表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/508

第11話 シノブの弱点


 闇夜から姿を現したのは凛とした佇まいの女性。レイラの付き人メイデン。


 メイデンは上着を脱ぎながらそっと眠りについたレイラに羽織らせる。そして頭を優しく撫でようとして、止める。


「座れメイデン殿、今新しいキノコを焼こう。」


 シノブは様々なキノコを木の枝に刺し火に近づける。焼けば毒が消えるキノコもあればもとから無毒のキノコ。当然


「毒もあるので気をつけろよ。拙者は今出したキノコには耐性をつけているので問題ない。」


 火に当てられたシノブの顔は嬉しそうだ。対面に腰を下ろし無表情を貫くメイデン。


「貴方のことは調べさせてもらいました」


「ほう?何かわかったか?」


「……この国の出身ではないですよね。出生記録も滞在記録も存在していない。不法入国者?」


 シノブはメイデンの問いには答えずキノコを手にとった。おもむろにかぶりつく。


「……自らの弱点に繋がる事は話さないのだが、お主には借りがある。山奥で世捨て人の如く生活しておった。母上様は下界が嫌いでな。拙者を産んだ時も一人きりだったそうだ。拙者を調べてもそれ以上何も出てこんぞ」



 ついでメイデンがキノコを取る。出来るだけ白いキノコ。恐る恐る齧り……


「…………キュ……ア」


 キノコを投げ捨てる。


「毒に当たったか?味は絶品だが痺れるのが難点だな」


「…………お嬢様を連れ帰りますけど構いませんか?」


「そうだな。拙者が悪い事をしたと伝えておいてくれ。あとこれを渡しておいてくれ」


 メイデンに小袋を手渡す。メイデンは多少訝しながらもコクリと頷いてくれた。


「お嬢様は楽しそうでした。私ではお嬢様を笑顔にできません。……ありがとう。」


メイデンはレイラを優しく抱き姿を消した


「さて……この大量のキノコはどうしたものか……そもそも拙者は…………迷子なのだぞ。メイデン殿も帰り道を知っているのなら教えてくれても良かろう物を」



………………

………………………………


「シノブ君!三日間もどこ行ってたのよ!あのまま辞めちゃったのかと思ったわよ!」


「少し山奥で修行をな、実に有意義であった!」


 三日間山を彷徨いようやく戻ってこれた。本来なら夜明けと共に樹海であろうと下山出来たが、あの山は異常だ。普通は秋に生えるキノコ。その原因を調べたいという欲求に勝てなんだ。結果こうしてジルに心配をかけている。


         未熟!



