表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/508

第14話  正義の偽善


Sideニーチェッスよ!


 ギンギラに輝く硬貨を片手に握りしめもう片手で地図を開く。タウカスの書類は丸めてポケットにイン!


「フフフ……あっしはお金を手に入れてしまったッス!人を狂わす魔性の道具。あっしが持てば効果は10倍!なんでも買えるッス!」


 ルンルン気分で印のつけられた場所にたどり着き、意気揚々と扉を開ける。


「た〜の〜も〜!タウカスのお届け物にあがったニーチェちゃんッス!早く受け取れッス」


 あっしの声に皆がキョトンとしている。フフ、美声が過ぎたッスか?あっしの声はヴィーナスを彷彿とさせる天界の――


「タウロスさんの事でしょうか?こちらでお預かりします」


カウンターの奥にいる姉ちゃんにクシャクシャの紙を渡し姉ちゃんはその場で中を(あらた)めた。


「…………ありがとうございました」


「いいッスよ!いいッスよ!」


 姉ちゃんは引き出しをあけ硬貨を数えて

「……報酬をお受け取りください」


 え?タウカスにもお金貰ったのにここでも貰えるンスか?……感の良いあっしは気付く。


 タウカスはあっしを金で釣るつもりだ!あっしを舐めやがって〜〜!!


「…………うん。ありがとうッス!」


 姉ちゃんから貰った硬貨は銀色の硬貨3枚。タウカスの3倍。つまりあっしが持つと30倍。世渡り出来る男タウカスめ……二日間は見逃してやるッス。


 周囲を見渡すとガヤガヤと男臭い空間。女性もいるが……お姫様気質なあっしには似つかわしくない。


「ここ食べ物あるんスね……お腹空いてきたッス」


 周りの人達も食事をしたり張り紙を眺めたり……ウロウロしたり様々だ。ナンパ待ちもいるのかな?


「……ちょっとここで男を引っ掛けるッスかね!そんで奢って貰うッス!」


 二人用のテーブルにチョコんと腰掛け不安そうな表情を受けべながら釣り糸を垂らす。エサはあっし自身!…………食い付け……食い付け…………どうせすぐに寄って来るッス!


…………

……………………


「ねぇ、貴女どうしたの?なんで泣いてるの?」

「ウッ……ヒック……ヒック……誰も声掛けてくれないッス。もう2時間も待ってるのに酷いッス 」


 声をかけられた相手は女性。もうこの際女性でもいいッス!人の優しさに触れられた事を喜ぶッス!


「な、何かの依頼?そこの受付に行って要件を話せばいいわよ……私もついて行ってあげようか?」


「うぅ〜〜……お前は優しいッスね。お前が男だったら惚れてるッスよ。他の人達はあっしを無視するクズッス!」


「あ、ほら、皆仕事探しに来てる訳だし……え、と……名前!名前はなんて言うの?私はジル。ジル.ローレスよ」


「……ジル.ジル.ローレス。あっしの名前はニーチェ.ドミナートル。もう帰るッス。ジルジルに出会えて良かったッス」



 ジルジルと名乗った優しい女性に頭を優しく撫ででもらっていると中年が乱暴に扉を開け息を切らしながら大声で叫んできた。


「村がオークの集団に襲われてるんだ!助けて……早く助けてくれ!」


 その一言に周りは黙り受付の姉ちゃんがそばに駆け寄った。心配そうにしつつも……


「緊急ですと貴方にも金銭の負担がかかります。オークだけですか?他の魔物は確認できましたか?」


 周りは男の声を一言も聞き逃さない様に耳を傾けている。金の匂いを掴むために。


「お…オラは農家だ。金なんて持ってねぇけど……銀貨だったら10枚ぐらいある!助けてくれ!」


 冒険者達は各々の会話に戻る。魔物の種類はオークだけを確認。数は不明。そして臨時の金は銀貨10枚。赤字だ。


「わ……わかりました……誰か至急タウロスさんに報告を……あとこの依頼を受けてけれる人は……」


 受付女が周りを見渡しても目を合わせる者は存在しなかった。魔物討伐には常に死が付きまとう。その対価は金。それも満足に払えないのなら……


「お前達は仕事を選り好みするなッスよ。さっさと行ってそこのオジサンを安心させてやれッス」


 ニーチェが立ち上がり命令した。冒険者達にとっては初めて見る顔。偉そうな態度も気に食わない。


「お嬢さんもここに居るって事は冒険者だろ?自分で行って来いよ!」


「……ハハ。たしかにその通りッスね。…………誰かを助けないものは誰にも助けられる資格はない」


 ニーチェは片手を上げて虚空を掴んだ。引き戸の様に空間を伸ばし無理矢理……


「…………ノリで魔法が使えるかと思ったけどやっぱりダメッスね」


「私も行くわ!一緒に行きましょう。もう少ししたらタイラー……私の仲間も来るから。その人はお金とか気にしないから受けてくれるわよ」


「ありがとッス!女の方が男気に溢れてるってどういう事ッスかね〜?ん〜〜…………決めたッス!――」


 ニーチェはジルに笑いかけギルドから去って行った。慌ててジルが後を追うように外へと出たが


「…………いない」


 ニーチェが最後に呟いた一言がジルの耳に残っていた。



   『お前達を生贄にしてやる』

ジルジル&メイデンの感謝とおまけ


「ブクマしてくれた読者様ありがとうございます。今話最後少しだけ物騒な言葉を申していますがこの作品は〈ほのぼの〉を目指しております」


「人がチョクチョク死んでるのに、ほのぼのなの?」


「野盗10人以上に……魔法使い1人………試験官2人…あ、2章6.7話に出た物乞い冒険者達は描写ないだけで死んでますね。その後、魔物に襲われたみたいです」 


「なんでわざわざ明言するのよ。そこは濁してほのぼのさせなさいよ!」


「ジルジル様とタウロス兄様の恋模様でほのぼのしててください」


「ジルジルって言うんじゃないわよ」


「ジルジル様御自身が自己紹介で『ジル。ジル.ローレス』って名乗ってたじゃないですか。……とても愛らしくて可愛い名前ですよ」


「メイデン……貴女の美的センス狂ってるわよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