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第5話  忍者の心を探してます



 国から冒険者の許可を得た者は領地内を出ることを許される。それ以外の人間は目的と予定滞在日数。それに加え金銭を納めなければならない。


 冒険者の許可は色々あるが一番手っ取り早いのは魔法学校から初級魔法使いの称号を得る事だ。昔は誰にでも冒険者資格を与えていたが、都会における犯罪率の急増。田舎の若者減少。戦闘技術のない人間が次々に死んだ事により今の制度を設けた。


 そして、とある田舎町で冒険者資格を得て世界中……とはいかないが国中を渡り歩ける事に期待に胸を膨らませる若者が二人。


「この町で少し稼いでいこう。持ち金が無くなっちまった」


「もうっ!だから私が管理するって言ったじゃない!今日のご飯と宿どうするのよ!」


「銅貨10枚あるからパンのミミをわけて……痛い。叩くなよ!」


 二十歳手前の男女。同じ村出身の二人。田舎で生涯を終える事に不満を抱いた者が冒険者になることは多い。町の冒険者ギルドの貼り紙を確認している。日銭を稼ぐ為だ。


 魔物退治ばかりが冒険者ではない。能力が低い人間はあらゆる雑用こなし金を得る必要がある。

 何処のギルドにも大抵残され、なおかつ支払いが良い仕事……それを狙う。



「汚水処理が……ない?……」


 排泄物を魔法で浄化し土に返す仕事。当然衣服に付着する事もザラで魔物退治経験の浅い初心者はゴブリン退治か汚水処理で日銭を稼いでいるが、その一つがこの町にはなかった。


「ど…どうしよう……他の……他の仕事も……ない」

  

「え?そんな事あるの?ここ冒険者ギルドでしょう?」


「た、たまたま今日は張り出されなかったのかな?」


 二人してキョロキョロとギルド内を見渡す二人。不安そうな顔付きから田舎者丸出しの素人だと容易に想像出来る。


「ちょっと俺聞いてくるよ!」



 田舎少年は意気揚々と大剣の男に向かったが、すぐに戻って来た。表情は暗い。田舎女も何があったのか不安な顔になっている。


「よくわからないけど今はないみたい」


「え?なによそれ。ど……どうするのよ!?私達お金持ってないのよ!」


「俺に言っても仕方ないだろ!」



 不安そうに言い合っていると声をかけられた。


「そこのお二人。困っているのか?」


 口元を隠した怪しい青年。その言葉に周りが静まり返った。大剣の男は席を立ち青年に恐る恐る語りける。


「ヒイラギ様!その二人は他所の冒険者。どうやら、旅の金が尽きこの町に訪れたもよう」


「拙者はそこの二人に聞いている。困惑が顔に出ていた。拙者の名はシノブ.ヒイラギ、良ければ拙者が力になろう。勘違いなら失礼をしたな」



 田舎男女は互いの顔を見合わせた。何というか存在感の薄い人。全員を見渡したと思っていたのに気づかなかった。でも強そうな大剣の男の態度……


「あの、私達お金なくて……なにか仕事ありませんか?なんでも……魔物退治もした事ありませんけど頑張りますから!」


「心得た!この者達に暖かい食事と寝床を用意してやれ!慣れてはおらんようだ。普通の飯にベッドを二つだ」


 シノブは考える素振りもなく承諾した。その景色に周りは騒ぎ始める。


「お主達には見張りの仕事をしてもらう。」




…………

……………………


「なる程……お二人は見聞を広める為に冒険者になったと、拙者は人助けとは何かを見出す為に旅に出ていて今はこの町に厄介になっている。お互い似た者同士だな」


 シノブ.ヒイラギさん。多分年下だけどギルドの人全員が彼を尊敬の眼差しで見つめていた。相当な実力者なんだろう。


「あの〜……見てるだけで良いんですか?」


 町を一望出来る場所でシノブさんと座り込んで話しているが、何を見ればいいのかわからない。天気かな?


狼煙(のろし)だ。お主等が先に気付く事もあるやも知れん。今は拙者が付いているので問題ないな。旅の資金は拙者が用立てる。なにもない町かもしれんが骨休めをすると良い」


 初心者救済のお助け冒険者なのかな?私達は全然知らないが、そんな制度がいつの間に出来ていたのだろうか?


「シノブさんは冒険者歴長いんですか!?」


「拙者は冒険者ではないな。忍者だ!」


 シノブさんと話し込んでいると緑色の煙が上がった。


「あ煙、煙上がりました!」「煙!煙!」


「二人共話しに夢中にならずによく見つけたな。これは出来ん奴は出来んからな」


 シノブさんは私達の頭を撫でる。お世辞も偉そうな態度が微塵も感じられない。単純に褒めているだけ。

 再び目線を町全体へと移した。……結局なんの煙だったんだろう?



…………


 シノブさんは前にアルフィーの町にいたらしい。カーター家が改良した特別な町。もし私に子供ができたら絶対にあの町に移り住みたいと思っている。難しいがあの町は唯一…………


 シノブさんが立ち上がり一点を凝視している。町とは別の方向。森の1角。しばらく見続けるとそこから赤い煙があがったと同時に



「魔物を発見した!付いて来い!」




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