二話 地下への階段
……ここまでこればとりあえず安心、かな
今回の失敗は許されるものじゃない、あいつは僕を殺しにかかっていた。あのままあの場にいれば間違いなく死んでいた
安心とはいってもまだ化け物屋敷の中、うかうかしていたらアイツらが僕の居場所に気づくのも時間の問題だ
だけど、さっきあいつにやられたダメージが……一歩歩くたびに全身に激痛が走る……
僕は骨は丈夫な方だ、今まで折れたことがない。けど分かる……肋が何本か折れて……内臓に突き刺さっている……
この前あいつに刺された傷もまだ完治していないっていうのに……
「――ゲホッゲホッ」
……いい加減ヤバイ……このままじゃ体がもたない……
とりあえず隠れて体を回復させよう……焦っても簡単に捕まるだけだ
地下への階段だ……ここを降りていけば隠れられる場所があるかもしれない……
……でも今僕がいるのは建物一階の裏側……
玄関は一階の表側だから出口の真逆に逃げてきてしまったことになる……それでもし地下になんて降りたら……袋の鼠だ……
でも仕方ない……この怪我じゃ歩くこともままならないし……
とりあえず降りてみるか……
……
降りてみたはいいけど、凄く不気味だ……灯りが無くて何も見えない。階段は石でできている。寒い……
しかも異様な臭いが漂ってる……
初めてだ、こんな臭いを嗅いだのは……
……
ん、なんだ……?
階段を降り終わって、しばらく歩いた所に異変はあった
暗くてあまり見えないけど、視線の先に石壁が破損した跡があってその瓦礫が落ちている
どうしてこんな頑丈そうな壁がこうも……
まるで誰かが破壊したかのような……
そういえば今朝言っていた地下の石壁の補修っていうのはこれのことだったのか
……この地下、実はヤバいんじゃないのかな
でも、進むしかないよね……このままじっとしているわけにはいかないし
……
ん、あれは………扉………
目の前に不思議な形をした扉がそびえ立っている
……これ、絶対入ったらダメなやつだよね
……でも、ここで行き止まりだし入るしかないか……
主人の部屋って感じじゃなさそうだし、前誰かが使っていた部屋って可能性もある
……考えていても始まらない、とりあえず入ってみよう
……
恐る恐る入ってみる
部屋の中は地下の廊下よりも暗く、何も見えない
静まり返っていて人気は感じられない
でも何か嫌な予感がする
――バタンッ
…………!!??
扉が……勝手にしまった……
……いや……違う……
僕の…………
後ろに…………
…………誰かいる……………………
……………………
動けない…………
いや…………動いてはいけない………………
振り向いたら、その瞬間殺される……
………………
「どうしたのかしら?」
――!?
ぴったり僕の後ろから少女の声が聞こえる
主人でもない……あいつでもない……
「ねえ……」
「私と遊ぼうよ」
……
「……あ……そぶ……?」
「そうだよ」
「たくさん」
「たくさん」
「あなたが死んじゃうまで」
…………
「でも、もう」
「あなた死んじゃいそうね」
「このまま死んじゃ、つまんないよ……」
「ねぇ」
「きいてる?」
――ドサッ
意識が……やっぱり先のダメージが大きかっ……た……恐らくこいつも化け物の仲間……失敗……だった……
…………