第2話 魔法適性
門を抜けるとワシと同世代の人間が集まっていた。ここより先は初見。心してかからねば命を落とす。
「まずはお前達の適性を測らせてもらう。魔法適性がC以下ならその時点で不合格。覚悟が出来た者から前へ!」
水晶を片手に持った男の声が響く。どうやら奴が試験官、物怖じする者勇ましく前へ進む勇敢な若者もいる。ワシは勿論……
「まずは見にまわらせてもらう。」
どのように適性を測るのか?7つの頃に測った物と同一なのかどうか?
一人の青年が前に出て水晶に手をかざす。途端に水晶が煌めき試験官が驚嘆の声を漏らす。
「……中々の逸材。筆記なんかで落ちるなよ。……次!」
青年は喜ぶ仕草もせずに場内へと入っていく。当人にとっては受かって当然なのだろう。ワシと同じ覚悟のある者。見所がある!
………………
若者達の落ちた受かったを遠目で見つつ思案する。策を練る。案を出しは捨て、出しは捨て、練り込む。無論ワシの適性がC以上なら問題ないが……そういう訳にもいくまい。
「…………おい!そこでボーっとしてる奴。次はお前だ!」
「………………。」
「おい!何無視してんだ!今すぐ落とすぞ!お前以外もういないんだよ!」
「拙者はまだ覚悟が決まっておらん……」
ワシの正直な意見に試験官は笑いを押し殺す。しかしすぐさま怒りの表情を向ける。まるで心がなっていない。幼児以下。
「何が拙者だ!早く来い!」
溜息を吐きつつ男に近寄る。
「貴様を殺す覚悟がまだなのだが……よいか?」
瞬時に試験官の背後をとる。反応する間も与えない。驚愕する隙すら与えるつもりはない。与えてやるのは……
「…………ガッ!? ギャッ!」
乾いた音が広場に木霊した。試験官は右肩を押さえ蹲っている。転げ落ちた水晶を手に取り試験官に差し出す。
「……どうした?落としたぞ?」
「…………痛……あぁ、すまない。」
試験官が辺りをキョロキョロしだす。何も有りはしない。見つけられない。もう終わっている。試験官の右肩を外し瞬時に入れ込む。誰にも見られてはいけないが、最悪目の前の男にさえバレなければいい。
そして適正試験を終えた人々はここにはいない。
試験官が激痛に顔を歪めつつも本来の業務に戻ろうとする。ワシが水晶を持ったことにより煌めきを放ち魔法適性を表示させていた。
「お前の適性は…………Gか。残念だが不合……ガッ!?」
言い終える前に外す。そして再び入れ込む。違うのは肩を外したのではない。手首だ。当然試験官にもバレている。
「お前〜……なんのつもりだ!!」
「はて?拙者より弱い者が合格で、拙者が合格出来ぬとは……逆にどう言うつもりだ?貴様が合格と言うまで関節を外し入れ込んでやろう。次は何処を外してほしい?」
ワシの挑発に男は激怒した。本来ならばこの時点で試験などあった物ではないが、要は合格すればいい。記号など称号。実践では何ら役に立たぬ垢。
「燃え尽きろー!フレイムバーナー!」
試験官が掌から勢い良く炎の杭を出現させた。掌の先は明後日の方向。目線と腕はワシを見据えている。それでも掌だけは明後日なのだ。
何故なら試験官の両腕手首は外されている。目にも止まらぬ速度で。
「嗚呼ァァァ!!手が……手がぁぁあ!」
「男子が情けない声をあげるな。顎を貰おうか。」
素早く男の手首を掴み入れ込む。顎に中指を立て捻る。
「脱臼はクセになる。キレイに外してはおるが、日に何度も外せば後遺症が出るぞ。お前は何度目で動かなくなるやら……」
「か……あ……あ…………は…………」
顎をブラブラとさせながら恐怖に顔が引きつっている。ゆっくりと男の鼻を摘む。
「鼻を潰してやろうか?眼球を抉ってやろうか?舌を引き抜いてやろうか?」
「こ……こほひて……みお」
「合格する気になれば頷け。時間もない、手荒にいくぞ。」
コイツも屈しない胆力を持っているな。脱臼はそれ程痛くはないからな。
だから強がりが吐ける。
………………
「ほ……ほう……ふへは……」
5分後。試験官はようやく涙と共に頷く。多少手間取ったが許容範囲だ。すぐさま男の骨を入れ込んでいく。
「拙者の魔法適性はG……魔法は一切扱えぬ最低ランクなのだろう?ならば貴様がCに書き換えよ。似ておるし簡単であろう。」
試験官は歯を食いしばりながら羊紙に記入していく。
一挙手一投足を見逃さない。何を仕出かすかわかった物ではない。
「お前の他にも拙者に協力している者がいる。下手な真似をしてみろ……殺しに行くからな。」
内通者を匂わせる。それで十分だ。恐怖は己の内に住まわせる。男は手を震わせ羊紙に筆を奔らせた。書き終わった羊紙を受け取り試験官の身体に液体を塗り込む。
「冷た……これは…………治癒魔法……薬草?」
「秘伝のSHIPPUじゃ。半刻程したら洗い流せ。無茶をさせて悪かったな。」
ヘナヘナと座り込む男に背を向ける。
シノブ&ジルのおまけと感謝
「シノブ君シノブ君!大変よ!」
「どうしたジル殿、こんな場所……ATOGAKIに呼び出して、慌てすぎだ。温かい茶でも飲んで落ち着いたらどうだ?」
「それどころじゃないわよ!この作品にブクマが……ブクマをしてくれた人がいるのよ!」
「何!?第一話投稿にして早くも零点を回避したと…圧倒的感謝!」
「私からも、ありがとうございます!作者の励みになります!」
「このような吉報……母上様にも知らせねば!」
「あ…………行っちゃった。次回はブクマが増えたらまた感謝を伝えたいと思います。お目汚し失礼しました。」