救われる出会い 〜回想〜
今回わかりにくいですが、過去+6.7話20話が含まれる視点です。
レイラがいつの間にか笑わなくなった。特に私と会うと敵意の眼差しを向けてくる。
レイラは魔法が使えない。裏で私が発動したように見せかけているのだ。魔法が使えないとバレないように発動には1時間以上集中出来た時だけ……それも自室に限定させた。
魔法適正Fでもかなり下の才能。Gとになにも変わらない。そして教える人間。私メイデン.トゥリーに問題があった。
魔法使いとしては私以上の人間など片手で事足りる。その最高峰がレイラ一人の為に時間を割き、結果が何一つ魔法が上達しない事実。
私以外が教えていれば希望があったのかも知れない。魔法適正Sに師事すれば自分も上手く魔法を扱えると言う希望。
レイラが本当は適正Gだと知らなければ……レイラの苦しみを分かち合えたのかもしれない。私が無駄だと内心思ってしまい……それをレイラに感じ取られたのだ。
レイラは両親に手紙を何度も送った。『別の教師がいい』と。当然両親は許可しない。それどころか私の機嫌が悪くなり、レイラから離れる事を恐れたぐらいだ。
レイラとの溝は埋まらない。私は彼女の目に届かないように姿を消す。彼女の劣等感を刺激しないように。
…………
…………………………
レイラが少しずつ笑うようになってくれた。両親が色々手を打ってくれたおかげだろう。
私を含めたカーター家の養子。タウロスに懐くようになったのだ。町を治めるためにカーター家の養子となったタウロス。
レイラに魔法関係の事を一切話さず、レイラの前でも魔法を駆使する事がなかった。心を読んだがレイラが適正Gの件は当然知らない。
あの愚兄は空気が読める。たまに……ムカつく程に……私も……私もレイラと仲良くなりたい……嫌わないでほしい。悲しい。
レイラが異常な趣味を持ち始める。趣虐に快感を覚え始めた。私は何も出来ない。止めることも……すすめる事も、無力な私はレイラに頼まれた事だけを……レイラが笑えるように尽くすだけ。
…………
……………………
ある日侵入者が入って来た。街全体には魔力地場を巡らせているが、余程の手練なのか感知しなかった。屋敷の門をくぐるまで気付かなかった私は焦りを覚えた。
迎撃にはマイストを当てる。『今から侵入した奴は全員敵だ。殺せ』と。
屋敷に侵入したのは……変装している。骨格を変え声帯を不気味に変えながら欺こうと……
マイストの一撃を身代わりを使い背後を取る。速すぎる。魔法を一切使わずそれでも本気を出していない青年。青年が向かった先にはレイラがいる……
殺す
その僅かに漏れた殺気に青年は反応した。隠密の加護を破っている。コイツを殺すのは命懸けになる。
しかしその考えもすぐに改めさせられる。青年が名乗った名前。シノブ.ヒイラギ。忍さん……絶対にそうだ。口調も懐かしい。若い時の忍さんそのものだ。
忍さんはタウロスに針を埋め続ける。拷問と脅しておいて治療している。治すツボ。激痛を与えるツボを刺激しながら、
レイラが針を指し忍さんは本心からレイラを褒めていた。心を読むまでもなくお世辞などは一切感じない。レイラにも感じ取れたのだろう。
初めて自分が認められたと。
忍さん……やっぱり忍さんは人を導く事ができる。どうか…レイラに……この世は魔法が必要ない事を教えてほしい。
忍さんと一緒にいる時のレイラは年相応に素直だった。きっと一人の人間として見てくれるからだろう。特別扱いなど一切しない。贔屓しない。
…………
ひょんな事から天井裏で忍さんと二人きりになった。私は忍さんだと気付いているが……忍さんは気付いていない。前世では私に『生まれ変わっても私だけを愛する』って言ってくれたのに……忘れてるのかな?それとも……
