⭐︎第18話 決戦 〜show down〜
「き金髪ロリ……お前マジッスか?銅貨10枚を……えぇと……10万倍に増やしたんスか?」
「あ!シノブ様に、ニーチェ先生様!わたくし飽きたからもう帰りたいですわ!こんなのつまらないですわ」
不機嫌そうだったレイラはシノブとニーチェを発見すると表情が明るくなる。レイラにとってポーカーは配られたカードを見せればお金が増えるだけ。ギャンブルでもなければゲームですらない。
しかし大勝ちが過ぎている。店としても金貨1000枚を簡単に持っていかれる訳にはいかない。例えカーター家の実子であろうとも。
後ろではディラーが強い口調で怒鳴られていた。
「だからカーター家の血筋を店に入れるなって言っただろうが!お前達はあの子の親……ウィル.カーターがどうやってこの町の土地権利を持ったのか忘れたのか?全部ギャンブルだぞ!」
「持ち金が銅貨10枚ぽっちでしたので……大丈夫だと思い……申し訳ありません!」
「それがカーター家の手口なんだよ!勝負したら勝つんだよあの家は!…………クソッ!アレをやるぞ!」
カジノのオーナーらしき男がレイラに近づき
「私とも一勝負していただけますか?」
「シノブ様達がわたくしを待ってるからもう帰りますわ。お金は……メイデンに取りに来させますわ」
「待ってください!一回だけ!一回だけ!」
食い下がるオーナーにレイラがため息をついて席に座り直した。
「一回だけですわよ」
ーーーーSideオーナー
カジノでの不正は厳密には認められている。しかし俺のカジノは絶対公平がルール。皆に楽しんでもらう為だ。しかし一人の客に金貨1000枚も抜かれたら営業の危機だ。阻止する……なんとしても……プライドを捨てる。
ディラーに合図を出しカードをレイラに1枚。俺に1枚。レイラに1枚とそれぞれ合計5枚のカード。
ディラーに目配せすると小さく頷いた。準備は万端だ。
「レイラ様……この勝負青天井……上限無しにしていただけませんか?」
「構いませんから早く終わらせますわよ」
ゆっくりとカードをめくる。よし……打ち合わせ通り10ハイのフォアカード。そしてレイラにはQハイのブタが配られているはず。
ふぅ〜。とりあえず負けは間逃れたな。レイラ.カーターは金輪際出禁だ。レイラが降りても一応メンツだけは保てる。客達は不信に思うが余興と言うことにしよう。
「青天井……カーター家の持っている土地権利を賭けてもよろしくて?」
「…………え?」
「わたくしの家以外、全ての土地権利を賭けると言いましたのよ。忙しそうだから楽にして差し上げますわ」
俺の……このカジノの息の根を止める気か?そもそもレイラはまだ手札を捲ってすらいないのに、なにを仕込んでいる?……いや、仕込みがバレたか?
ディラーと目を合わせる。周りの従業員と目を合わせる。大丈夫。全員俺の味方だ。俺はみんなの生活を背負っている。負けられないんだ!
「よろしいですが手札を見なくて大丈夫なのですか?」
「見ても見なくても一緒ですわよ」
一緒?どう言う意味だ……それにしても土地権利か……たしか町の7割以上所有していたな。カジノ王に続き不動産王にもなれるのか……悪くない。
「いいでしょう。私に賭けられる最大。このカジノの経営権を賭けます!」
優雅に紅茶を飲んでるのも今のうちだ!……え?紅茶?俺の店はアルコール類かコーヒーしか出していないはず……なぜ?
「い……いつの間に紅……茶?」
「ファイネストティッピーゴールデンフラワリーオレンジペコです」
なんだその長すぎる名前は⁉それにこの声……メイデン.カーター。
「レイラお嬢様……珍しくファイネストティッピーゴールデンフラワリーオレンジペコが入荷されましたのでお持ちしました」
「ありがとうメイデン。ちょうど喉が乾いてたところですの。でも、もう終わりますわ。そうですわよね?」
レイラが妖艶な瞳を向けてきた。子どもが大人に向ける目ではない。不正が気づかれている。だから堂々とカーター側も不正を仕掛けているんだ。不味い、メイデン.カーターは姿を見せないことで有名だ。裏でいくらでも手を回しているに違いない。
「ついでに冒険者ギルドの斡旋権利も賭けますわ。こんな機会ありませんもの。邪魔物は処分してさしあげますわ」
カジノで不正を働いた俺を処分する気か……ディラーもバニーガールでさえ俺と目を合わせようとしない。みんな買収されているのか?……ハハ……俺はピエロだ。
冷静さを欠いたオーナーは気づかない。
如何に自分が不安そうにディラーを見つめているのか。不正をしていると周りに知らしめているようなもの。ディラーは勿論バニーガールでさえ目を合わさないよう伏せることしかできない。
「わたくしはチェンジしませんわ。あとは貴方がコールするだけでショウダウンですわよ」
コールするだけで俺は破滅する。冒険者斡旋権は国家権利だ。俺の手には負えない。俺は最初から……嵌められていた。この少女は悪魔だ。
「…………こ……こ……コォ…………ドロップ……降参します」
「何言ってますの?」
「カジノ経営権を渡しますのでどうか俺の命と従業員達を露頭に迷わせないでください!」
これでいいんだ。勝負すれば全てを失うが降りればカーター家といえど慈悲は持っている。
さようなら夢の不動産王。おはよう無職生活。
「メイデン……お兄様をお呼びして。あとは任せますわ……お待たせしましたわシノブ様!ニーチェ先生様!」
ニーチェがこっそりお互いの手札を捲った。オーナーは10ハイのフォアカード。レイラはQハイのブタ。
「……金髪ロリは魔法なんか要らねぇッスよ」
「せっかくお兄様の仕事を減らしてあげようと思いましたのに……ポーカーは負けるのも難しいですわね」
その後タウロスが呼び出され今までと基本は変わらないものの、名義はレイラ.カーターのカジノとなり。タウロスの仕事量が増える結果が残された。
↓尊敬の眼差しを受けて満更でもなくなったレイラさん
「えーと……勝利の美酒は星々の煌めく今宵に捧げますわ!」
メイデン&レイラの感謝とおまけ
「ブクマしてくれた読者様ありがとうございますわ!」
「お嬢様は相変わらず賭け事に強いですね。私も勝負したいです」
「構いませんけど何を賭けますの?わたくしメイデンが喜びそうな物は持ってませんわよ」
「使用済みパンツがほしいです!……失礼しました。落ち着いて落ち着いて……私はこのチャンスを物にしてみせます。欲望に忠実になりすぎず謙虚な姿勢で……お嬢様の下着をください!」
「強欲な願いがダダ漏れですわよ。わたくしが勝ったら……わたくしの下着を返しなさい!いいですわね!」
「了承しました。現在107枚所持してますのでうち1枚を賭けましょう。私が勝利したあかつきには脱ぎたての下着を貰います」
「そんなに持ってますの!?絶対負けませんわ!勝負方法を決めなさい!なんでも受けて立ちますわ!」
「そうですね……ジャンケンでどうです?尺もありませんし」
「…………ジャンケン……ポン……勝ちましたわ」
「おめでとうございます。新品の下着をさしあげます」
「……盛り上がらない上に釈然としませんわ」




