⭐︎第13話 王国首都へ
ライラが娘との再開を果たして2日後。
「パ……お父様にもお会いできますの?」
「そうよ。タウロスさんが悪魔を捕縛した功績が認められてね。カーター家が褒美を受け取れるから一緒にダロス王国へ行きましょう」
悪魔に関しては謎が多すぎる。封印する方法は確立されていても無力化させるなど誰も考えもしていなかった。それを成したのがタウロス。
そしてその功績を成した本人は今必死で説得に明け暮れていた。
「ヒイラギさん……一緒に来てくれませんか?」
「拙者は用がないのでな、遠慮させてもらおう」
「ヒイラギさん、俺に対しての恩は?」
「タウロス殿を徴兵しようとした人物は当たりをつけている。案ずるな」
タウロスは肩を落とした。正攻法でシノブを連れ出すなと常人には不可能。しかしタウロスならば……
「カーター家の本邸も温泉が湧いてるんですけど……」
「だからなんだ?拙者には関係ないだろう?」
シノブの眉が微かに動いた。興味を示したのだ。
「ヒイラギさん効能とか詳しいからよかったら調べてくれないかな〜……っと……ダメですか?」
「……しかたあるまい。タウロス殿の願いだ。温泉の効能を調べてやるか」
…………
…………………………
「ニーチェ先生様は来てくれませんの?」
レイラが寂しそうにニーチェの手を握るが
「ん〜?あっしはほら……あれ……アレ……ん〜っと……金ロリが無くした石を再製作するッスから行けないッス。決して面倒だからじゃないッス!」
ニーチェはどこかはぐらかすようにこの場に留まることになった。
結局アルフィーの町からダロス王国へ行くのはレイラライラ母娘。メイデン、タウロス、シノブの5人。
馬車を見送るニーチェとメイド達。そして街中の人物。表情は暗い。いつ戻って来るかはわからないが少なくとも2週間は戻らない。
必然的に今年はレイラの誕生日祭は行われないのだ。
アルフィーの町最大の祭り。全ての食べ物が無料。後日カーター家が飲食代を負担する夢のような期間。町人の年に一度の楽しみは奪われたのだ。
勿論事前から準備していた材料は買い取った。しかし……町人達の面持ちは暗い。
その暗雲を切り裂くが如き声が響いた
「聴けーー!民ども〜!タウカスも鉄メイデンも金ロリもいない今!あっしが全権を任されてるッス!」
「ニーチェさま?」
メイドの一人が何事かと顔をあげた。
「この家はめちゃんこ金を貯め込んでるッス!放出する気のない金なんて価値がない……だ か ら」
ニーチェは不格好に塀によじ登り声を更に荒げた。
「カーター家の財産大盤振る舞いクーイーズー!!正解した奴には無くなるまで金貨1枚プレゼントッス!」
「ウォぉぉ!!」
「最高だぜーー!」
「火遊びはよしなお嬢さん、クイズ王の俺に向かって」
「早速行くッスよー!第一問 デデン!
あっしが今履いてる下着の色を答えろッス!」
「見たくもなかったが塀をよじ登る時に見えたぜ!白だ!」
「!?白」「シロ!」「白!」「ハクだ!」
「……ばかじゃないの?」
「はい!白って答えたドスケベ野郎共は金貨1枚受け取って今日一日見張り!あっしをバカって言ったバル坊やは、無償でず〜っっと遠方まで見張り!残りの人たちは宴会ッス!タウカスが戻ってくるまでに全財産喰いつぶすッスよーー!」
歴史に名を残さぬ事件など五万とある。闇に葬られた事件も数知れずある。そして
ニーチェが起こした乱は誤解されるように記録されることとなった。
ーーー
ーーーー
現代にいる悪魔達。人間の前に姿を現さぬ者。
封印が解かれひたすら力をため続ける者。
人間社会に歪ながらも溶け込んだ者。
その中でも神出鬼没な存在。
『ギヒャハハハ!!ブイがやられたのかぁ!?あ〜〜〜清々するぜぇ〜〜!いつもすかして頭に来る野郎だったからなぁ〜!』
「詳細は知らないけど魔力を無くしてるらしい」
二人の男が世間話をしながら町外れの建物を歩いている。厳重な警備を悠然と通り過ぎながら。
兵士の一人が敬礼をした。
「お疲れ様です!ジュデッカ様!そちらの……え?これは……人形?ですか?」
「お疲れ様。毎日大変そうだね。彼はクリーヴァ…………友人……?ではないね。悪魔を見たいらしいから連れてきたよ」
カチカチと指を鳴らしながら兵士に目を向けた。
「ジュデッカの顔をたてて殺さないでやるぜぇ!」
そう言ったクリーヴァは兵士の頭を掴み。
「あ…………が……い……が……あぁ……」
兵士の頭が卵を割るように砕かれた。
「……まぁこうなるよね。少しは落ち着いたかい?」
『ギキャ…………ギァ……ふぅ。すまねぇなぁ。人間を見るとどうにも落ち着かねぇんだょ』
「クリーヴァ、君は生前に加護を使いすぎてるからね。でもあんまり無茶してるとニーチェが動くよ」
ジュデッカの同情心の欠片のないセリフにクリーヴァはカチカチと歯を鳴らしニヤリと笑った。
「へハァ!ニーチェの本体が消えてもう300年だろ?あいつは一人逃げたんだよぉ!なにが『絶対に元の人間に戻す』だぁ!何も出来ないくせに悪魔の邪魔ばかりしやがってよぉ!」
ジュデッカの細腕が体温などない冷たい首筋に触れた。瞳孔は開ききり瞬き1つせずにクリーヴァを睨みつける。
「やるのかよぉ?ジュデッカぁ?俺様に勝てると思ったのかぁ?いつもコソコソ陰湿にしてるクソ野郎がよぉ」
「悪魔同士で勝つも負けるもないだろ?光栄な事に君とは友人ではないんだ。だから友人の悪口は見過ごせなくてね…………」
「ジュデッカ、このゴミを破壊すればいいのカ?」
「……嘘…………だろぉ……なんで……」
クリーヴァに冷や汗を流す機能はない。ジュデッカは問題なく処理できる。
しかし真後ろに立つ存在。住む世界の違う存在に対してクリーヴァは恐れ慄いた。
「僕が勝算もなく君に近づくわけはないだろう。どうだろうかクリーヴァ、この存在相手に憂さ晴らしをしてみるかい?」
「…………どうやって使役したぁ?」
「使役じゃなくて協力、お互いに利用し合う仲間だよ」
その存在は悪魔程度では太刀打ち出来ない。この世界よりも更に下に存在する世界を統べる王。その片腕とも称された者。
クリーヴァは片手を変形させ鉤爪をしまいこんだ。
「ジュデッカ……お前……なにをしようとしているぅ?」
ジュデッカはその存在の肩を軽く叩いて労った。
「いや〜助かったよ。君がいなかったらクリーヴァに虐められてたからね。ありがとう 後鬼」
↓皆から注目を集めてご満悦なニーチェさん
「毎日がニーチェちゃん!毎日がニーチェちゃん!みんなも一緒にさんはい!」
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