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第28話  ほしいもの


「兄ちゃん!良かったら触っても良いんだぜ!」


「いや、(けん)に徹している故、心配無用」


「けん?ほしい剣があったら言ってくれよ」


 今はこの町の武器屋に顔を出している。人間相手ならば素手でも問題ないが先日の魔物。ロックビーストと再び相見えたのなら次は素手で殺す真似は出来ない。


 「……中高拳を岩に打つ羽目になるとは思わなかったな」


 本来ならば生物の急所を破壊する技。ロックビーストの急所が鉱肌に覆われていた為に諸共 砕いたが、おかげでこちらも脱臼してしまった。


   未熟!


 今は治ってはいるが鍛錬でもないのに苦痛を伴うのは好きではない。好き好んで痛みをほしがる輩の気が知れん。



「兄ちゃん……冷やかしなら帰ってくれるか?」


「……また後日来よう」


 武器屋はまだある。大きな武器屋なので暫く眺めていようかとも思ったが短期な店主だ。5時間眺めていた程度でイライラしおって。


 町に点在する武器屋は4つ。1番大きな武器屋は外れだった。万人が扱える可もなく不可もない品々。それは素晴らしい技術だ。


1000本打って1本限りの名刀を造るよりも1000本打って1000本の万人に受ける刀を作るほうが余程至難。



「……どうせなら刀がほしい」 


 次の武器屋に足を運びながら独り言をこぼした。欲を言えば忍術刀……それはこちらで改良するとしても、この町の刃は全て両刃。両刃など必要ないだろう!




 次の一軒は寂れた武器屋。外見などには微塵も気を遣っていない来る者拒む雰囲気を纏った建物。


 一応扉には鈴をつけているのか。鳴らさないように扉をあけるのがクセになっている。

 中は薄暗いが剣や槍、斧など沢山の武器が並んでいる。店主の姿は見えない。


 丁度いい!目を付けられる前に刃物を堪能させてもらうとするか。


「脇差しなどは無いものか……どれもこれも長すぎる!間合いに入られたら死ぬぞ!」


…………

…………………………



「今日もお客さん来なかった………キャア!?泥棒!!泥棒!」


「何!?拙者の目を掻い潜っただと!?見惚れ過ぎたか!」


 突如あがった絹を裂くような叫び声に身構える。その主はワシの良く知る人物。


「ミシェル殿!賊は何処だ!?級友の家に盗みに入る愚か者は拙者が骨という骨を砕いてくれる!」


「その声……シノブさん?な、なんでシノブさんがウチに泥棒なんか……何もないですよ」


「……拙者は泥棒など滅多にしない。いくらミシェル殿とてそれ以上の侮辱は許さんぞ」


 どうやらミシェルはワシを泥棒と勘違いしたようだった。鈴の音を鳴らさなかったワシに非があるかも知れないが一方的に決めつけるのは人として恥ずべき事。


「滅多に……?ご、ごめんなさい!シノブさん顔が見えないように頭巾を被ってたから。口元にも布を当てて……本当に泥棒じゃないんですか?」


「無論だ。拙者は客だ!金も持っておる!」


 ミシェルに見せた金。銀貨1枚と銅貨10枚。ロックビーストとやらの討伐報酬はまだ入っていないのでこれがありったけ!


 ミシェルはお金を覗き込み申し訳なさそうに


「あの……これだと……安物の小さな砥石ぐらいしか、……多分大通りの武器屋の方が同じ値段で良い砥石が買えます」


 正直な女だ。自分の店だと言うのに売上に貢献する気がないのか。


「この短刀はいくらする?」


 ズラリと並んだ武器の中から1つを指さした。紛れもない短刀。刃渡り30センチの片刃の剣。余計な装飾もなく鞘は黒色で反射を嫌うかのように艶消しを施されている。


 間違いなく闇夜に紛れる暗殺用の武器。その道に精通するミシェルは暗器の達人とワシの第六感が告げている。


「あ!それおじいちゃんの私物だから値段付けてないんですよ!」


「貴様は値を付けられぬ物を陳列しておるのか!」


「ひっ!ごめんなさい!ごめんなさい!私じゃなくておじいちゃんが趣味で並べてるだけなんです。殆ど売り物じゃないんです!ごめんなさい!」


 ……しまった。熱くなってしまった。しかし、ようやく巡り会えた片刃の短刀に心奪われたワシの気持ちも汲んでほしい。


 ワシの第六感が曇っていた事も許してやってほしい。



「祖父殿と直接交渉する」


「あ…おじいちゃんは温泉掘りの旅に出掛けてるんで、暫く帰って来ないかも…です……ごめんなさい」


 ミシェルの祖父がいくつか知らんが行動的な祖父だ。せめて温泉掘りではなく温泉巡りにしておけ。帰って来た時の為に金を用意しておくか。

シノブ&レイラの感謝とおまけ


「ブクマしてくれた方。ありがとうございますわ!感謝とおまけストックが貯まりすぎてて作者は把握出来てなくて嬉しい悲鳴をあげておりますわ!」


「読者殿達には好評か不評かはわからんが拙者達からしたらこの後書きは楽しいのでな。二重の意味を込めて感謝している」


「?だったらなんでおまけを2話もお休みしましたの?」


「一度本編にシリアスを入れてみたかったそうだ」


「そうでしたの!わたくしはてっきりここで話す内容がなくなったと思ってましたわ!」


「本来ならば10回も後書きを書ければ嬉しいぐらいの企画だからな。いざとなれば誰かのステータスでも公開すればいいだろう」


「……そんなに人物出てませんわよ。」


「その時は拙者が分身してシノブ.ヒイラギABCDEFGで七人分補おうではないか!」


「そんなの詐欺ですわ」



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