第16話 魔法への道
カーター家の屋敷で今日もレイラと共に勉学に励む。ニーチェは魔法に精通しているらしい。レイラは魔法適正Fなのでわかるが……あわよくばワシも魔法の何たるかを……可能だろうか……
「出来たらこっそりあっしに見せるッスよ。出来るまではおやつ抜きッス!甘やかさないッスよ!おやつだけに!…………おやつだけに!」
茶菓子に興味はないがニーチェは運ばれ続ける甘菓子をムシャムシャ食べている。大した運動もしていないのに太らないのが不思議だ。
「……おやつだ「うるさい」
今はこの部屋を描いている。絵は描けば上達するし、時間をかければワシでもそれなりの物を仕上げられる。
「出来たぞ」
「…………はやいッスね…………本気で描いたッスか?」
ニーチェの問いに頷く。鍛錬で手を抜くことはあり得ない。魔法塾では結局魔法は発動できなかった。自分なりに試したがそれもダメ。
あとは訳のわからん女にダメ元で師事する。時間はあるのでゆっくりとワシの能力を見極める。
「金髪ロリがまだッスから……最初にメイドさんに感想だけ言ってもらうッス」
ワシの絵画をメイドに手渡しチラリと見て驚かれる。
「凄く上手です。魔法の羽ペンのような出来です!」
「あっしも同意見ッスね。見た景色を寸分違わず書き記してるッス。金髪ロリが終わるまで優雅にお茶を啜るッスよ!更にクッキーを1枚プレゼントッス!」
…………
……………………
「…………できましたわ」
しばらくの時間の後レイラが申し訳なさそうに絵をニーチェに手渡した。問いは同じ
「本気で描いたッスか?」
レイラはワシと同様に頷く。そして絵画をメイドに手渡し感想を求めた。
「……独創的で素晴らしい出来だと思います」
「……正直にッスよ。あっしはこの家に住んで1週間ッスけどお前達は金髪ロリに遠慮し過ぎッス」
レイラが部屋を描いたであろう紙を見る。遠近感がおかしく、四角はベッドだろうか?窓らしき物も歪んでいる。そもそもどの視点で視ているのかが謎だ。普通の感覚ならばこれは
「丁寧に描いてコレなら下手くそッスね。でも金髪ロリがこの部屋を表現したらこの絵になる。同じ発想はシノブンにはないッスね。常識の発想で魔法は使えないッス。シノブンは絵を勉強してたフシがみえるから、わかることは皆無ッスね」
なるほど、見たものをそのまま表現してはダメなのか……見たものをではなく想像の世界を具現化する。忍術に似ている気がするが難しい話しだ。
ニーチェは窓際に腰掛け物思いにふけっている……だけ。多分何も考えていないな。飯のことを考えている顔だ。
「金髪ロリ……お前本当に魔法と呼べるレベルの代物を使いたいッスか?」
「使いたいですわ!よろしくお願いしますわ!」
「……タウカスからお金を貰って来るッス。あと一番偉そうな黒髪メイド……アイツを呼んでほしいッス」
……………
…………………………
レイラとシノブがタウロスの部屋へ向かいニーチェとメイデンが部屋に残った。
「お嬢様は魔法が使えそうですか?」
「なんか小細工してた奴がいるッスね。あの娘は放出できる魔力なんか無いはずなのにフレアボムをブッ放せておかしいと思ったッス。」
ニーチェの一言にメイデンは黙り込んだ。レイラの適正を偽装する為に最初は血液を、今は料理などに自分の魔力だけを送り続けている。その魔力が蓄積されていたのだ。ニーチェが言っているのはその事だろう。
「普通にやれば50年……あっしが先に飽きるッス。でも今更無理なんて言うのはドミナートルの名が廃るッスから代替えを用意するッスよ」
メイデンは下唇をかみ締めレイラが描いた落書きとも思える絵画に目を落とした。歪な部屋。陰鬱で狭く息苦しさを表現された絵。
「代替えですか……お嬢様が満足いく代物なのでしょうか?」
「お前は魔法を使えて満足できた事あるッスか?」
ない。魔法適正Sであろうと出来ない事が多すぎる。メイデンは静かに首を横に振った。
そしてレイラも満足しないだろう。レイラ本人は1時間集中すれば魔法が使えると思っている。それでは満足しない。
「強欲だった父ちゃんはともかく、シグ婆ちゃんですら満足しなかったんだからそれが真理ッスよ。不老不死になっても時間を操れても満足しないんスから」
「私に出来ることは協力しますので……よろしくお願いします」
「体内に魔力を貯める手は打ってるッスからやり過ぎと思ったらお前がストップかけろッス」
メイデンは最後に深々と頭を下げて姿を消した。これ以上は話せない。部屋の主が戻ってきたからだ。
「ニーチェ先生様!貰ってきましたわ!」
握りしめた硬貨は金貨1枚。ニーチェはニヤリと笑い
「それじゃあ賭博場へ行くッスよ!その金を100倍にしてやるッス!あっしに付いてくるッス!ヘイカモ〜ン!」




