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第31話 レイラ馬に乗る


「シノブ様と一緒だとポリポリが素直ですわ〜!」


「フフ……ソイツは隠密……もといプリプリだ」


 レイラの屋敷に滞在する事になって初日。魔法塾はレイラが休んでいるのでワシもついでに休んでいる。むしろ今のワシにとってはこちらが仕事。


 脇差しの礼が護衛ならばそれを全力で全うするのみ。


 屋敷で飼っている良馬プリプリとポリポリにブラシをかけつつ平和な午後を過ごしていた。


「レイラ殿は馬には乗らんのか?」


 レイラはビクビクしながらも頭を下げる馬を優しく撫でている。この世界は馬がそれなりに活躍している。古くから人間の相棒として苦楽を共にする動物の1つ。


 忍者がいない世界は寂しいものがあるが馬が大事に扱われている世界は心地良い。前世では馬で走り回れる場所も限られていた。


「わたくし……前にお馬さんに落とされたことがありますの……それ以来お馬さんに乗るのが怖くて……」


 レイラがいくつから乗ったか知らんが乗せた者の責任だな。誰でも乗れるが無知な者が乗れる程、馬は大人しくない。



「拙者が見ておいてやる、乗ってみろ」


「え…怖いから嫌ですわ」


 隠密(プリプリ)の頭を撫でゆっくりと背にまたがる。頭が良いのか、余程躾けられているのか……

 

「レイラ殿、拙者の手を取れ」


 オズオズ差し出された手を握りレイラを前に跨がらせ、レイラの手を軽く触れ手綱を握る。


「目線は真っ直ぐ。手綱は持つだけでいい。これは引っ張る物ではない馬を導く物だ。」


「は……ハイです…わ」


 ガチガチに緊張しているな。馬に落とされた経験があるのは素晴らしいが時を跨ぐとトラウマになりかねない。


「……レイラ殿、馬は頭が良い。自分が認めた者しか背に乗せない。」


「……わたくしがお馬さんから落ちたのは認められなかったから……ですの?」


 レイラの声色は冴えない。


「自分が認めた相手が自分を信頼せずに怖がっている。振り落とされて当然だ。恐怖は確実に伝わる。馬に乗るとは馬と心と通わせる事だ」


「怖がらずに……怖がらずに……お馬さんの気持ち……お馬さんの気持ち……」


 ゆっくりと馬と庭を散歩する。振動を最小限に。鞍もつけていない人間などその気になれば簡単に落ちる。それをさせないのは馬の役割だ。


「シノブ様と一緒ならポリポリに乗れますわ!怖くないですわ!」


 レイラがくるりと振り返る。しかしそこには誰もいない。レイラが気づかぬ間に馬から降りレイラが馬に乗る姿を見守っている。


「見事だレイラ殿。あとは時間をかけて馬との信頼を築いていくといい」


…………

……………………


 馬房に馬を戻し丁寧にブラッシングをし続ける。


「流石は隠密(プリプリ)、万一レイラ殿が落ちていたら先にお主の首が地面に落ちていたぞ」


 ブラシに軽い殺気をこめる。不意に馬が背を向けワシを蹴飛ばそうと剛脚を繰り出した。


 しかしそれは当たり前のように空を切った。


「フフフ……冗談の通じぬ奴だ。どれ、反対側もキレイにしてやろう」



…………

…………………………


 メイデンに渡された紙。レイラの予定と護衛する場所まで指定されている。


「厠と浴場は護衛対象外か……」


 一 二を争うほど命の危機に晒される場所だというのに……ワシにはわからんが魔法でなんとかしているのだろうな。


「あ!ヒイラギさん、今暇ですか?」


「見てわからんのか?神経を張り巡らせておるわ」


「突っ立ってるようにしか見えませんけど」


 広間で天井を見上げるワシに声がかかった。悪党面の似合う男タウロス。

 もう少し特徴のない顔なら忍者の素質があるのだがな。


「……話しだけ聞いてやる。手短にすませ」


「マイストがヒイラギさんと手合わせしてみたいって言うんで……どうですか?」


 マイスト……タウロスの護衛でワシが初めてこの屋敷に侵入した時に綺麗な突きを放った男だな。

 ワシの変装を見破った男だ。興味があるのはこちらも同様。しかし今は機ではない。


「手合わせは出来んな。拙者も遊びで此処におるのではない」


「わたくし見てみたいですわ!シノブ様の格好いい惨殺劇を拝見したいですわ!」


 レイラが2階から駆け下りてくる。自分の家だというのにウロチョロウロチョロ落ち着かない娘だな。


「頼むぜ!ヒイラギ様〜。あのメイデンが『自分より強い』って言ってるから一手ご教授賜りたくてな」


 壁を背にもたれかかった男。しかし体重はまるで預けていない。飄々とした言動とは裏腹に身体は緊張している。


 ワシがメイデンより強いだと?先代様は絶対に勝てなくなると言っていたが……今はまだワシのほうが強いのか?


  考えても仕方あるまい。


 レイラもこの場に居るのなら戯れるぐらいは問題ないだろう。強さを求める者を導くのはワシの役目だ。


「教授……だな。拙者はここから動かずにお前を平伏(ひれふ)させてやろう」




ジル&メイデンのでおまけと感謝


「ブクマしてくれた読者様、今回読んでくれた読者様、ありがとうございます。前回に続いてメイデンと、本編では金のエンゼルよりも見れない希少なジル様です」


「…………何の話し?」


「え?金のエンゼルですけど知りませんか?」


「何エンゼルって?エンジェルじゃないの?」




「発音の問題ですね。私の旧姓もTree. トゥリーとも、ツリーとも読めますし…………それより今話のサブタイトル卑猥過ぎませんか?BAN喰らいますよ」


「『レイラ馬に乗る』で卑猥な連想した貴女の頭はイカれてるわよ」


「レイラお嬢様がお馬さんに乗ったんですよ!鞍もつけていない馬乗ったんですよ!剥き出しの馬背は三角!つまり三角馬に―――」

「ハイストップ!貴女のボケターンは終わりました。しゅ〜りょ〜!」



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