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第42話 百鬼凶刃


 「ジルさん……ジルさんしっかり……しっかりして下さい!」


 ミシェルが意識を失ったジルに治癒魔法をかけている。教官たちはタイラーに付き未熟なミシェル一人が級友の治療に当たっていた。


 深い傷は治せた……でも細かい傷……折れた鼻……ここで治癒しなければ一生残る。私が……私の魔法で……


 ミシェルの手に重ねられる小さな掌。途端にミシェルが放つ治癒魔法の次元が変わる。

 光全てがジルを優しく包ま込み傷が塞がり普段となんら変わりないジル.ローレスへと戻った。


 それはミシェルの治癒魔法ではない。その手を重ねた小さな少年。


「バ……バル君、そうだ!タイラーさんも……タイラーさんも怪我してるの!」


「先生達が治してる人かな?危なそうだから処置だけしといたよ。」


「そ……そうなんだ。……ありがとうバル君」


「いいよいいよ。姉さんの友達だろ?でもなんでこんな怪我してるの?」


 ミシェルは小さな少年を睨んだ。バルと呼んだ少年。ジルの傷を一瞬で完治させ、タイラーの傷を癒したミシェルの弟。


「……バル君……なんでこんなに酷い事するの?ジルさんも……タイラーさんも……レイラちゃんも……シノブさんも……お姉ちゃんの大事な友達なんだよ」


「ちょっと待ってよ姉さん。誤解されるのは構わないけど姉さんに嫌われるのはゴメンだ。一からちゃんと説明してくれない?」




ーーーーー



 カヤックの首が転がり落ちた。常に二人で行動し……二人で上級魔法使いになり……二人で魔法使いの最高峰に弟子入りして……輝かしい未来が待っていたはずなのに……不意に死んだ。


 多分死んでいる。首が落ちた瞬間はまだ生きていたはずだ。いつ死んだのかはわからない。そんな事よりも……俺は……友人の首の断面に見惚れてしまった。


 嫌悪感の欠片もない。美しい身体。細胞の一つ一つが躍動していた。


 いつ気付いたのか。この身体が終わると悟った時。細胞は停止し、行き場を破壊された血管は空へ解き放たれた。


「……お前がやったのかァァァ!人殺しがぁぁ!」


「貴様に……ここにおる誰にワシの太刀筋が見えたのじゃ?憶測で物を言うでないわ……(もっと)も……正解じゃがの!カッカッカッ!」


 殺す……殺す殺す殺す殺す!


 何をやったかはどうでも良い。このムカつくガキさえ殺せばどうなっても構わない。


 1歩1歩踏みしめる度に涙が溢れてくる。シノブヒイラギと言う名のガキは正座したまま刀に手をかけている。

 短い……剣じゃない。何を隠している?



 足を踏み外した。冷静じゃないのはわかるが……こんな大事な時に……だから、たまたまだ。



 たまたま目に入ってしまった。見慣れた右足。俺と同じズボン。それが落ちている。

 次に自分の右足に目を向ける。


 当然だ。ない。俺の身体の一部は置き忘れてしまって―――


  「アァァアああはぁあ!!足……足がァァあ!!」


 絶叫と同時に激痛と出血と喪失感が襲ってくる。膝から下が取られた?斬られた?何をされた?いつ?何故今まで気づかなかった?


 必死に這いずり右足を手に取り無理矢理繋げる。冷静じゃない精神で出来るのか?やるしかない!!…………俺の治癒魔法は驚く程上手く結合してくれた。


 死んだカヤックが力を貸してくれてるのか?



「カッ!よもや刀の一太刀を治せるのか!これは遠慮せずに何度でも斬れるではないか!傑作じゃ!お主も何度も斬りたいと疼いておるのう」



 ようやく柊忍は立ち上がり魔剣の鯉口を切り、視えない刃を晒した。周囲にどす黒い悪夢を撒き散らしている。


「居合いの他も堪能したいのか?お主は贅沢な奴じゃのう。折れず欠けずについてこれるか?」


 黒一色を纏った刀が可視化される。誰の目にも見える絶望を体現した漆黒。


「げ…幻魔刀……な……なんで適正Cが幻魔刀を持てるんだ?」


「お主は幻魔と申すか?何処を斬りたい?何処を喰いたい?ワシが斬獲してやろう。……命は最後じゃ。奴には女を泣かせ傷つけた罪の重さをわからせる必要があるでな」



 柊忍が幻魔刀を振った。ギースとの距離は遥かに離れている。ギースは呆然と見えない太刀筋を受け自身の腹が切り裂かれ、切り刻まれた腎臓が溢れ落ちた。


「――あ…………イギィィガガァァ」


「どうじゃ彼奴(きゃつ)の腎の味は?痛みを与えるのは臓物。恐怖を与えるには五感を破壊するのが効くでのう。まだまだ死なんから安心せい。治癒する時間も十分に与えよう」



 ギースは激痛に顔を歪めながら辺りを見渡した。これはもう試験ではない。ただの殺戮だ。受験者に殺人鬼が紛れ込んでいる。


 周りの人間はボンヤリと1点。ギースだけを見つめていた。ギースが斬られた場所。部位に見惚れてしまっている。



 先代、12代目柊忍の剣閃は第三者にまで及ぼした。斬った者の全てを奪い、それを目に収めた者を魅了する。忍術が鍛錬の末に到達出来る境地ならば…………


「  表 百鬼夜行   ワシ以外誰も使えんかったから忍術とは言えんのう。憐れじゃ」

 

ジル&先代のおまけとお願い


「ワシもステイタスを公開するのかのう?見せ物ではないぞ」


「1話余ったんだからしょうがないわよ。先代様がオールSな訳ね」




 12代目 柊忍


筋力 怪力乱神

敏捷 疾風迅雷+疾風怒濤

体力 絶倫

精神 唯我独尊

魔法適正  ――――なし


加護 無し



「…………なによこれ?」


「ワシの指標じゃが?」


「いや、なんで体力だけ四字熟語じゃないの?」


「……小娘。他にツッコむ場所はあったじゃろう何故そこをチョイスした?」


「これを見て確信したけど先代様はギャグキャラなんでしょ?真面目に考えるだけ無駄だし」


「失礼な小娘じゃのう。男なら斬首しておるぞ。しかしワシの体力に興味を持つとは……このムッツリ助平め!」


「今までおまけやってて1番腹が立ったわ」


「宜しければブクマか最新話から評価を宜しく頼み申し上げる」

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