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第43話  実技終了


 柊忍はギースアルバインを斬り続けた。斬られた瞬間がわからない。身体のどこかを動かしボトリと落ち、それを確認してやっと何処を斬られたのかわかる。同時に相応の痛みが襲ってくる。


 ならばいっそ……目を閉じる。確認しなければ……あの激痛はやって来ない。身体を動かさなければ……どこも失わない。


 やがてギースは人間とは呼べない存在に変わった。


「……そろそろ気が済んだかい?」


「なんじゃ小童?」


 魅了を自力で解いたのか最初から効かなかったのか、それは本人以外わからない。柊忍は魅了しようとして斬っているのではないのだから。


「まだ生きてるんでしょ?最後にソレと話したいんだけどいいかな?」


「嫌じゃと言ったらどうする?」


 柊忍は幻魔刀に手をかける。ひたすら絶望を喰らった刀は極大の悪夢を吐き出している。悪夢を吐き出し更なる絶望を喰らう為に。


「……ボクが相手してあげようか?」


「ワシに一物も育っておらん小童など斬れると思うか?」


「え?何?イチモツって何?」


「そこな男はもはや意識した瞬間死ぬだけじゃ。好きにせい」



…………

………………


「凄いな……これで生きてるのか?おいギース聴こえてるか?ボクの声が聴こえてるか?」


『バ……バルザック様!?た助けて下さい!』


 聞き慣れた子供の声にギースは希望を抱いた。ギースに瞳など有りはしないが彼の目の前にはメイデンと同じ魔法適正S。バルザック.ガーソンが居てくれたのだから。


 バルザックなら自分がどんな状態でも治してくれる。死んでない限り治癒出来る。死ななくてすんだ。


「君さぁ……ボクがいつメイデン.カーターと闘いたいなんて言ったの?」


『…………あ……』


「ボクはロックビースト討伐で、姉さんを守ってくれたメイデンにお礼を言いたかったんだよ。それを、何勘違いしてるんだよ。おかげで姉さんに睨まれたんだぞ」


 バルザックが怒っている。ギースにとって、人類にとって絶対的存在が自分を治療するどころか踵を返した。


「来世ではボクに関わるなよ。」


 ギースが徐々に潰されていく。ブチュブチュと音を立てながら脳ミソしか残っていないギースが圧迫されていく。


 審判をやっていた男は早々に潰れ果て血液すらも潰されていた。跡形も残っていない。


 痛い!熱い!苦しい!死んでしまう!死にた……


 やっと死ねる。ようやく死ねる!死――――




 バルザックはリングから降り軽く頭を下げてレイラの両目を隠しているメイデンに近付いた。


「…………行方不明になっちゃったけど。弟子の不始末とは言ってもボクにも責任があるのかな?なにか手伝おうか?」


「……宜しくお願いします」

「ねえメイデン!まだ見ちゃダメですの?」



………………


 ジルや教官達は頭を抑えながら情況を理解しようとしていた。ここ一時間程の記憶がない。


 メイデンとバルザックが記憶を消去した。ジルとタイラー……教官達にミシェル。後遺症が残っても悪いので二人がかりで丁寧に。


 免れたのは三人。まずミシェル、もう一人はレイラ。


「わたくし……覚えてたいですわ。わたくしのせいで皆に迷惑をかけたこと……それに…………」


 メイデンは唇を噛んだ。レイラにはなんの罪もない。自分の余計な気遣いが全員を傷つけたのだ。それを謝る機会も闇に葬ろうとしている。


 レイラはピョコリとメイデンを下から覗き込んだ。


「メイデンがそんなに悲しい顔してるのを忘れたくありませんわ!」


「……申し訳……ありません」


 そしてもう一人受け付けなかった青年。周りから離れ一人佇んでいる。



『シノブ……ワシが死んだ後に何があったかは聞かんが、お前は心を勘違いしておる。友の痛みに心動かさねばいつ動く?女の涙に心揺さぶられねばいつ揺さぶる?貴様が目指す先は心の成熟でない。カラクリの領域と知れ。愚か者が!』



「…………未熟……拙者は…………全て未熟」


 

……

…………

…………………… 一ヶ月後



 空も大地も白銀の世界に足を踏み入れる。


『次は〜〜っと、あら?いい男ね。』


 整った顔立ち。縫い目ない衣を纏う女。変わらない。生まれる前から……死んだ後からも目の前の女は何も変わっていなかった。



「やはり拙者の目は節穴ではないな。貴様は妖だ」


『……昔私に同じセリフを吐いたジジイがいたわ。おかげで私は痛い目みたし、ソイツはその一言のせいで最悪な人生を送ってるはずよ。貴方も気を付けなさい』


「はて?拙者は生まれてこの方地獄など見ておらんが?妖怪らしくお主が見せてくれるのか?」


 

 女神の顔つきが変わった。それは女神とは程遠い醜悪で憎悪滾る顔つき


『貴方……ヒイラギ.シノブ?よくそんな身体でやっていけるわね。驚いたわ……あと、これ以上私を刺激しないでちょうだい。規律通り加護をあげるから早く出て行って』





 1面白銀の世界に背を向ける。前は一喝で世界を崩したが今回は光の指す方向へと歩き。


「…………防衛の加護か……なんだこれは?」


 




初級魔法使い認定にて得た加護


防衛の加護G 身体を守る事に特化した力。常時発動。Gランクはホクロから産毛が生えるだけ。


 加護と魔法適正は相互作用する。シノブ.ヒイラギが

これからどんな加護を授かろうと、役に立つものなどありはしない。


「……拙者には忍術がある。なんの問題もないな」

    



  シノブ.ヒイラギ16歳編  完

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