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第15話 イレギュラー


 ーーサイド ファティマーー


 たぶんだけどジャサファは洗脳されているな。

 自分は洗脳されてないと思い込んでいるだけだ。

 どうにか解いてやりたいけど……


 カムイは使いたくない。

 洗脳を解く方法が俺にない場合は完全なる無駄打ち。

 この世界に楔を打ち込む為に一回、

 俺に合う身体を手っ取り早く探す為に一回、

 この身体の元の持ち主であるアジ・ダハーカから奪う為に一回使用しちまった。


 これらは必要経費で納得出来る。

 しかしジャサファが洗脳されたのは自業自得だろう。


 予備バッテリーはあるがアイシャ・ウィーンが敵だった場合にとっておく必要がある。

 それにジャサファが言っていたタウロス・カーター。俺を殺せるらしいけど……


 二人が俺を殺せるぐらいチート野郎としても……自分とは別の場所に弱点が存在するはずだ。

 その急所を手早く探す為にもカムイは無駄打ち出来ない。


 そしてこの世界にはカムイを稼働させる程のエネルギーは見つかっていない。

 オリジナルの神威は何処に存在するかもかわらない。

 この世界にあるなどと言った楽観的思考は持ち合わせていない。


 神威は存在しない。そのつもりで行動する。



 カムイ無しでジャサファの洗脳を解く方法となると、

 メネントに頼むのやだなぁ。

 リドヴィアに頼むのはもっと嫌だしなぁ。あの女に頼んだらなに要求されるかわかったものじゃないし、

 こっちは無償で手伝ってやってるのに——なんか腹立ってきた。


 役に立たないけど協力してくれそうなミリアムも見つからないしなぁ……



「ジャサファ君、ちょっと愚痴を言ってもいいかな?」

「俺はもう本来の勤勉の奇跡は使えんぞ。それで良ければ言ってみろ」


 ジャサファの了承も得たので言わせてもらおう。


「確かに俺は各々好きに動いていいって言ったよ?でもさ、普通は最低限やるべき事やったあとじゃん!?まずは危ない奴等を先に倒すまでは協力し合おうって約束したじゃん!なんで皆して自分勝手に好き勝手してるわけ?」


 どうだこの正論!

 頼むから納得する反論をしてくれ!


「危険を排除しようとした結果俺はやられた。そして俺は今ピーマンを手中に収めた。これ以上ない成果だ」

「ジャサファをポンコツにした奴誰だよ!?まずはそいつにお礼参りしてやる!名を教えろ!」


「ブレドリパと言っていたな」

「あ、そう……うん……そっか」



 お礼参り無理じゃん。もうブレドリパは俺の前に姿見せねぇよ。

 見せたとしてもお互い予期せぬ場所のはずだ。

 だったら考えるだけ無駄。

 


「……仇打ちなんて不毛な事はやめとくとして……だ。あのレイラって女の子は幻視状態の俺を見えていたよな?」


「ハッキリと視界に収めてはいなかったが、ファティマの危険を感じとったか?」

「もう一回試すわ。 配色同化 作動」


 俺の姿が色が風景に溶け込んでいく。

 匂いが混じり合う。

 気配が消え去っていく。


 普通なら見破れる筈はない。しかしレイラは確実に視えている節があった。

 一瞬の間があった。

 しかしそれを悟られぬように敢えて無視していた。

 リドヴィアの思惑なんて知りたくもないが俺が少し興味が出てきただけだ。


 俺だけ頑張ってるのに気付いたら、みんなが不真面目だからやる気無くなったなんて理由ではない。



 程なくするとレイラがピーマンをお盆いっぱいに乗っけて入ってきた。

 凄く嫌そうな顔をしているが俺がいるせいではないだろう。

 たぶんピーマンが嫌いなんだろうな。



「……っち、ピーマン持ってきましたわよ」


 レイラは一瞬だけ俺の足元を見て舌打ちをした。

 やはり気付いている。

 もう少し近づいてみるか。


 レイラの真後ろに立つ。

 しかしこちらは振り向かない。

 俺は周囲と完全に同化しているからそれは不思議でもなんでもないのだが……


「 解除 」


 配色同化を解除した。

 これで他人でも俺を見る事は出来る。

 盲目でもこれだけ近づいているのだ。急に現れた気配で気づく。



「ジャサファ、この女性の病気は治りましたの?」

「もうじき目を覚ます。それよりも……良きピーマンを選別したな」

「良いピーマンって、ひょっとして苦くないピーマンですの?」

「食ってみればわかる。やらんがな」

「いりませんわよ」



 ……狂ったようにピーマン頬張るジャサファに内心ドン引きだ。

 ジャサファはどれだけピーマン好きなんだよ。

 普段から固形食を食べなかったからなんでも美味く感じているのか?


 狂っちまったジャサファは置いていて、


「   おい  」


 いつまで経っても無視するレイラに声をかけてみた。


「ねぇジャサファ、パパは怒ってると思います?」

「一方だけの話しなどあてにならんが先程聞いた話しが全てならば怒ってはいないな」

 



「おい、聞こえてんだろ?こっち向けよ」

「あーあー。聴こえませんわー。耳つんぼ耳つんぼ」


 レイラが両耳を押さえる仕草をして俺の言葉を遮った。

 つんぼ——、聾唖ろうあの事だが今は関係ない。



「3秒以内に振り向かないと髪の毛引っこ抜く。一本ずつ丁寧に引っこ抜いてジャサファに植毛してやる。振り向いたらなんでも出来るマンな俺が手助けしてやる。はい答え合わせ。いーち、に〜」


 俺のどうでもいい脅しにレイラは歯噛みしながらこちらを向いて睨んだきた。

 


「貴方達はなんなんですのよ!やっと幽霊達が視えなくなったと思った矢先にまた幽霊!わたくしは間に合ってますから他のところに行きなさい!」


「ははっ怖ぇぇ顔してんなー。それと俺は幽霊じゃねぇよ。そこでピーマン食べてる狂人ジャサファの友人だよ」

「……ジャサファの友人?少し待ってていただけます?」


「少しどころか結構待ってやるぜ」


 レイラはキョトンとしながらも俺とジャサファを交互に見つめてスタスタと部屋から出て行った。


 何故見える?

 色欲の罪業が薄れてるはずない。

 この世界において尤も蔓延した罪のはずだ。


 リドヴィアがちょっかいかけてみろとは……なるほど、


「面白い。この世界で初めて面白い人間に会えたよ——」



 少しだけ待っているとレイラは笑顔で皿一杯に盛られたキノコを俺に差し出した。


「なに?食べろってか?」

「ジャサファはピーマンが大好きですから貴方はキノコが大好きなんですのよね?」


「なんだその理論。別に好きじゃねえよ……いや、違うな、好きな部類だな」

「やっぱり!沢山食べていいですわよ!」


 レイラは何考えてるいるかわからないが、ミリアム探しは適当に切り上げて俺も好きな事をやらせてもらおう。


「キノコのお味はどうですの?」

「あ?菌の味だよ——ん……ちょっと出掛けてくるから手伝って欲しい事考えとけよ」


 

 警報レベル3。ブレドリパと同等か

 ——距離は4.5km。

 名前は——タウロス・カーターか。



 

   強さを計るついでに弱かったらぶっ殺してやろう。

 

 あ、でもこいつ童貞だ。強弱関係なく手加減してやろっと。


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