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第29話 幻魔刀


「ヒイラギさん、俺はね、悪い事を咎める気はないんですよ。俺も自慢じゃないですけど人に言えないこともしてましたし」


「その年で悪事に線引きしているのか。将来楽しみな逸材だな」


 今はレイラの屋敷、タウロスの部屋に赴いている。金に関してはコイツが1番だ。タウロスの持ち金を拝借し重さを丁寧に測っている。


「ヒイラギさんも悪い事してそうですけど……」


「拙者は悪事は好きではないので依頼でなければ手を染めんな」


 金貨の重さ。刻印を綿密に紙に書き記す。前世程ではないな。この程度なら材料さえあれば


「俺にはヒイラギさんの悪事は止められません。だから……俺の部屋でその悪事をする事を止めてもらえませんか?」


 先程からうるさい奴だ。この作業は根気がいる。隣でピーピーさえずられては敵わん。


「拙者が何をやっているのかわかるのか?」


 タウロスは正直抜けているところがある。今もワシの作業を悪事と決めつけている。


「金貨の……偽造……ですよね?」


 タウロスは至って真顔だ。


「偽造とは人聞きの悪い。拙者はこの金貨と同じ物を作っているだけだ」

 

 タウロスが椅子から立ち上がりワシの前で両手を床に付き前世では何度となく見た謝罪の最高峰。DOGEZAを見せつける。


「タウロス殿、男が簡単に頭を下げるな。何があった?拙者が相談に乗ってやろう」


 DOGEZAはその場で首を落とされても文句は無いと言う魂を差し出す謝罪。一体何がタウロスを追い詰めているのか。


「金貨の偽造を止めてください!偽造金貨の出処がこの町だと知られたら俺は破滅します!お金がほしいなら俺のお金あげますから!」


 タウロスがワシの手に無理矢理金を掴ませてくる。その薄汚い手を強引に払い除け


「勘違いするな!拙者は金がほしい訳ではない!刀がほしいのだ!これは刀を手にする為の作業!」


「刀?東方連邦発祥の美しいけど、すぐ折れるとか言われてる鑑賞用の武器ですか?」


 何という過小評価!東方連邦は知らんが正しく使えば切れぬ物なき魂の武器をそのような言い草



「あ!でも刀ならメイデンがいくつか持ってるから譲ってもらえばどうですか?部屋に飾ってますよ」


「メイデン殿が!?タウロス殿……口添えしてくれぬか?」


「俺よりレイラにお願いしたほうが早いかな」


 タウロスの視線の先には机にかじり付いて勉強に勤しむレイラの姿。カンニング事件以来レイラは自分の力で宿題を真面目に取り組んでいる。

 ちょうど一段落付いたのかノートを閉じ優雅に紅茶を啜っていた。


「レイラ。ヒイラギさん刀が欲しいんだって」


「まあ!刀ですの!?わたくし刀での切り口が大好きですの!シノブ様は扱えますの?みたいですわ!」


 物騒な言い方だが刀で人を斬った時の断面図は見た者を虜にする力が込められているのは事実。

 達人と名刀が合わされば、肉体が斬られたことすら気付かない事もある。


 レイラは立ち上がりタウロスの部屋を後にした。ワシも後に続き、独りになったタウロスは書類を片手にため息をついた。


「ヒイラギさん……ひょっとしてメイデンの部屋に入りたかっただけなのかな。好きな女性の部屋には入りたいからな」



………………

…………………………


 ノックも躊躇いもなく扉が開かれた。部屋の主たるメイデンの姿は当然ない。


 空虚な部屋。机にベッドがあるだけ。机にはホコリ1つ落ちていない。ベッドを軽く触る……体重による僅かな歪みすらない……使用した形跡がない。


「レイラ殿、刀は何処(いずこ)に?」


「おかしいですわね?前は並べてましたのに……メイデン!メイデン!」



 レイラの呼びかけに薄っすらと現れたメイド服の女性。気配は感じていたがレイラの隣に佇んでいようとは


「お呼びですか?」


「シノブ様が刀で人を斬り殺したいらしいんですの!殺人鬼になる予定のシノブ様に似合う刀を貸してあげてくれます?」


 言い方が物騒過ぎる。先代様ではあるまいし、ワシ自身が人を斬り殺す事など……ないと願おう。


 メイデンがチラリとこちらを流し見、タンスから1本の刀を取り出した。


「……構いませんが誰を斬殺するおつもりで?」


「生憎誰かを斬る予定はない……失敬…………」


 メイデンから刀を受け取り鞘から刀を抜く。



 刃がない。重さは存在している。重心からいって刃渡り50センチの脇差しに近しい物を感じる。


「視えない刃……」


「……一般的に魔剣と呼ばれてますね。鑑賞用としたら1番価値の低い一品ですので差し上げますよ」 


 確かに視えない刃がなど鑑賞の価値はないが、実用としてこれ程の品をおいそれと手渡せるものなのか?


 メイデンは静かにこちらを見ている。何かを確認している。ワシの呼吸、脈拍、……何を調べている?



 メイデンはこちらの視線に気付くと不敵な笑みを浮かべた。

ジル&レイラのおまけと感謝


「ブクマしてくれた読者様!評価くれた読者様!また今回も読んでくれた読者様本当にありがとうございます!おかげさまで総合ポイント100突破しました!」


「シノブ様にコインを貰いましたの!凄く良い出来ですわ!」


「おぉ〜本当だ。このコインに魔力がこもってたら本物と見分けつかないよね」


「ですわ!シノブ様は分別の弁えたお方、偽造金貨なんて造りませんわ!」


「だよね。こんなの魔力がある人なら誰でも偽物ってわかるもんね」


「シノブ様は遊びにも全力を尽くす素敵な殿方ですわ!」


「レイラちゃんがこんなに喜ぶなんて……シノブ君の労苦が報われたね」




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