「シノブ様!似合いますの?シノブ様から頂いた髪留め!わたくし大事にしますわ!」


「ほぅ……早速身に着けたか、後で正しい使い方を教えておこう。」


 レイラはその場でクルクルと回る。豪華な衣装には似合わない不出来な髪留め。しかしレイラは心から喜んでいる。


 使い方も知らぬのに喜ぶとは……酔狂な娘よ、まさか察しておるのか?それにしても今日は皆気がたっているな。そのような殺気では誰も暗殺できぬぞ。


 「あそっか、シノブ君知らないわよね。一昨日から魔法武器の訓練があってね。実戦形式?かな?シノブ君も武器を持って中央広場に移動してね」


 ジルは長い棒を片手に気怠げに教室を後にした。


「レイラ殿は何を持つのだ?」


「わたくしはシノブ様がくれたこの杖ですわ!持ちやすくてとっても扱いやすいですわ!」


 レイラはその場でブンブンと振り回す。彼女用に作ったが気に入ってもらえて何より。しかし手入れを施してないのであの杖は腐るな。


 それよりも……武器か……どうしたものか……

 いつも通り


「まずは(けん)に徹する!」



…………


「じゃあ二人一組になってお互い魔法を武器に込めたら開始!怪我しても治癒魔法の講師が来てるから遠慮なくやれよー!」



 教官の合図で一斉に組が出来上がる。2日間で互いにパートナーを見つけたという事か。ワシに駆け寄る者など……


「シノブ様〜!わたくしとご一緒していただける?わたくし昨日もその前もあの先生と一緒でしたので今日はシノブ様と頑張りたいですわ!」


 レイラがワシに駆け寄る。気持ちは嬉しいが


「レイラ殿、拙者は武器術全般が苦手なのだ。悪い事は言わん。今日も教官殿と組むべきだ」


「シノブ様が仰るのなら……」


 レイラが悲しそうにワシの元を去っていく。




「補欠!オレとやろうぜ!お互い新入生同士だ!文句ないだろ?」


「お主は……タイラー殿か、先程の話しは聴こえなかったか?拙者は武器が苦手なのだ。それを理解して尚挑むとは、お主の鼓膜は破れておるのか?」


 ワシに語りかける青年。入学試験で目立ちまくった才能溢れる希望の星。そのような者相手に武器を持つなど


「なぁ?これは練習だぞ?怪我しても先生達が治療してくれる。何ならオレが治療するからやろうぜ!苦手なら克服すればいいじゃないか!」


「拙者はいくらやってもダメなのだ。いくら修練を費やしてもまるで上達しない。それどころか……」


 ワシの諦めの言葉にタイラーはムッとした。この者も悪気がある訳ではない。ワシが一人になっている事に気付き声をかけてくれた。


考えている事は読めた。


悪気はない。邪気が憑いておるわ。



「ホラ!オレの剣持ってみろよ!いいか?まずは意識を集中させて」


「待て待て!了承した。拙者は…………コレでお相手しよう」




 シノブが摘んだのは厚さ2ミリ長さ10センチ程の小枝。それを力無くダラリと下げる。


「なんのつもりだ?それは武器じゃないだろう!」


「拙者も武器とは思いたくはない……拙者が武器をもてば…………殺してしまう」



「まぁ……いいか。魔力を込めれば棒切れも魔剣になるって言うからな」


 タイラーは瞳を落とし意識を剣に集中させはじめる。剣が赤い熱を帯び周囲の景色が歪む


「フレイムブレイド……補欠は時間かかりそうか?この状態はちょっとキツイんだけどな」


「拙者はこの小枝を手に持った瞬間から気を込めておる。準備が出来たのなら行くぞ?


   気をしっかり保て  」




直後に



タイラーの首から鮮血が溢れ出し


「ガッ………………ハァッ………………」


仰向けに倒れ伏したタイラーの胸には小枝が深々と突き刺さっていた。



「だから言ったであろう。拙者は武器を持つと加減が出来ん。先代様にも散々注意を受けてきたわ。拙者もまだまだ心が未熟故……許せ」


 ため息混じりにタイラーの首傷に指を埋めて簡易の止血を施す。胸の一撃は肺に達している。無理に引き抜く訳にはいかない。これが刃物だったのなら両断している。

 

 治癒魔法でも失った命まで戻すのかはわからないが、ジル殿の母親の病気は治癒魔法ではどうにもならなかったところを見ると万能ではない。


 もっとも、タイラーが助かるかは


「ん?死んでおらんな、タフな奴め!治癒魔法使い殿!タイラー殿が自害された!急ぎ治癒魔法を!


…………聴こえていないだろうが忠告しておいてやる。貴様が腹に何を溜め込もうと勝手だが、貴様程度が拙者を利用しようとすれば次は命を貰う。魂に刻んでおけ」



 タイラーの傷は急所であったものの処置が早く治癒魔法のエキスパートがいた為に、1週間で復帰した。

 この件は相手であるシノブが自殺と証言し、誰も見ていない事もあり魔法暴走事故として処理された。



レイラ&メイデンのおまけと感謝





「…………ここは?申し訳ありませんお嬢様。道に迷ってしまいました」


「ここは後書きですわ!ブクマや評価をしてくれた人に感謝をして、え…と、本編とはカクゼツ?された空間とシノブ様が仰ってましたわ!」


「理解しました。つまりこの場では何をしても良いと言うことですね。お嬢様と二人きりの空間で」


「何を聞いてますの!?だめですわ!どこかで怨礼魔(おれいま)が見てますわ!素早く感謝の言葉を申さないと怨礼魔が怒り狂うんですのよ!」


「ブクマと評価に私は関係ありません。それに感謝は作者がするべきだと思います」


「そんな暴言を言ったら……ヒッ!?あの足音……怨礼魔が、ジルが来ますわ……メイデン!早く感謝を……感謝の言葉を言いなさい!」


「ジル?ご安心下さいお嬢様……あのような見習い程度は仮に片手でも私の相手になりません…………排除して来ます!その後、二人で!永遠に!!




    生きていきましょう!!!」



「何を言ってるかわかりませんけど、ダ、ダメですわよメイデン!この場においてはシノブ様でも怨礼魔には勝てませんのよ!…………ああ、やっぱり。

 


ブクマをしてくれた人ありがとうございましたですわ!もう一件付けてもらいましたので次回はしっかり教育されたメイデンが感謝を伝えると思いますわ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