第18話 東方連邦の2人
「流石に王都と名乗るだけあって栄えているな」
「ですね〜、あ!でも繁栄だけで言ったら南の王国なんかはもっと凄いらしいですよ」
「あそこは人こそいても……タウロス殿!」「嫌です!」
ワシの呼びかけに脊髄反射で答えたタウロス。なにも言ってもいないうちに嫌とは……
「拙者がなにを言うのかわかっているのか?」
「……またお団子ですよね?俺だって別の食べ物も食べたいんですよ。もう10本も食べてるじゃないですか。あんなの1.2本食べて小腹を満たし……て」
「…………」
「お団子を買って来ましょうか!?」
「かたじけない。タウロス殿の好意に甘えるとする」
タウロスは心を読み取る術まで体得している。あながち未来予知も乙女殿の冗談ではないかもしれんな。
タウロスが戻るで時間が空いたな。向こうに人だかりができている。匂いからしてお団子屋さんではないので……情報収集として見に行って見るか。
ーーー
「はーい!今日もたくさん集まってくれてありがとうございました!初めての人もお時間ありましたら是非一度ご覧くださーい!」
「待ってたぜー!」
「今日はなにを見せてくれるんだー!」
「早くしないと巡回兵が来るぞー」
人だかりの中心には二人組の男女。女は元気よく皆に挨拶をしてまわり、青年は正座をして瞳を閉じている。
人々の声を聞く限りかなり期待を込められている。人だかりが更に人を呼ぶ。
「みなさん銅貨は持ってますかー?1枚取り出してもらって全員同時に投げて下さい!それをここで座っている彼方君が表か裏かを当てていきますので」
町人達は小銭を取り出し始めた。胡散臭い連中だとしても自分が放ったコイントスならば不正はないだろうと思い。
「いきますよー!いっ せーのっ せっ!!」
同時に投げられた金。人だかりは200人を超えている。座っている彼方には見えない位置で投げる者もいる。全員が硬貨を手の甲に収めると男はゆっくりと立ち上がった。
はじめての者は息を呑んだ。彼方は右腕、肩から先が喪失していたのだから。
「腕が……ない。戦争……魔物にやられたのか?」
「あの二人の服装を見てみろよ。東方連邦の出身だ」
「……表表表裏裏表裏裏表――」
彼方と呼ばれた男は次々とコインの表裏を言い続けた
。言われて手を開けると驚いた顔をした人。二分の一なのだから当てても不思議はないと不毛な虚栄を張る者。
「表」
「……!あぁ〜!?違うぜ腕なし!俺の銀貨は裏だ。このペテン師がよ!」
彼方が言い当てる正解率は高くはなかった。精々7割。人によっては凄いとも言えるがそのぐらいで当てられる人間がいてもおかしくはない。
勝ち誇った男に対して周りの視線は冷たかった。それは彼方が片腕がないことからくる同情などではない。
この青年をまるで知らないモグリに対しての冷ややかな視線。
全員言い終えると女性がよく通る声を張り
「みなさんどうでしたか〜?凄いと思ってくれたのなら大きな拍手と……ほんの僅かなお気持ちをお願いしまーす!」
端的に言えば凄いと思ったのなら金を出せと言うことだ。
当然当てられなかった者はお金など出さない。二分の一とはいえ当てられた者はちょうど手に持っていた銅貨1枚を女性に手渡す為に列を作った。列は全員が男性。
必然的に残った人物は女性と子どもが多数。そして僅かな男達。その僅かな男性には当てはまる条件があった。
「俺のは……銀貨だから当てなかったのか?」
「このような陳腐な芸など10円以上の価値はないわ」
「ジ……ジユーエン?男だけ当てられる?聞いたことがある……男が大好物な好事家。男の全てを知り尽くしたマスター.オブ.ダンディ!それが……お前のような若造だと?俺の全てを見透かしているのか?やめろ!俺を見ないでくれ。俺は男に興味がないんだ!」
銀貨を握りしめた男は気色悪く身をくねらせた。
「このたわけ!断っておくがワシは男は嫌いじゃからな。女子供から金銭を受け取るのが性に合わんだけじゃ」
「おい!巡回兵が来たぞ!道を開けろ!」
人だかりがワッと声を上げ期待に胸を踊らせている。
今のは前座と言わんばかり。
駆けつけた巡回兵は歯を噛み締めて彼方に詰め寄った。
「どこで商売している!許可証を出せ!それと往来を塞ぎやがって!貴族様の邪魔になるだろうが!このクズ共!」
「……クソ」
「逆らっちゃダメよ。処罰されるわ」
クズ呼ばわりされた男は拳を握ったがすぐに周りに止められた。
巡回兵の沸点は低かった。ただでさえ緊急で巡回兵が駆り出されているのに、このような小さな仕事しか与えられない屈辱。周りの人たちに当たり散らしながら人だかりの中心へと足を運んだ。
「あ〜皆の衆、この都は見せかけながらも平和じゃ。それはこの地を開拓した者。この地の平和を守っておる者がおるおかけじゃ。ワシが悠長にしていられるのも、彼奴等のおかげと言うことも……あるのかのう?」
彼方は人々の怒りを鎮めるように巡回兵に1歩近づいた。
「彼奴等は有事の際に命がけで皆を守らねばならん。当然じゃのう、皆の血の証でもあるを金を受け取っておるのじゃから」
「そうだ。だからお前たちも許可をとって……ギャン」
巡回兵の一人が白目を剥きを仰向けに倒れた。彼方が左手の骨を鳴らし残りの巡回兵を見据えて
「ほれ?どうした?非常事態じゃ。命賭けで民衆を守ってみんか。命令がなければ動けぬ案山子が一端の口を聞くでないわ。
背を向ければ殺す。挑むのなら手加減してやるがワシの弾指は痛いらしいぞ。自分で体感できぬのが不憫で仕方ないわい カッカッカッ!」
レイラ&ジュデッカのおまけ
「ブクマしてくれた読者様ありがとうございましたわ」
「なに?僕はもう用済みだろ。なんでまだ呼ばれてるんだい?」
「うるさいですわ!口だけジュデッカ!この章は出れる方がいませんのよ!」
「君は口が悪いね。」
「あれ以来わたくしまともに眠れませんのよ!このアクマ!不眠アクマ!」
「本編ではグッスリ眠って……あっと、アレは意識が落ちているから違うか」
「言われたくなければオバケを払う方法を早く教えなさい!」
「侮蔑は慣れてるから構わないけど……君、見た目がいいから今は周りがチヤホヤしてくれるけどさ、そのうち誰からも相手されなくなるよ。ロクシィがそうだったからね」
「え?そ……そんなことありませんわ!…………ん……あの、その。ご……ごめんなさいですわ。どうすればいいんですの?」
「大丈夫だよ。君の側にはお化けがついてるんだろう?誰からも相手されなくなったら幽霊と語りあってなよ。ハハハ!」
「キィ〜〜!ちゃんと謝りましたのに〜!」




