第23話 悪人の代価
「まずは光じゃ!暗闇こそ絶望の象徴!」
柊忍が盗賊達の目玉を引き抜き潰し続ける。一切の躊躇はない。纏った感情は狂喜。忍の疾さは最早誰も理解出来ない。
ここにいる全て……手足を縛られ俯いた女性以外は光を奪われている。
「……次は貴様達の人間足る由縁を奪う」
盗賊達の悲鳴には一切の興味を示さず周囲をくるりと見渡し何かを探している。
「ナマクラしかないが……致し方ないのう。」
忍は盗賊の一人から1本の短剣を抜き取った。手入れも禄にされていない刃溢れだらけの剣。
一瞬で鮮血の雨が降り注ぐ。同時にボトボトと20を超える手首が床に力無く落ちた。
盗賊達の悲鳴は更に激しくなり、徐々に弱々しくなっていった。自分達に何が起こっているのか。急に現れた青年。奪われた光。両手。血液。
「まだ貴様達は人間じゃ。人間を辞めるまでは殺さんから安心せい。……ワシが責任をもって奪ってやるわ!」
「足も必要無し!」
「一物も要らん!」
「耳はまだ必要じゃ!同胞の悲鳴を聞きながら次に迫る絶望を想像せい!」
盗賊は命以外を奪われる。呼吸はしている。それでもこの身体は生きているとは言えない。死んでいないだけ。
「十分じゃな。死んで……よし!」
それもやがて終わりを告げる。柊忍が短剣片手に室内を駆け回ると、盗賊達は原型も分からない程に斬り刻まれて絶命した。
「……悪に染まる事は生きる為に必要なことなのじゃろうて。ワシも理解しておる。しかし慰み者を用意しなければ生きられぬなら生きる必要などない」
柊忍は自分の手を何度か握り直した
「体は十分……技は……及第点。心は未熟じゃな。こればかりは若さ故に仕方ないのう。ワシとて滾る血潮は簡単には抑えられぬわ」
短剣を片手に縛られた女性の縄を切る。女性は俯いたまま放心している。忍は短剣を握らせ立ち上がった。
「……この場は燃やす。死にたいのならその場で自害せい。自害する勇気がないのならワシが殺してやる」
女性は短剣握りしめフラフラと立ち上がる。部屋内に目を向けると惨劇に目眩と吐き気を感じつつも盗賊のアジトを出る。
「……彼奴等の金じゃ。好きに使ってその後どう生きるか考えるがよい。足りぬのならタウロス某に用意させよう。」
「あの……助けてくれてありがとうこざ」
女性が礼を伝える前に柊忍は女性の頬骨を掴み口を閉じさせた。これ以上喋らせない為に
「お主は運が良くて助かった訳ではない。運が悪かった故に助けた。二度目は運が悪いなど通用せん。生きると決めたのなら自分の身は自分で守れ」
………………
……………………………………
町の井戸で顔を洗う。何度も何度も。身体に血のニオイは付いていない。骨を断った感触も残っていない。
『中々に鍛えておるのう、シノブよ。動きやすい身体であったぞ』
頭の中から声が聴こえてくる。前世に存在した声が響いてくる。
自らを鍛える為には師匠が必要だ。自分よりも強い存在。この世には存在しなくともその魂を内包させ師事をあおぐ。
「やはり先代様には敵いませんな」
『この分じゃとすぐにワシに追い付き追い抜くじゃろうて……その時は、改めて柊の名を名乗れ』
柊という名前は世襲制だ。代々最強の忍者につけられた称号。柊の名前欲しさに忍者の道に走り命を落とした者も多かった。
そして今しがたその身に降ろした魂。ワシの師匠に当たる人物。先代、柊流忍術代12代目継承者。
12代目柊に与えられた言葉は《先見の明》
「……先代様はメイデン殿に勝てますか?」
『勝つ負けると言う時点で忍びとはかけ離れておる。若い故にそこに囚われる事を叱る気はないが、
ワシは無論。今ならシノブでも殺せるが……今を逃せば永劫無理じゃな。シノブの性格はワシが知っておる』
先代様が言うのなら事実なのだろう。ワシがメイデンに勝てない理由が何処かにあって、それは今を逃せば取り返しがつかないのだ。
ならば取る選択は一つしかないな
「メイデン殿は放置に限る」
悪意などもっておらん。裏切るもなにも味方ですらない。今の距離感で接する事にするか。
メイデン&レイラのおまけと感謝
「前々回ブクマしてくれた人ありがとうございますわ前回はブクマ2つと評価までして頂いたので順に感謝をお伝えたいと思いますわ!」
「そんなに長いセリフを息継ぎも無く良く言えましたね。流石レイラお嬢様」
「……褒めてますの?」
「勿論ですよ。後書きが始まる前に必死に練習するお嬢様は例えるなら…………お嬢様を何かに例えるなどありえません!」
「思いつかなかっただけな気がしますわ。あと興奮して鼻血出てますわよ」
「お見苦しい姿を失礼しました。今回は本編のように真面目にしようと思っているので、このような醜態を恥ずかしく思います」
「……貴女……その汚いハンカチはなんですの?仮にもカーター家を名乗るならシワもシミもないハンカチを使いなさい!」
「申し訳ありませんお嬢様。これは私の大事な物なので肌身離さす持ち歩いておりました」
「え?……大事な物でしたの?でも黄ばみぐらい落とせませんの?」
「ハイ!お嬢様がオネショした際の下着ですので、その汚れを落とすなど私の命と引き換えにしてでも阻止させていただきます」
「〜〜!!返し……返して!」
「嗚呼!お嬢様が私の胸に飛び込んで来るなんてなんという至福!このメイデン、一片の悔いもありません!」




