代文字ロストワードか、読めないな。  dominator と刻んである

 古代文字は読めはしないが意味は誰でも理解できる。300年も昔に失伝されたとされる魔法の文字。


 dominatorの意味は支配者 


 この魔法具(仮)の名称だろうか?見れば見る程わからない事だらけで興味がそそられる。



「わたくしなにもわかりませんけど、バルザックは一目見てそんなにわかるなんて凄いんですのね」

「……凄いかも知れないけどさ、その結果寄ってくるのは僕を利用しようと企む奴だけさ」


 僕は普通ではない。それは自覚している。普通ではないということは周りから孤立させられる。僕にはジイちゃんと姉さんしかいない。


「わたくしはバルザックを利用したりしませんわよ!わたくしの大事なお友だちですもの!」


「うん!ありがとう!」

ジル&メイデンの感謝とおまけ


「ブクマしてくれた読者様、ありがとうございます!」


「ジル様、次回予告をしてみたいのですが宜しいですか?」


「良いけどなんで確認取るの?……はい次話の内容」


「勝手にやると怒られそうなので…………はい!

次回はタウロス兄様が町でモテモテに!数々の誘惑を断りジル様に告白できるのか!?《次回タウロス死す!》今こそ卵を割る時だ」


「全然違うじゃない。次回までバルザック君のお話!なんで嘘つくのよ!」


「あの姉弟がレイラお嬢様をイヤらしい目つきで見ているもので、無理矢理終わらせようかと思いました」


「イヤらしい目つきなのはアンタだけよ」



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