第12話 3食昼寝おやつ有り
「だからぁ〜金髪ロリに頼まれたから手を貸したんスよ!あっしの何処に罪があるんスか?」
「町への不法侵入、脱走、レイラへの危害。最後が最悪だな。死刑だよお前」
「……そこのメイド達もあっしが金髪ロリと仲良くしてるのを見てるッスよ。ご飯も二人分だったっス!」
頭を抑える悪党顔のタウロス。メイド達はレイラの言葉には絶対逆らわないように教育されている。チラリと視線を送るがタウロスを完全に無視している。タウロスをナメ腐っている。
「じゃあレイラが起きたら事実確認するから……逃げるなよ」
「手足の錠を外してベッドとお昼ご飯を用意するッス!金髪ロリが起きるまで食っちゃ寝させろッス!」
レイラと二度も捕まった馬鹿女が接触を持ったのは間違いない。レイラは操られてないか?その確認と……メイデンはまだか?本当に何やってんの?
「見張りをつける。やましい事がないなら逃げるなよ」
「逃げる?あっしは眠いんスよ!あとあとあっしが寝てるからって襲うなッスよ!天使の寝顔見ても欲情しないって約束しろッス!ヴァカ!このカァァス!」
あぁムカつく……この女の顔を見るとストレスしかたまらない。早く処刑してくれないかな。
…………
……………………
「マイスト……ちょっと外に出てくれる?」
「お断りします。侵入者がまだいるかもしれやせん」
自室に戻り護衛のマイストを外に出そうとするも失敗。今は非常事態だ。恥ずかしいがこれも日課だ。
「ヒイラギさん居るんでしょう?ヒイラギさ〜〜ん?」
「なに言ってるんですかい?ヒイラギ様はもう半年以上見てやせんぜ」
「……マイストちょっと黙ってて、ヒイラギさ〜〜ん。居るのはわかってるんですよ、天上裏ですか〜?」
返事はない……やっぱりいないのか?俺の日課。昼時と寝る前にヒイラギさんの名前を呼ぶ。居るとは思ってないけど居た時が怖いからだ。
「今回は拙者も慎重を期していたが、やはり侮れぬ男よ。タウロス殿の成長は計り知れんな」
天上裏を外して影が2つ降りてくる。一人は口元を隠した怪しい青年。シノブ.ヒイラギ。
「タウロス兄様にしては中々やりますね。不正の匂いしかしませんが」
そしてもう一つの影。メイデン.カーター
「メイデン!探してたんだぞ!レイラが怪我……倒れたんだぞ!」
「愚兄に探される謂れはありません。見てましたけど、お嬢様は疲れてお眠りになりました。危害は一切ありませんでしたよ」
み、見てたのか?と言うか、ヒイラギさんと二人して天上裏って……デートか?俺はデート経験ないけど天上裏でのデートが今年の流行なの?
ジルを誘って……冷静になれ!そんなワケあるか!そもそも恥ずかしくて誘えない!
「ヒイラギさんなんで黙って消えたんですか?俺は勿論レイラもジルさんも心配してましたよ」
「拙者は書き置きしていたであろう。『世話になった。また来る』と」
いや……そんなの誰も見てない。そんなことを思っているとヒイラギさんが懐から色のついた……米?を取り出し並べ始めた。
「五色米だ。暗号を残していただろう?」
「その暗号の解を教えてもらってないんですけどねー!」
たしかにヒイラギさんが消える前、机の上にこの気持ち悪い米が置かれていた。レイラのイタズラと思って片付けたけど……もういいや
たぶん今回の騒動はヒイラギさんが関係している。
「ヒイラギさん。あの馬鹿っぽい……頭のネジが緩んでいる女性はヒイラギさんの知り合いですか?」
「そうだ。記憶喪失に陥り困っていてな。多少多目に見てやれ。拙者に免じて!」
出た!拙者に免じて。
もうダメだ。あの女は処罰出来ない。免じないと反対に俺がヒイラギさんに殺されるただの脅しだ。メイデンもレイラには危害はなかったって言ってたから
「あ……はい。町への不法侵入は不問で……いいの?メイデンの管轄でしょ?」
「……そうですね。魔力地場による警報が誤作動した事にしましょうか。実際おかしいところがありますし」
うん。それでいいや。俺が不法侵入でテンヤワンヤしてるときに二人は密会してたのか……仕事してくれよ。
ーーーーーー
「昼ご飯は貧相ッスね〜。朝ご飯より豪華な物を期待したのに酷い裏切りにあったっス!」
ニーチェは手錠を解かれ屋敷の一室でくつろいでいる。スープとパンが二切れというのも寂しいものだったが暖かいだけでも御の字だ。
「昼食はお気に召しませんでしたか?」
ニーチェの背後に気配なく佇むメイドの女性。ニーチェはギョッとはしたもののそれ程驚かない。
「《隠密の加護》ッスか。また便利な物を与えられたッスね。でも、あんまり頼ると後々後悔するッスよ」
「……私の後悔は終わっています。それよりもお話があるのですが、お時間よろしいですか?」
「今から食後の昼寝タイムッスから簡潔かつ大胆に!」
メイデンはベッドに腰掛けたニーチェを見下さないように深々と頭を下げた。
「レイラお嬢様に魔法を教えてあげてください。お願いします」
メイデンは見ていた。魔法適正Gが魔法を使う瞬間を。ニーチェの補助があったとはいえ、たしかにレイラが魔法を使ったのだ。誰よりも魔法に憧れた少女が本物の魔法を行使できた。それは目の前にいる女性の力。
ニーチェはベッドに寝転がり天井に向けて手をかざした。
「……三食昼寝付き。それが条件ッス。ハァ……正直面倒くさいッスね〜。断ってくれていいッスよ」
「……3時のおやつと食後のデザートもつけましょうか?」
「……もう一声。あっしを娼婦として働かせようとした悪党顔の男がいるッス。あっし……女を物として扱われて悔しいッス!」
「…………愚兄ですね。その男を好きなだけ殴る権利を与えます」
「よぉぉっしゃあ!言質取ったッス!このニーチェ.ドミナートルにお任せッスよ!」




