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第15話  カーター家本邸


 ーーサイド ウィルーー


 王国首都に存在するどこにでもありそうな家の1つ。それが渡の家である。贅の限りを尽くした家を起てるのは容易だが、そんな事ではまるで満たされない。食事と眠る場所さえあれば構わない。


 それが今日は違う。王族や重役を招く時に使う家。本来ならばこここそが本邸ではあるがこの家は特別。


「まだか?私が迎えに行ったほうがいいのではないのか?」

「もう5度目です。旦那様。あと10分もすれば到着なさいますよ。遠目からは確認できますし窓から覗いてみてはいかがです?」


 もう5度目?記憶が錯乱しているのか?そんな訳はない。私は冷静だ!私は普段通りだ!


「まだか?もう着くのではないか?」

「ハァ……旦那様。お顔を洗って来てください。目が血走ってますよ。レイラお嬢様が怖がってしまうかもしれません」


 それはいかん!レイラに怖がられてはたまったものではない!常に鮮度の保たれた貯め水を使い顔を洗う。


 3年振りにレイラに会える。最後にあった時は最悪な別れ方だった。しかし今度は違う。父親として……娘を愛し……あわよくば……私の願いを……



「お父様!ただいまですわ!」


 元気の良い女の子の声が響いた。間違いない!レイラだ!私は慌てて……落ち着いて大広間へと足を運び、


 そこにレイラはいない。見た記憶を寸分違わず描写できる魔法の絵の具を使い毎日レイラの肖像画を送らせていたから見間違えるはずなどない。


 目の前にいるのは金髪の愛くるしい天使だけだ。天使が私の顔を見てハンカチを差し出し


「お父様、お顔が濡れてますわよ」

「……レイラ」



 なるほど。魔法の絵の具など当てにならんな。娘の可愛さを絵に閉じ込めるなど土台不可能。なんて可愛く優しく育ってしまったんだ。


 レイラが優しく私の顔を葺いてくれているが拭けども拭けども私の目から涙が溢れてくる。


「さ、レイラちゃん。花粉症のウィルさんは放っておいてお着替えしましょうか。疲れたでしょう?」

「わかりしたわ!」


 娘との憩いの一時を邪魔する妻。私も正直娘とどう接していいのかわからない。少しずつでも距離を詰められれば……


 手を繋ぎながら娘の為の部屋へと足を運ぶ母娘。微笑ましい光景だ。私の見たかった景色。レイラが笑っている。元気に育っている。それだけで私は――


「ママの手料理を食べたいですわ!」

「お料理なんて随分してないわね。レイラちゃんも手伝ってくれるかしら?」

「勿論ですわ!ママ!わたくし毎日お料理してますのよ」

「あら?一人でできるの?」

「メイドさんが作ったおやつを運んでましたわ!」



「……待ちたまえよ」


 聞き捨てならない言葉が耳に入ってきた。


「お父様?……あ。ごめんなさいですわ。お料理はメイドさんの仕事だから……はしたなくてごめんなさい。ママ、我儘言ってごめんなさい」

「いいのよレイラちゃん。ウィルさんは本当に無粋な人ね」


 私の言葉に娘は怯えてしまっている。妻がこれでもかと睨んできたが睨みたいのはないこっちの方だ。


 もう3度目だ。そして妻に対しても3度目。明らかな差が生まれている。

 レイラは余所余所しくお辞儀をして去ってしまった。



 ふらつく足に力をいれながらも、まだ倒れる理由にはいかない。レイラとの時間を作る為に不眠不休で仕事をこなしたが、ここで倒れては全てが水の泡。


「メイデン君。あれは……一体……どういう……」


 言葉に力がこもらない。それほどまでには深刻なのだ。メイデン君は小さく頭を下げて

「ご家族間の事は私がどうこう言える立場ではございません」



…………

……………………


 カチャ  食器に当たりレイラが顔を伏せ


「あ。…………お父様ごめんなさい」

「いや……いいんだ。気にせず食べなさい」


 今は家族水入らずで食事をしている。メイデン君もタウロス君も空気を読んで外食すると言ってくれた。


 一緒に同行してくれたシノブ.ヒイラギ君とは話しをしたかったが今はこちらが重要だ。レイラが恐る恐る食事にフォークを突き刺す。肉をナイフで斬る。

 食器にぶつけて音を立てないように。


 カチャ……また音をたてた。その度にレイラは悲しそうな顔をする。そして


「お父様…………ごめんなさい」


 泣きそうな顔になり私に対して謝る。


「ウィルさん、レイラちゃんはまだ子供なのよ。そんなに険しい顔をして……可哀想なレイラちゃん」

「ママ……ありがとうですわ。わたくし頑張りますから。わたくし良い子で過ごしてましたの。だからこのぐらい」


 ……食事のマナーを決めた奴は誰だ? 少なくとも王族ではない。音を立てず静かに食事をすることが品が良い?家族の間でマナーなど最低限でいいだろう。……決められたしきたりに段々と腹が立ってきた。


 いっそのこと私が手本となりクチャクチャと音をたてて食べやるか!?……ダメだ!よく考えろ!娘がマネをしたらどうする!



「……お父様…………ごめんなさい」

「え?」

 娘の悲痛な声に意識を取り戻した。見るとスープが溢れてしまっている。そして間の悪いことに私の顔は……見たくもないがレイラを苦しめるマナーに対しての怒りで険悪な顔付きだ。


 父親らしく……父親らしく……なんて言えばいい?

これが仕事ならば簡単だ。しかし部下と娘で同じ言葉を言うわけにはいかない。 

 

「……ごちそうさまでしたわ。…………」


 レイラは涙を堪えながら殆ど食事に手を付けずに立ち去ってしまった。黙り込んだ私が悪かったのだ。娘に大して数秒も考え込みその間のレイラの恐怖はどれほどだったのだろうか……


 私の願い。それは果たされないかもしれない。


 レイラは……私をパパとは呼んでくれない。そんな気がした。


 



 

おまけ レイラ&ジュデッカの魔法講座


「ブクマしてくれた読者様ありがとうございますわ!皆様こんにちわですわ。今回は魔法の知識をアクマのジュデッカに教えていただきますわ!」


「……いや……僕が出たらダメだろ?僕は悪魔であり敵側だよ。そもそも君とは面識……ん〜、面識はないしさ。せめてニーチェにしてくれよ」


「え〜っと最初の質問はPN野武士様ですわ。『なんで魔法は手から出るんですか?』はい。なんでですの?」


「……別に手からだけじゃないだろ?魔法陣からも発動できるし魔法具だってさ……あぁ、敢えて言うなら人間の1番器用とする場所から出る。そんなところかな?」


「足が器用なら足から魔法が出ますの?」


「出るよ。僕が直接見たわけじゃないけど臀部から魔法を出す奴もいるらしい」


「でんぶ?でんぶってなんですの?」


「…………魔法についてだけしか答えないよ。それとさ、僕のイメージに関わるから次からは他の奴を当たってくれよ」


「あ……消えちゃいましたわ。でも次回があればまた頼んじゃいますわ!」




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