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第39話 インテリ忍者


 試験の用紙が配られる……タウロスはシノブとして替え玉受験の真っ最中だ。失敗は死を意味する。直接脅されてはいないがシノブなら言いかねない。



 なんで俺が初級程度の問題なんか解くんだよ。国が支給した教科書読めば誰でも解けるだろ?その為の……最低限の知識と、当たり前の常識を求めるのが初級の筆記だ。


 ああ……ヒイラギさんは常識ないから解けないな。


 時間になり用紙を捲る。


「はあ?……何だこれ?」


〈問1 ゴブリン10匹が確認された洞窟に中級魔法使い1人初級魔法使い4人を引き連れたパーティが壊滅した。説明せよ〉


 何の説明だよ!?壊滅の理由か!?そんなのケースバイケースだろ?答えなんかあるかよ!……でも見覚えあるな…………


 これ……俺が作った問題か!確か難しい試験の問題とか言う依頼があって誰も答えれない問題を作った。


 もう2年前だ。まだこんな事やってんのか……と言うか……採用されたのか。それならレイラは答えを知っててもおかしくないな。


「正解は……あらゆる自体を想定出来ていなかった冒険者の責任。ギルド側に落ち度なし」


 確か、冒険者側ではなくてギルド側の立場にもなってみましょう。そんな趣旨で考えた気がする。

 これを正解として良しとした自分にも国にも問題がある気がしてきた。


 問2……○×だがこれは引っ掛け。正解はない。空白が正解。改めて自分が作った問題をやらされて気付くが……性格悪いな。でも勉強すれば……解ける人もいるだろう。


 罰ゲームを受けている気分だ。ヒイラギさんの顔で試験を受けてる時点でタダの罰だ。


あとこの椅子は座りにくいんだよ!なんで真ん中に足が1本だけなんだ!最初に立ってたのが不思議だよ!他の人達は普通の椅子なのに、絶対ヒイラギさんが壊したんだ!


…………

……………………



 筆記試験は滞りなく終わった。椅子には座らず中腰で解答していたから腰が少し痛い程度だ。治ったと思ってたのに……悪化したらやだなぁ。


 後は足早に帰るだけ。ヒイラギさんは早退や欠席の常習者なので不審に思う人も少ない。


 やっと開放される。早くヒイラギさんに顔を戻してもらおう。



…………

……………………


「……とまあそんな感じですね。筆記は満点、筆記合格者は俺……違う、ヒイラギさん含めて5人でしたよ」


  俺の報告に対してヒイラギさんは鈍い顔をした。何故?


 当然だ!ヒイラギさんはいつも『限界を超えろ』と喚いている。100点ですら満足出来ないんだ……なんで……


 なんで俺は100点程度で満足してしまった!?

 なぜ俺は満点のその先……120点を目指さなかった!?

あの時の俺はシノブ.ヒイラギだったはずだ。ならばいけたはずだ……もう一度やり直せるのなら


 限界を超えた先へ!



 


殺される……殺される……頼まれて替え玉を請け負った俺はヒイラギさんに殺されるんだ。


「よくやってくれた。欲を言えば合格ギリギリがベストだが問題を聞く限り、拙者には難しかっただろうな」


 ヒイラギさんは力強く俺の肩を掴んだ。ミシミシと俺の骨が悲鳴をあげ始める。


 全然褒められた気がしない。



ーーーーーー


「イテテテ、3日後に合格者は実技ですから……俺は実技しませんよ?」


「無論だ。ここからは拙者の領域。重ねて感謝申し上げる」


 流石は忍者の卵タウロス!与えられた任務をいとも簡単にこなしてみせた。なにより奴の試験に臨む姿勢。たかが試験程度で命を賭ける意気込みを感じた。


 これは……HAISUIの陣

 タウロスはどれ程までに忍者に憧れているのだ?