忍さんが持っていた5色米で伝えてみる。
《オ ト メ で す 》
暗闇で私の顔色は伝わらないだろう。顔から火が出そうな程火照っている。忍さんは私を見つめ……
「これは遊び道具ではないぞ。適当に見えて暗号に使える。どれ……これが……い ろ は に ほ へ と」
…………5色米は3ヶ月毎に暗号を変えていた。私が死んでから暗号も変わっているだろう。私と違い私(乙女)がこの世界に存在している事を知らないから当然だろう。前世の記憶があるのかも怪しい。
もう一度……彼に惚れてもらえるように努力しよう。
誰にも言えない私の密かな楽しみだ。
レイラに呼ばれたので挨拶をして彼女の元へ姿を見せた。私はこの日におこった幸せを忘れない。
『わたくしの大事な人達がケンカするのはイヤですわ』
レイラが私のことを大事な人だと言ってくれたのだ。あれ程嫌われていたと思っていたが、私の全てが救われた気がした。
無表情を貫いていた頬が緩み、涙が流れ落ちる。
レイラに忍さん……大好きな人がいてくれる。この世界は素晴らしい!この世に生を受けた事を神に感謝する。
女神は忍さんを殺せと言っていたが不可能だ。私にそんな気はサラサラないし、誰も彼を殺せない。
前世での忍さんの死因……調べようはないが、どうやって死んだのかは気になる。普通に考えて彼は寿命以外では死なないだろう。
…………
……………………
「報告は以上です。奥様」
王国首都にいるレイラの母親……ライラに近況を報告した。手紙で済ませていたがどうしても直接聞きたいと報を受けたからだ。
「レイラちゃん元気にしてるのね……ねぇ!見て見て!最近レイラちゃんから毎日手紙が届くのよ!」
確か忍さんが親は大事にしろと言っていた。私も前世で散々忍さんに言われた。
あの爺は大嫌いだ。忍さんの言葉でも私は断ったけどレイラはそれ以来毎日手紙を書くようになった。
それが両親にはたまらなく嬉しいらしい。丁寧に保管された手紙は宝物のようにしまわれている。
「……もうすぐなのよね。レイラちゃんは大丈夫なの?」
「他はどうとでもなりますが、実技で落ちると思います。私が試験官をすると言う手もありますが」
「貴女はもう国の魔法使いではないでしょう。これ以上迷惑かけられないわ。試験官はこちらでなんとかするから」
もうすぐ……初級試験が始まる。昇級試験には国の魔法使いが担当する。賄賂などは基本通用しない。
試験官をさせてもらえる代わりに私が悪魔を1.2体狩る条件を出せば国が頷く……しかし八百長がバレバレだ。レイラはきっと傷つく。
あの子には、ずっと笑い続けてほしい。
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それがいかに歪んだ愛情かはメイデンも、両親も気づかない。守りたいはずの当人達が誰よりもレイラ.カーターを傷つける。
メイデン&ジルの感謝と後書き
「読んでくれた読者様、ブクマしてくれた読者様。ありがとうございます。」
「ねぇ、貴方ってリーディング……記憶を読む魔法使えるのよね?なんでレイラちゃんに使わないの?」
「使ってどうするんですか?」
「え?手っ取り早くレイラちゃんの気持ちに気づいて……」
「ハァ……人が気持ちを隠しているのに、それを覗くのがどれ程失礼か承知の上で魔法を使えと?下着を覗かれてもなんら動じない鋼の女ジル様には理解できないかもしれませんが」
「無視無視…………他の人が言えば一理しかないけど、じゃあ、なんであんたはレイラちゃんに隠れてセクハラしてるのよ?」
「自覚がなくともレイラお嬢様も内心では喜んでるんじゃないんですか?私はそう思っているから罪悪感無く変態行為に臨めます」
「………………」
「どうかしましたか?」
「変態の自覚はあったのね」




