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第16話  薬草ツミツミ


「これが魔力草か?拙者にはぺんぺん草にしか見えんな。」


「この山に自生してるぺんぺん草に魔力が籠もってるのよ。同じ大きさでも魔力の大小あるから少ないのは取っちゃダメよ」


「なる程……全くわからん」


 今は町の外れにある山で魔力草という草の採取に明け暮れている。魔法実験には欠かせない物らしく魔法使いは僅かな魔力を感知しつつ魔力草を採取していっている。

 ワシは魔力感知など出来ぬので完全な役立たずだ。


「ん〜どのくらい必要なんだろ?誰か聞いてない?」


 ジルが皆に向かって問いかけると丁寧に仕分けしていた女性、ミシェルが立ち上がり


「アーダン先生が持てるだけほしいって言ってました。後、他の先生達も余ったらほしいらしいので……沢山です」


 自分で取りに行けと言いたいが10人がかりでもまだ足りぬようだ。生徒に頼んだほうが効率が良いのだろう。


 ワシが適当に採取したぺんぺん草を仕分けしているミシェルの前に置き


「ミシェル殿。拙者に手伝える事はないか?」

 


「あ……え〜と……大丈夫です。」


 ミシェルはしどろもどろになりながら首を大きく横に振った。


「では拙者は少し奥でぺんぺん草を探してこよう」


「あっ!これ以上入ったら魔物の縄張りになるから先生達が入るなって……言って……ました」


「教官殿が?」


 周りの生徒達はお構いなしに奥へ入って行ったから大丈夫と思っていたがジルに聞いてみるか


「ジル殿。採取中に申し訳無いがこれより奥へ行くのは止めたほうがいいのか?ミシェル殿に止められた。」


「ここは結界が張られてるから大丈夫だけど、自信があるなら自己責任で行ってみろって先生が言うおかげで皆、奥に行っちゃうのよね」


魔法塾に通い始めもう2ヶ月。普段の授業にも慣れ魔法の扱いも多少上手くなってきているのだろう。ワシは実感出来ないのが悲しいが、


 自分に自信がつけば魔物も怖くない……それにここは一人ではない。周りに大勢の仲間がいる。


「ジル殿は奥へは行かぬのか?」


「私!?私は行かないわよ。ここにも魔力草あるんだしわざわざ危険な場所に出向きたくないわ」


「……ジル殿は賢いな」


 成果が同じならば安全な道をたどる。臆病と呼ぶ者もいるかも知れんが、


「わたくしシノブ様とデートした時もっと奥に行きましたけど魔物なんていませんでしたわよ!」


「え!?そうなの?いっつもいるんだけど……シノブ君が怖いから逃げちゃったのかしら?」


 レイラとキノコ採取に出向いたのもこの山だ。あの時はいないのではなく出会わなかっただけ。出会う前に死んでいた。レイラの視界に入る前に…………



「なあ!もう魔力草は十分に集まっただろ?この奥にゴブリンの巣を見つけたんだ!皆で行ってみないか?」


 ゴブリン。魔物の中で弱小に分類される種族。数が多く人間への被害も大きい。

 

 ゴブリン退治に誘ってきたのは前途有望な若者タイラー。2ヶ月もたてば、この青年も立派な半人前だ。自信過剰故の勇み足。


 タイラーの一声に周りが賛同していく。ゴブリン程度なら町の大人でも討伐出来る。ならば自分達なら尚の事。


「後は、ジルとミシェルとレイラお嬢と補欠か。一緒に来ないか?俺が守ってやるぜ」


「私は魔力草が集まったんだから帰るわよ。あんまり無茶して怪我しないようにね」


 ジルは皆で集めた魔力草を1つの大袋に詰め込み、手を振りながら下山して行った。賢い選択。


「シノブ様はどうなさいますの?」


「拙者か?拙者はいつも通り……(けん)だ!」


「けん?わたくしも剣ですわ!」


 ジルは帰宅。ワシとレイラはこの場に残る。残すは


「私は……あの、先生が入っちゃ行けないって言ってたから……」


「大丈夫だって!ここで俺達が優秀なところを見せつけて先生達をビックリさせてやろうぜ!それにミシェルとか成績は大丈夫なのか?」


 痛いところを付かれたのかミシェルはアワアワしながらもコクリと頷いた。

 成績か……ワシとミシェルは壱、弐を争う程真面目に受けておるし大丈夫だろうて。


…………

……………………


 生徒達がゴブリン討伐に出掛け1時間程経過した。レイラは隣で大きなアクビをしつつ


「シノブ様、わたくし帰りたくなりましたわ。」


 草花で冠を作っていたが流石に飽きたのだろう。


「そうだな……時にメイデン殿は近くにいるのか?」


「メイデン?どうかしら?多分いますわよ。呼べば絶対来ますから。呼びますの?」


 絶対か……それ程の信頼を得ている。今も確かに視線を感じている。しかし正確な位置が依然としてわからない。かなりの手練


「いやいい。レイラ殿は帰っていろ。拙者は野暮用ができた」


 自ら虎の尾を踏み入った愚か者など死んで当然だが同じ学舎で育つ級友。見殺しにはできんな。



 シノブは森奥へ姿を消した。残されたレイラは森奥と帰り道を交互に見返し


「わたくしも行きますわ〜!」




シノブ&ミシェルのおまけと感謝


「え…と、前回評価を下さった読者様、本当にありがとうございました。これからも宜しくお願いします」


「う〜む」


「どうしたんですか?そんなに魔力草を見つめて」


「この草をどうするのだ?拙者には検討もつかん」


「え…と、一般的には魔力が大きい草は乾燥させて魔力を高めて、小さい草は煮詰めてポーションにしたりします」


「なる程!それでミシェル殿は大小を区別し、仕分けをしていたのだな!ひと手間かける者こそが一流の技師よ」


「……結局ジルさんが一纏(ひとまと)めにしちゃったから意味なかったんですけどね」


「フフフ、ジル殿も悪気があった訳ではない。拙者が代わりに謝罪させてもらおう」


「大丈夫です!気にしないで下さい!シノブさんが持ってきた魔力草……一切魔力がない普通のぺんぺん草ばかりでしたので、そちらの方が余程悪気を感じて……あぁ!ごめんなさいごめんなさい!そんなつもりじゃないんです」



「……申し訳ない…………」


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