「で?実技は何をするかわかるか?拙者が試験官ならばここで落とすぞ」


 タウロスとマイスト曰く初級試験は筆記と実技しかない。実技で合格を言い渡された者が合格。わかりやすい。要は 試験官相手に合格と言わせれば良いのだ


「……レイラは大丈夫かな?」


 タウロスがポツリと呟いた。試験官は王国から派遣された上級魔法使いが受け持つ。部下として、仲間として最低限の力が備わっているか?


 基本勝てないので見込み有りで合格か力が不足かで不合格が言い渡される。不正などやりたい放題だな。


 まぁ……ワシも久しぶりに戦闘と言う物をしてみたい。この世に生まれてまだ一度も正々堂々、一対一など経験していない。


「腕がなる。殺しても構わんのだろう?」


「……良いですよ」


「フフ、タウロス殿も冗談がわかってきたな」


「俺は関係ないから言ったんです。時間作って応援には行きますから。最近部下の一人が金額設定とか完璧なんで時間があるんですよね!」


 ワシの応援か……声援など忍者には不要だがこれは試験。喜びは分かち合う物。願わくば……全員が………






ーーーーー


「ただいま〜」


 家の扉を開ける。私以外誰もいないとわかっている。


 筆記は合格したけど、実技は……無理だよね。せめて筆記合格だけでも報告したかったけど……私の家には誰もいない。それでも今日は違った。


「おぉ〜!ミシェルお帰り!」

「お帰りなさい姉さん!」


「おじいちゃんにバル君!温泉掘りは終わったの?」


 長い間留守にしていた二人が帰っていたのだ。私の大好きなおじいちゃんと弟のバル君。


「ガハハ!!温泉よりもヤバいのが湧き出てな!慌てて逃げ帰って来たわ!」


「まったく爺ちゃんは……姉さん、明日試験なんだろ?爺ちゃんと二人で応援に行くから」



 覚えててくれたんだ。バル君は知っててもおかしくないよね。おじいちゃん……大事な温泉掘りより私を優先してくれてありがとう。


「偶然だけどボクの知り合いが担当になったんだよ。ボクが1言、言っておくから安心していいよ」


 ……バル君は私の心配をしてくれる。10歳のバル君に比べたら確かに私は全然ダメだけど……1言言っておく……それは……つまり…………



「ごめんね。おじいちゃん、バル君。私……試験落ちたんだ」


 私は嘘をついた。バル君は不正をするつもりだ。私の為に。私は必要ない。ミシェル.ガーソンを試したかっただけだから。


「そうなの?……じゃあさ、明日はパーっと遊びに行こうよ!爺ちゃんのお()りは飽きたよ!」


「ダメだよ。私は友達の応援に行かなきゃ!バル君はお店でお留守番しててね」


「こんな寂びれた店誰も来ないよ。売っていい品だって殆どないんだから。僕達が出て行ってから魔力地場だって1回も反応してないし……爺ちゃん、早く潰せば?」


「カーッ!バルは可愛げのない孫じゃわい!ミシェルの爪垢を煎じて飲ませてやりたいわ!」


 憎まれ口を叩くバル君。確か……シノブさんが何回も来てるんだけど、バル君はすぐ心配するから黙っていよ。

ジル&メイデンのおまけとお願い


「今回はジル様のスリーサイズですね」


「ステータスね。スリーサイズなんか誰一人として設定されてないわよ」



 ジル.ローレス


筋力D

敏捷C

体力D

精神C−  怒りっぽい


魔法適正B 土属性。自身の強化に特化している。

加護  無し


「…………はい。なんのコメントも出来ない素敵なステータスありがとうございました。フォローするなら見習い魔法使いとしては破格の強さなんですけどね」


「……私……ひょっとして器用貧乏?」


「作者も使いにくかったんでしょうね。キャラ立ちもできずこのステータス故に活躍もし辛く……(笑)」


「久しぶりに(笑)なんて見たわよ。多分死語よ」


「ジル様はキャラが死んでますけど」


「お前言い過ぎだよ!…………宜しければブクマ、最新話から評価お願いします!」

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