第22話 身辺調査
「メイデン?メイデン.カーターのことを?」
「アーダン教官殿は旧姓の頃の彼女をご存知の様子だったのでな。良ければ拙者に教えてほしい。」
魔法塾の職員控室。その中でコーヒーを優雅に飲む頭が光り輝く男アーダンにメイデンの情報を聞いている。
メイデンはこちらの動向を全て監視している節が見える。今のところ邪魔はしていないがこちらも相応の準備を整え釘を刺す必要がある。
まずは基本中の基本!身辺を洗う!
「別に隠す事もないけど昔……メイデン.トゥリーが有名だったからな。多分誰でも知っている情報しか俺も知らねぇぞ」
「……信用における者しか聞けん。アーダン教官殿。頼む」
ワシが頭を下げるとアーダンは頬を軽く掻きながら思い出すように教えてくれた。
「世界で5人しか確認されていない魔法適正Sのうち一人がメイデンだよ。10歳ぐらい?の時に殺せないはずの悪魔を素手で殺したことで一躍有名になったな。でもいつの間にかカーター家の養子になってたよ」
「……仮にアーダン殿がやりあえば勝てるか?」
アーダンは笑いながら
「無理無理!適正Sだぞ?授業でもやったけど適正Sは加護が多い。単純な実力でも勝てないのにそれを使われたら俺なんか何も出来ないぜ!」
神の加護か……神の寵愛の証。
魔法と同様に世界のルールを改変する力。戦闘向けの加護もあれば、家事に通じる加護、役に立たない加護もある。どれを与えられるかは……
「神のみぞ知る……か」
「ヒイラギも初級になれば加護を貰えるからちゃんと学校来いよ。最近お前…………いねぇ」
………………
………………………………
「タウロス殿はどうやってカーター家の養子になったのだ?」
「え?……ヒイラギさん……まさか俺と義兄弟になりたいんですか?多分無理ですよ俺が反対しますし、レイラだって……レイラはどうだろう?」
タウロスが一人ボケている間神経を張り巡らせる。メイデンはレイラの近くにいる。今もレイラの側にいる事は間違いない。しかし可能性は常に視野に入れなければならない。
ここは前に出る。ワシがメイデンならばタウロスなど監視せん!こいつの日常は時間の無駄だ!
「……単刀直入に聞く。メイデン殿の弱点が知りたい」
タウロスは屋敷での権力はあまりないが少なくとも同じ屋根の下で暮らす者だ。弱点と言えずとも……なにか少しでもヒントがあれば……
ワシがクモの糸を手繰り寄せる!
「メイデンの弱点?レイラですよ」
早すぎて率直過ぎる回答。
「レイラ殿を殺せと?割に合わんな」
「なんでヒイラギさんは物騒な曲解するんですか!?メイデンは何故か知らないけどレイラを一番大事に思ってるんですよ。メイデンから出したカーター家の養子になる条件だってレイラの側に仕えることってウィル父様が言ってましたし」
レイラが弱点か……これは使えるな。使う機会など無い事を願おうか。
言われてみればメイデンが姿を現す時はレイラが絶対に関係している。レイラに関わらなければメイデンは出て来ない……か。
「……ひょっとしてヒイラギさん」
「この件は内密に頼むぞ。拙者も慎重に事を進めたいのでな。タウロス殿を信用しておるぞ」
タウロスがコクリと頷いたのを確認し、部屋から素早く去る
タウロス自室で書類に目を通しながらポツリと呟いた。
「そっか……ヒイラギさんはメイデンが好きだったのか」
後は情報といえば……酒場か…………いや、もっと深く
「メイデンカーターァ?カーター家にしっぽを振った下種女だろ!」
「アイツはカーター家の犬だぜ!」
「寄りにも寄ってカーター家だと……ムシャクシャする」
昼から酒を浴びる盗賊達の話しはメイデンに対する恨みとカーター家に対する憎しみ。普段から悪どい事をやっているのか……不満は溜まりいずれ爆発する。
沈静させなければ命をもって償わされる。前世と変わらんな。
「なあニコラ!次の襲撃は何処だよ!?最近誘いがないから殺されたかと思ってたぜ!」
この下賤な盗賊達はワシをニコラ.ブラウンだと思っている。本人の面を身に着けているのだ。簡単には見破られない。ミシェルだけが特別と結論を出すには早いが…
「情報を感謝する。」
「待てよニコラ!せっかくだから一発どうだ?上手いこと傷つけずに攫ってこれたぜ!」
盗賊の一人が顎をシャクった。奥に居るのは手足を縛られた若い女性。盗賊の慰み者というのは容易に想像がついた。
「…………くだらんな。失礼する」
関係ないな。盗賊共もこの程度の不満ではまだまだ爆発しない。今も酒の力を借り欲望を吐き出すだけで満足している。
放っておいても、仮にカーター家が滅びてもなにも変わらん。自分からなにかする必要も理由もない。
シノブよ、ワシ自ら出る。
シノブは足速に野盗の住処を後にした。野盗達は次々に出るカーター家への不満を肴に盃を掲げている。
「…………陰陽遁 口寄せ 降身転心」
………………
………………………………
一人の青年が入って来た。全身が殺気の塊。触れる事など許されない。瞳に収めることも。
一瞬の静寂……青年と盗賊の1人と視線があった。
「?…………あ……あ…あぁぁあアア!!」
静寂は喧騒と悲鳴に変わる。
「誰の眼を見ているのじゃ?不快なので捨てさせてもらう」
青年は2つのブヨブヨした玉を投げ捨て踏み潰した
「目……目……メ!視えない……魔法か!?」
盗賊の男は眼窩から赤い涙を流しながら地面を這いつくばっている。彼の探す光はこの世には存在しない。
たった今奪われた。そして潰された。
「お前……最近カーター家に出入りしてるガキか!?……なにか……違う……誰だ……?」
「呆れた奴がいるのう。ワシがシノブ以外の何に見えるというのじゃ?その眼も必要ないな。お前はこれから来世の希望という光だけを抱け
もっとも 貴様達はすぐに死ぬのだが 」
「シノブには関係ないかも知れんがの……ワシが聞いていた事が貴様等の運の尽きよ!獣以下の貴様等は皆殺しじゃ!悪意の芽は斬獲させてもらおう!」
柊忍は床を蹴り砕いた。
ジル&メイデンのおまけと感謝
「前回ブクマをしてくれた読者様ありがとうございます。今回も私メイデンと本編で出番のないジル様です」
「わ……私だってそのうち出番貰えるわよ」
「ジル様の出番は次元の狭間に放って置いて、私とお嬢様の後書きはまだなんですか?」
「多分永久にないわよ。」
「何故です!?理解不能理解不能!」
「ビックリしてる事にビックリだよ!アンタの変態振りにドン引きしてるからよ!」
「別に後書きだから良いじゃないですか。肩の力を抜いて好き勝手するべきですよ。」
「……次回おまけが確定してるからレイラちゃん出すけど……」
「私!私暇です!私とお嬢様がおまけやります!」
「良いけどレイラちゃんに変な真似してブクマ剥がれたら二度と同時に出さないからね」
「汚い女ですね。後書きとブクマ数は関係ありませんよ。後書きに1番ジル様が出演しているからと言って自惚れてますね……この…………名前付きモブが!」
「嫌ならシノブ君とレイラちゃん「やります!」」




